こんにちは。HRプロの寺澤です。
今回のサイトリニューアルに当たっては、たくさんの方からご意見、ご要望をいただきました。誠にありがとうございました。
皆さんから寄せられたたくさんの声に応えるべく、様々な改良を加え、新たなコーナーをいくつも作りました。ぜひご利用ください!
さて、その新しいコーナーの一つとして、私自身がコラムを一つ持つことになりました。人事関連の様々な旬なトピックスを一定期間取り上げ、その背景を探りつつ本音の意見を述べるという連載をさせていただきます。
今回のサイトリニューアルに当たっては、たくさんの方からご意見、ご要望をいただきました。誠にありがとうございました。
皆さんから寄せられたたくさんの声に応えるべく、様々な改良を加え、新たなコーナーをいくつも作りました。ぜひご利用ください!
さて、その新しいコーナーの一つとして、私自身がコラムを一つ持つことになりました。人事関連の様々な旬なトピックスを一定期間取り上げ、その背景を探りつつ本音の意見を述べるという連載をさせていただきます。
そこで皆さんにお願いしたいのが、感想やご自身の意見をどんどん投稿していただきたいということです。反対意見ももちろん大歓迎です。できるだけ多くのご意見をこのコーナーで紹介し、時にはサイト上対談などもやってみたいと思います。そのようなコラボレーションの中で、課題に対する新しい提言や解決策を産み出していければいいなと思います。
もちろん掲載する前にご本人に確認をとりますので、遠慮なくご意見をお送りください。
さて、最初のテーマは「日本の新卒採用はどこへ行く」です。
今回は特にその中で、「採用選考時期を夏にすると良いか?」という話題のトピックスについて問題提起したいと思います。
新卒採用に関する話題は、毎年マスコミを賑やかせますが、今年は特別に多いですね。私自身は採用業界に長く身を置いていたので、やはりこの問題は重要だと思うし、大いに議論すべきところだと思います。変えていくべきことは積極的に変えていかなければならないでしょう。
ただ、あまりにも一方的な思い込みから出た提言も少なくないなと思います。たとえば、新卒一括採用=悪で、通年採用にすればよい、そうすれば就職できなかった多くの学生が就職できるようになるという意見などがそうです。
「それのどこがおかしいんだ?おかしいというほうが一方的だろ!」という声が聞こえてきそうですが(もちろん、反対意見も大歓迎です)、私は、就職できない学生が増えているのは新卒一括採用のせいではなく、別に原因がある(複合的ですが)。かえって、新卒一括採用だからこそ、これだけの就職率が維持できていると思っています。
それは追々述べていくとして、今回は特に今話題になっている、総合商社が提案している「2013年度新卒採用から、採用選考時期を夏以降に」について考えてみたいと思います。
日本経済新聞などの取り上げられ方をみると、
「学業を圧迫している原因として選考早期化が大きい、だからそれを遅らせれば状況は改善するのだが、個々の企業の利害関係が絡まり議論は一気には進んでいない」
という風に受け取られます。はたして本当でしょうか。
2010年9月から10月にかけてHRプロが企業の人事担当者に対して実施したアンケート調査では、全体では49.5%が学業への悪影響が減ると思うと答えたのに対して、43.2%が減ると思わないと答え、若干前者が多いという結果でした。意見は割れていますね。
しかし一方で、選考時期を遅らせることで学生の就職意識が高まるかを採用担当者に聞いたところ、高まると思うと答えたのが27.9%に対して、思わないが56.1%と、後者の方が倍近い数字でした。どうやら、選考時期を遅らせるだけでは本質的な問題解決にはならないと考えている採用担当者は多いようです。
学業圧迫という点では、私は選考時期はあまり関係ないと思います。それより、学生がどれだけ長く、多く、就職活動をしなければならないか、という長期化と活動量の多さの方が影響が大きいはずだと思っています。ここをどう改善するかが一つのポイントでしょう。
そもそも、大学は学生のキャリア意識を高めようと、大学1年生から色々なカリキュラムを増やしています。3年になるとすぐに就職ガイダンスを行い、夏のインターンシップを奨励しています。大学自体が就職指導を早期化しているのです。私はそれを悪いとは言いません。自校の学生の就職意識を少しでも早くから高め、就職活動がうまくいくように考えての指導でしょう。ただ、これではいくら就職情報会社が就職ナビのオープン時期をある程度遅らせようが、選考時期が遅くなってしまうと長期化は避けられないと思います。
また、言葉は悪いのですが、圧迫されると言われるほど多くの大学の授業の内容は立派なのでしょうか。おそらくそれは一部の偏差値の高い理系学生にのみ当てはまることでしょう。文系ではかなり偏差値の高い学校でも3年生で単位を取り終えて就職活動に臨む学生も少なからずいますし、そもそも3年間で取り終えるカリキュラムは問題にされないのでしょうか。学業が充実しないことの理由はまずは大学にこそ問われるべきことだと私は思います。(もちろんまじめに取り組んでいる大学、先生、職員の方も多数いらっしゃいます)
また、その「学業を圧迫される」理系学生については、夏の時期は卒業研究に打ち込まないといけない時期なので、選考時期を夏にするとかえって学業を圧迫するという声も多数あります。
さて、今回のまとめをします。
仮に学業圧迫を問題にするのであれば、選考時期の問題ではない、私は思います。長期化と活動量の多さが問題だと考えます。
ただ、学業云々は大学自体の問題ではないかと思います。一部理系学生は確かに圧迫されている面があるでしょうが、夏にすれば事態はさらに悪くなる可能性もあります。
