講師
今野 浩一郎 氏
学習院大学 名誉教授/学習院さくらアカデミー長
1971年3月東京工業大学理工学部工学科卒業、73年東京工業大学大学院理工学研究科(経営工学専攻)修士課程修了。 73年神奈川大学工学部工業経営学科助手、80年東京学芸大学教育学部講師、82年同助教授。 92年学習院大学経済学部経営学科教授。2017年学習院大学 名誉教授、学習院さくらアカデミー長。 主な著書に、『正社員消滅時代の人事改革』(日本経済新聞出版社)、『高齢社員の人事管理』(中央経済社)など多数。
倉重 公太朗 氏
倉重・近衞・森田法律事務所 代表弁護士/特定非営利活動法人日本人材マネジメント協会 理事
慶應義塾大学経済学部卒、オリック東京法律事務所、安西法律事務所を経て現在は倉重・近衞・森田法律事務所代表弁護士。 第一東京弁護士会 労働法制委員会 外国労働法部会副部会長 日本人材マネジメント協会(JSHRM)理事、日本CSR普及協会 理事 経営法曹会議会員、日本労働法学会、日本労務学会会員 労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応、団体交渉、労災対応を得意分野とする。人事労務セミナーは年間100回程度開催。 日経新聞弁護士ランキング2019(総合)労務部門第6位。週刊エコノミスト「法務担当者が選ぶ頼みたい弁護士13選」人事労務部門 著作は25冊を超えるが、近著は 【日本版】同一労働同一賃金の理論と企業対応の全て(著者代表 2021年)
企業の『高年齢者雇用』への対応
倉重・近衞・森田法律事務所 代表弁護士/特定非営利活動法人日本人材マネジメント協会 理事 倉重 公太朗氏
同一労働同一賃金とパート有期法8・9条、高年齢者雇用安定法(高年法)
本日は主に法律的な観点から「高年齢者雇用」、「同一労働同一賃金」について、裁判例を交えながら注意点を中心に解説します。まずは同一労働同一賃金から言及します。根拠となる法律が、労働契約法20条を改正したパート有期法の「8条の均衡処遇」、「同9条の均等処遇」です。この2つがそもそも高年齢者に適用されるのかを考えなければなりません。高年齢者が再雇用、嘱託社員のケースを想定すると、8条は適用、9条は適用されないと考えるのが有力です。つまり、現役世代と同じに処遇することは求めないが、バランスは保たねばならないと法律は言っているのです。同一労働同一賃金にはガイドラインが作成されています。そこでは「職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲、その他の事情の相違がある場合は、その相違に応じた賃金の相違は許容される」とありますが、着目すべき点は「その他の事情」です。定年後は公的年金の受給状況や健康状態、資産形成などが個々に異なります。企業側にはそうした事情を考慮して、賃金を決定することが重視されています。
これまでは法律論ではなく、社会保障的な話という面がありました。つまり年金支給開始年齢が60歳から65歳に延長されるのに伴い、年金を受給するまでのつなぎとして何らかの仕事を用意すれば良いという福祉的な雇用でした。しかし、改正高年齢者雇用安定法(高年法)では70歳まで就業確保措置を取ることが努力義務となり、60~70歳の10年を「キャリア」として考えなくてならない状況となっています。
さらに高年法改正では、高年齢者の就業確保措置として、雇用以外の方法が認められていることがポイントで、継続的な業務委託が認められます。企業は高年齢者を必ずしも雇用する必要はなく、業務委託で仕事を依頼すれば良いのです。ただし、その際の注意点があります。まず業務委託を可とするには過半数労働者の同意が必要で、同意を取るべき項目として1~12が定められています(下図)。
- 1