2012年卒業予定者の新卒就職戦線は、3月11日に発生した東日本大震災の影響により、金融や自動車・電機メーカーなどの一部の大手企業が全体の選考日程を1-2ヶ月遅らせ、その他の企業は被災地域への特別対応をとりながらも、全体としては予定どおり4月1日より採用選考を開始するという状況で推移しております。今回はこうしたここまでの動きについて書いてみたいと思います。
全体的にやや間延び感が感じられる
一部の大手企業を除いて4月1日から選考試験は始まったのですが、学生は全体的にだらだらと就職活動を行っているような雰囲気が感じられます。大手の選考があとになってしまっているために、就職活動をやめるタイミングがはかりづらくなっている感があります。また各社の内定を出すタイミングがまちまちのために、内々定承諾の期限もバラバラでその中で最終的な進路を決めきれない学生が多いように感じます。実は就職活動の進め方に問題があるにもかかわらず、それを十分に自覚できていない学生もまだまだいるような印象も持っています。全体としてはこの1-2年に比べると就職活動を終了した学生は少ないように感じます。就職活動が長期化するのは間違いないように感じております。
学生と企業採用担当者との駆け引きが増えた
上記の流れの中で学生もなかなか決めきれない、就職活動を終了させるタイミングが見極めにくいという状況なのですが、企業側も6月以降に選考を開始する大手に内定者を抜かれてしまうのではという不安から様々な囲い込み手段を講じているようです。最終的に入社する人数が読みにくいという状況で今年はかなり強引な動きが目立っているように感じます。自分も採用担当をやっていましたので、そのあたりの苦労はよく理解できます。しかし、最終的に学生本人の意思でしっかり進路を選択させておかないと、入社してからのトラブルの火種にもなりかねない部分がありますので、そのあたりの配慮をお願いしたいなと感じております。学生からはいろいろな相談を受けているのですが、道義的にもコンプライアンス的にも「??」という内容もあります。おそらく若手の人事担当者が職務遂行に夢中になりすぎて暴走しているものと思います。そのあたりについては、各社において社内での指導を徹底していただければと感じております。
一定の取り決めは必要
私はこれまで倫理憲章廃止論者でして、大学生の就職活動は規制を設けずにまったくの自由競争でよいのではと考えておりました。しかし、今年の状況を見ていると、残念ながら一定の取り決めを行う必要性を感じざるを得ません。自由競争の中で混乱なく公平性、公正性、納得性の保たれる状況にはならないだろうと思われるからです。
これは企業側だけの問題でなく、学生側にも大きな問題があるように思います。要は自由と自己責任を就職活動の中で求めても、残念ながらそれをしっかり行使できるところまで成熟していない学生が多いということでしょうか。「自分の進路は自分の責任でしっかり決める!!」という覚悟がまだまだ足りていないかなと感じています。我々も繰り返し指導している部分ではあるのですが、現状ではそこまで一律に大学生に求めることは難しいのかなと最近は感じています。
もちろんできている学生はできているようにも感じます。気づきの要素が多く、できている学生とそうでない学生の就職活動の結果には、ものすごく差がついているように感じます。このあたりは出口の就職支援というより、大学4年間でのキャリア形成支援の中で取り組むべき課題かなとも思っているのですが、気づきを与えるような学習機会を大学の中で提供しきれない部分が悩みどころですね。
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