さらに重要なことは、現在の就職問題においては学業圧迫が主要な課題ではなく、多くの就職難民を生み出す構図が問題であり、そのことからまず議論すべきだということです。
ということで、選考時期さえ遅らせれば学業圧迫が減少し、就職状況が改善する一要因になるという論法は成り立たないと考えます。
皆さんはいかがお考えでしょうか。
下記のリンク先から、数問の簡単なアンケートで皆さんのご意見をいただけるようにしています。次回のコラムでは、そのご意見をできるだけ多く紹介したいと思います。
(2010.11.18掲載)
もちろん掲載する前にご本人に確認をとりますので、遠慮なくご意見をお送りください。
さて、最初のテーマは「日本の新卒採用はどこへ行く」です。
今回は特にその中で、「採用選考時期を夏にすると良いか?」という話題のトピックスについて問題提起したいと思います。
新卒採用に関する話題は、毎年マスコミを賑やかせますが、今年は特別に多いですね。私自身は採用業界に長く身を置いていたので、やはりこの問題は重要だと思うし、大いに議論すべきところだと思います。変えていくべきことは積極的に変えていかなければならないでしょう。
ただ、あまりにも一方的な思い込みから出た提言も少なくないなと思います。たとえば、新卒一括採用=悪で、通年採用にすればよい、そうすれば就職できなかった多くの学生が就職できるようになるという意見などがそうです。
「それのどこがおかしいんだ?おかしいというほうが一方的だろ!」という声が聞こえてきそうですが(もちろん、反対意見も大歓迎です)、私は、就職できない学生が増えているのは新卒一括採用のせいではなく、別に原因がある(複合的ですが)。かえって、新卒一括採用だからこそ、これだけの就職率が維持できていると思っています。
それは追々述べていくとして、今回は特に今話題になっている、総合商社が提案している「2013年度新卒採用から、採用選考時期を夏以降に」について考えてみたいと思います。
日本経済新聞などの取り上げられ方をみると、
「学業を圧迫している原因として選考早期化が大きい、だからそれを遅らせれば状況は改善するのだが、個々の企業の利害関係が絡まり議論は一気には進んでいない」
という風に受け取られます。はたして本当でしょうか。
2010年9月から10月にかけてHRプロが企業の人事担当者に対して実施したアンケート調査では、全体では49.5%が学業への悪影響が減ると思うと答えたのに対して、43.2%が減ると思わないと答え、若干前者が多いという結果でした。意見は割れていますね。
しかし一方で、選考時期を遅らせることで学生の就職意識が高まるかを採用担当者に聞いたところ、高まると思うと答えたのが27.9%に対して、思わないが56.1%と、後者の方が倍近い数字でした。どうやら、選考時期を遅らせるだけでは本質的な問題解決にはならないと考えている採用担当者は多いようです。
学業圧迫という点では、私は選考時期はあまり関係ないと思います。それより、学生がどれだけ長く、多く、就職活動をしなければならないか、という長期化と活動量の多さの方が影響が大きいはずだと思っています。ここをどう改善するかが一つのポイントでしょう。
そもそも、大学は学生のキャリア意識を高めようと、大学1年生から色々なカリキュラムを増やしています。3年になるとすぐに就職ガイダンスを行い、夏のインターンシップを奨励しています。大学自体が就職指導を早期化しているのです。私はそれを悪いとは言いません。自校の学生の就職意識を少しでも早くから高め、就職活動がうまくいくように考えての指導でしょう。ただ、これではいくら就職情報会社が就職ナビのオープン時期をある程度遅らせようが、選考時期が遅くなってしまうと長期化は避けられないと思います。
また、言葉は悪いのですが、圧迫されると言われるほど多くの大学の授業の内容は立派なのでしょうか。おそらくそれは一部の偏差値の高い理系学生にのみ当てはまることでしょう。文系ではかなり偏差値の高い学校でも3年生で単位を取り終えて就職活動に臨む学生も少なからずいますし、そもそも3年間で取り終えるカリキュラムは問題にされないのでしょうか。学業が充実しないことの理由はまずは大学にこそ問われるべきことだと私は思います。(もちろんまじめに取り組んでいる大学、先生、職員の方も多数いらっしゃいます)
また、その「学業を圧迫される」理系学生については、夏の時期は卒業研究に打ち込まないといけない時期なので、選考時期を夏にするとかえって学業を圧迫するという声も多数あります。
さて、今回のまとめをします。
仮に学業圧迫を問題にするのであれば、選考時期の問題ではない、私は思います。長期化と活動量の多さが問題だと考えます。
ただ、学業云々は大学自体の問題ではないかと思います。一部理系学生は確かに圧迫されている面があるでしょうが、夏にすれば事態はさらに悪くなる可能性もあります。
さらに重要なことは、現在の就職問題においては学業圧迫が主要な課題ではなく、多くの就職難民を生み出す構図が問題であり、そのことからまず議論すべきだということです。
ということで、選考時期さえ遅らせれば学業圧迫が減少し、就職状況が改善する一要因になるという論法は成り立たないと考えます。
皆さんはいかがお考えでしょうか。
下記のリンク先から、数問の簡単なアンケートで皆さんのご意見をいただけるようにしています。次回のコラムでは、そのご意見をできるだけ多く紹介したいと思います。
(2010.11.18掲載)
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