大学を取り巻く就職環境はこの1-2年大きく変わってきているように思います。そうした中で大学の就職指導部門の役割が極めて大きくなってきているように思います。私自身もまだ試行錯誤を繰り返しながら工夫を続けているような状況ですが、そんな中で今就職指導の現場でどんなことに留意しているかについて、少し述べさせていただきます。今回は就職活動におけるネットの使い方についてご紹介させていただきます。
昔は情報を持っている人が評価されましたが、今はインターネットで情報を検索するとかなりの部分の情報が入手されるようになっています。しかし、ネットに氾濫する情報には事実とは異なる情報も多く含まれているので、ネット上で入手した情報は分析し、選別し、複数の情報を組み合わせて全体像を明確化させるという知的作業を行う必要があります。今はこの作業を行うことでかなりの部分の情報をネット上で入手できるようになっていると思うのですが、このあたりの情報処理能力が弱いというか、そういう作業を行わなければならないという必要性の認識そのものが欠落しているような状態の学生が多いように思います。
上記の知的作業の必要性はガイダンス等で繰り返し強調しているのですが、常日頃から意識した行動がとれていない今の学生には残念ながら一朝一夕に身につくものではありません。
そこで、ネットを使うならこんな活用法がよいのではという説明を学生に行っております。
上記の知的作業の必要性はガイダンス等で繰り返し強調しているのですが、常日頃から意識した行動がとれていない今の学生には残念ながら一朝一夕に身につくものではありません。
そこで、ネットを使うならこんな活用法がよいのではという説明を学生に行っております。
就活サイトに依存しない
就活サイト上の求人広告は、そのネット運営会社にたくさんお金を払った会社に多く学生が集まるような仕組みになっているのだから、直感的に就活サイト上の広告を見て「いいな」と思った会社は、多くの学生がそのように思う可能性が高く、ということはそのような会社に応募者が殺到している可能性が高いということになります。実際に就活サイトで人気のある会社は求人倍率が100倍を超えるような会社が多く出てきているわけです。そのような会社を正面から受けても、恐らくこのような会社は説明会すら参加させてもらえずに書類選考で落とされてしまうことが多く、合格はおろか面接に進む可能性もかなり低いと思われ、そのような会社ばかりを受けるのは極めてリスクの高い就職活動になっていると言わざるを得ません。リスクを恐れずにチャレンジすることは悪いことではありませんが、就活全体でリスク配分を考えた企業選びをしておく必要があります。ネットの有効な活用法
リスクを抑えるためには、いわゆる自分が「採用される可能性が高い会社」をしっかり応募企業の中に押さえておくことが重要です。ではどのような会社が採用されやすいか??いろいろな考え方がありますがここでは「応募者があまり多くない可能性の高い企業」の見つけ方を教えます。こうした会社はネットをうまく活用することで見つけることができます。実はすごく簡単なことなのですが、就活サイトでいいな!!と思った会社の同業(できれば競合)の会社を就活サイト以外のツールを使って調べることです。具体的には気になる会社の所属している業界や、主力製品などをヤフーやグーグルで複数の単語で検索をかけると割と簡単に見つけることができます。あとキャリア採用情報の検索エンジンサイト(仁王やジョブエンジン)があるので、それで志望する職種や業界でキーワード検索を行って中途採用を行っている会社を探し出すというやり方もかなり有効です。
そしてそれらの会社の自社採用HPを熟読して新卒を採用しているかどうかを確認していけばよいわけです。
※ちなみにこのやり方は就職サイト上でも同じように行って露出の少ない会社を見つけ出すことができます。
このやり方のポイントは、企業の求人情報の就職サイト上の露出が少なければ少ないほど効果的だということです。ネット上で見つけにくい会社であればあるほど効果的なわけです。ちなみに、例によって就職サイト上の露出の少ない会社には不安を覚える学生が多いのですが、業種、業界が同じだと基本的には同じビジネスモデルで事業を行っていることが多いので仕事の内容はそんなに変わらず、少なくとも仕事の面白さの点では大差がないという説明をします。また、社風や働きやすさなどはもともとネット上でどれだけ情報を集めても無意味で、その会社の人と接することで自分自身が「いいな」と感じられるかどうかを確認しないといけないので、それはネットでなく会社説明会や会社訪問に行って確認してきなさいと説明しています。
主体的な行動力のアピールに直結する
ちなみに、このやり方のもう一つの大きなメリットは、受け身でない形で企業を探し出して自分からアプローチする行動になっているので、就職サイトから一括エントリーしてくる学生よりはるかに主体的な行動力をアピールできるということです。要するに、このような行動で企業側に接触を図る学生が極めて少ないのが実情のようで、学生と話していると、こうやって探り当てた企業の人事の方から「どうやって当社を調べたのか?」と聞かれることが多いそうです。特殊な職種(特殊な素材の研究など)で仕事を探す場合などは非常に効果があるようです。変な言い方ですが就活サイトに依存しすぎている学生が多いので、逆に差別化しやすい環境になっていると思っています。ここでご紹介するとこのやり方をとる学生が増えて差別化しにくくなるのかもしれませんが、その時はまた別にやり方を考えればよいかと思っています(笑)。
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