「コンフォートゾーン」は、自分の持っているスキルセットで仕事を進めることができてしまうのであまり成長がない領域。「ラーニングゾーン」は、コンフォートゾーンから一歩出たところに広がっており、自分のスキルセットがあまり通用しないため、冷や汗をかきながらいろいろなことに挑戦する領域。「パニックゾーン」は、ラーニングゾーンよりさらに外側に出たところに位置し、自分のスキルセットが通用しないばかりか、何が起きているのかもよく分からず精神的な不調をきたしかねない領域。
ビジネスパーソンとして成長していくためには、ラーニングゾーンに身を置くことがよいというのが教授の主張である。
セルフコントロールの重要性
いま自分はどの領域にいるのか。改めて自問してみたが、私の場合、コンフォートゾーン:ラーニングゾーン:パニックゾーンの割合は、3:6:1くらいであると思う。クライアント先でコンサルティングや研修をする際は、自分のスキルセットを発揮するコンフォートゾーンにいるが、そこに至る準備期間や、新しいビジネスの立ち上げでは、ラーニングゾーンに身を置き、新たなインプットやネットワーク作りに励んでいる。時に、刺激的な経験を求めたり、消化しきれない情報を目の当たりにしたりすることもあるので、パニックゾーンは1割くらいだろう。インドネシアに来て4年経つのだが、当初は知り合いもほとんどおらず、ネットワークはゼロに等しかったため、ラーニングゾーンが多かったのはもちろん、それを飛び越してパニックゾーンに陥ることも多かった。上記の比率でいうと、1:7:2くらいだろうか。この比率はさすがにちょっとバランスが悪く、精神的にもきつく感じた。
しかしいまや、出身地の大阪、ビジネスで大半を過ごした東京に加え、ここジャカルタが“第三の故郷”になっている。適度なコンフォートゾーンやラーニングゾーンの中で生活するためには、日本で生活する以上に主体的に、所属するコミュニティを選択し、自らの心の拠り所を築いていく必要がある。それはいわゆる「セルフコントール」能力と言い換えても問題ない。ただ、私のここでの生活全般がコンフォートゾーンとなっているのは、セルフコントロール能力だけでなく、多くのご縁をいただき、いろんな方々にお世話になっているお陰にほかならない。
私が特に大切にしているネットワークの1つに、「クローバー会」という大学ネットワークがある。これは私の母校である同志社大学のOB・OGで結成されるコミュニティだ。日本にいたときは大学との繋がりは皆無だったが、マイノリティとなる海外では、いわゆる“マズローの欲求5段階説”で言うところの「所属と愛の欲求」が刺激され、コミュニティに対する帰属意識が芽生えやすいのだろう。