日本人材マネジメント協会(JSHRM)が日本代表組織として加盟している世界人事協会連盟(WFPMA)は、ボストン コンサルティング グループ(BCG)と共同で、定期的に人事に関する世界調査を実施している。2021年の調査では、世界113ヵ国・地域、6,600名が回答するなど世界最大級の規模で行われた。本講演ではそれらの豊富な情報の中から、現在の日本にとって重要だと思われる課題を、JSHRM副理事長の山崎氏と理事の堤氏が選び、解説した。講演の後半では、両氏によるディスカッションも行われ、その模様もお届けする。

講師

  • 堤 敏弘

    堤 敏弘 氏

    ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社 人事総務部長/特定非営利活動法人日本人材マネジメント協会 理事

    ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社 人事総務部長。 新卒で日本IBMに入社以来、人員計画・給与福利厚生・研修・労政など、人事畑で様々な経験を積む。 26年勤務後、(株)クレハの子会社、大学職員を経て、2017年より現職。 JSHRMには2012年入会。リサーチプロジェクトのメンバー、年次コンファレンスの責任者などを 経て、2020年より理事。海外担当、他いくつかの活動に参画している。



  • 山崎

    山崎 京子 氏

    立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 特任教授/特定非営利活動法人日本人材マネジメント協会 副理事長

    立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授。ロイタージャパン、日本ゼネラルモーターズ、エルメスジャポンでの人事実務を経て、アテナHROD設立と同時に大学院に進学。現在では社会人大学院で人的資源管理とキャリア・デザインの教鞭を執る傍ら、日本企業での人事コンサルティングや研修講師、さらにJICA日本人材開発センタープロジェクトの教科主任として7か国(ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、モンゴル、キルギス、ウズベキスタン)の現地経営者に対して人的資源管理の実務指導を行う。2009年筑波大学大学院ビジネス科学研究科修了、2019年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(経営学)。

113ヵ国の世界調査から見えた、日本の人事が取り組むべき「人材マネジメントの優先課題」とは何か

世界調査から見る日本とグローバルにおける人事の違い
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 特任教授/特定非営利活動法人日本人材マネジメント協会 副理事長 山崎 京子氏

32の人事・人的管理トピックスを9つのクラスターに分類

WFPMA(世界人事協会連盟)には、世界中の多くの人事団体が所属しており、そのネットワークを使って世界の人事に関する優先課題を調べています。今回は、その中から興味深い点を皆さんとご一緒に吟味したいと思います。まず、調査項目について見ていきましょう。全部で32の人事・人的資源管理のトピックスがあり、これらを9つのクラスターに分けています。
113ヵ国の世界調査から見えた、日本の人事が取り組むべき「人材マネジメントの優先課題」とは何か
国・地域別での9つのクラスターの優先順位を見てみましょう。グローバル・アベレージと各地域での順位の違いがわかります。現在の能力という観点で、日本の「人と人事の戦略、計画、分析」は、グローバルと比較すると自己評価が低いというのが特徴と言えます(図1)。

図1

113ヵ国の世界調査から見えた、日本の人事が取り組むべき「人材マネジメントの優先課題」とは何か
将来重要となる能力においてはどのような特徴が見られたでしょうか。日本は人材開発が2位の優先課題、グローバルでは5位となっています。ここでは、日本における人材開発の重要性がうかがえます(図2)。

図2

113ヵ国の世界調査から見えた、日本の人事が取り組むべき「人材マネジメントの優先課題」とは何か
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