そこで、もう一つの日報を「チームの問題を発見する」ためのツールと
考えてみるのも良いのではないでしょうか。
単に一人一人の１日の記録と考えると、その人のためのコメントを書いて終わりです。
しかし、１週間分の日報を、チーム全員分ざっと見直してみる。
すると、共通の問題が生じていることがあります。


　「新商品のＰＲをしたが、～の点がうまく説明できなかった」

　「～についてのクレームが発生し、急遽対応を行った」

　「同じチームの○○さんと情報が共有されておらず、お客様に迷惑をかけた」


　一週間の日報を見渡してみて、チームメンバーを超えた問題が発生していたら
早速ミーティング等を活用してアイデアを出し合ってみてはいかがでしょうか？

　「実は、ここ１週間のみんなの日報を見ていると、～といった問題を抱えている人が多いようだ。
今日は、それを皆なで話し合って解決しよう。もちろん、皆で解決できないことは上にも掛け合おうと思う」


　このような上司のセリフを聞けば、きっと
「自分が日報に書いたことが、チームの運営に反映されている」と感じることでしょう。
また、「上司は日報をしっかり見て、フォローしてくれている」とも感じるはずです。

　いずれにしても、自分が書いた日報の内容をしっかり見てくれている、
そしてそれがチーム全体の改善につながっていると感じれば、
その後も日報をしっかり書こうと思う人が多くなるはずです。
　我々上司は、一人一人の問題を解消し、成長させることは非常に重要です。
しかし、時間は無限にあるわけではありません。
限られた時間で、最大の効果を発揮することが求められます。

そこで、日報を活用して全体に共通している問題に優先的に取り組み、
効果的にチーム全体の問題を解消するのです。

私たち上司も、色々あって忙しい・・・。すると、日報を見るのも億劫になる。
結局、メンバーが「日報を書くのは面倒くさい」と感じているのは、
私たち上司が日報に対してそう感じているからではないでしょうか？

ここまで「日報を有効活用する」ための方法を考えてきました。
日報の有効活用について考えてきました。
日報をうまく活用すれば、マネジメントの効果もぐんとアップするはずです。。

しかし、今回はどんでん返しの内容です。

皆様の職場では、本当に日報は必要でしょうか？多くの職場では、日報は「やらされ仕事」であり、
あまり意味を成していません。
ここ数回、このブログで書いてきたような内容を行えば、それなりの効果はあるでしょう。
しかし、本当にすぐにそのようなやり方を実践できそうでしょうか？
　もし「難しい」と判断するのであれば、思い切って日報そのものを
一時的に廃止してしまうことも一つの方法です。

　実際に、私が担当しているある企業様の営業部門でも「日報を一時的に廃止した」ことがあります。
メンバーが「やらされ感覚」で日報をなんとなく書いており、時間の無駄であると判断したためです。
しかし、日報を廃止すると各メンバーのその日の動きが見えない。
特に、営業部門などメンバーが一日中外に出ている職種では、日報がないと全く行動が分かりません。
　そこで、その企業様は帰社したメンバーが上司に対して、その日の行動を口頭で報告するようにしたのです。

　この「口頭で報告」するというのは非常に効果があります。
日報では「ヤマダ工業を訪問。田中課長と面談」とだけ書いていたものを、
口頭で報告する際にその面談の内容を詳細に語ることが求められます。
なぜなら、曖昧な報告をすると目の前の上司が「具体的には何を話したの？」と質問してくるからです。

　このような状況ですと、「とりあえず訪問して話して帰ってきました」では済みませんから、
内容を濃くしようと努力するようになります。
結果的に、行動の密度が濃くなり、成果が出やすくなります。
　また、面と向かって話すとなかなか「嘘」はつけないものです。
日報には堂々と「嘘」を書いていたメンバーも、面と向かうとほとんど本当のことを話します。


　以上のように、面と向かって報告を受けるほうが、効果があるケースが多いのです。
　しかし、面と向かって報告を受けていると、その間私たち上司は他の仕事は一切できません。
そのため、非常に業務が圧迫されます。

　そこで、面と向かって報告することをしばらく続けたら、その後また日報に戻します。
しばらく、面と向かって緊張感のある報告を行った習慣が、そのまま日報に繁栄されて、
良い日報になることも多いようです。

　「日報に全く効果が無い・・・」と感じたら、思い切って是非試してみてください。