先日、3月1日から採用活動が解禁された。ニュースでは働きやすい会社を選びたいという学生の声を拾っている。働きやすい会社の定義は様々だが、2017年3月に卒業予定の学生約900人に行った就活終盤の業界イメージ調査では、働きやすさを「残業や休日出勤が少ない」、「福利厚生制度が充実」、としている。(出典 キャリタス就活2017学生モニター、就活活動終盤(11月)の業界イメージ調査)
助成金を活用した「働き方改革」!

「働きやすさ」で大事なところは?

 「働きやすさ」を考えたときに、前述のような労働時間・休日といった物理的な面はもちろん大事であろう。では、一歩踏み込んで、社員のモチベーションを上げる、組織を活性化している、といった内面的な部分へのアプローチはどうだろうか。単に長時間労働がない、休みが多い、といったことだけではなく、働いていて楽しい、やりがいがある、自身が成長できる、と感じられるか重要ではないだろうか。

 とはいえ、社員のモチベーション向上・組織の活性化、と一口でいってもどこから手を付けるべきか、わからない方も多いであろう。そこで、本稿では、それらの施策の切り口の一つとして、厚労省の助成金を活用した人材育成制度導入をご紹介する。

キャリア形成促進助成金とは

 キャリア形成促進助成金とは、教育訓練、職業能力評価、キャリア・ドック(キャリアコンサルティング)、技能検定奨励、教育訓練等のための休暇取得の奨励、社内検定の制度導入を支援するものである。体系的、計画的に制度として企業に根付かせ、中長期に渡り人材育成を図る。
 なお、助成金活用にあたっては、職業能力開発促進法を根拠とした職業能力開発推進者の選任と、企業内職業能力開発計画の作成が前提となる。開発計画には経営理念、人材育成方針の策定も必須である。社是、理念などは究極の目的として、成文化する。理念と組織として取るべき行動の食い違いがないようにするためにも成文化し、ことあるごとに確認・徹底することが大切だ。また、JAVADA(中央職業能力協会)の基準や、その他の職業団体が作成している、汎用性のある能力評価基準の活用も必要となってくる。

 キャリア形成促進助成金の中でも特徴的な支援は、キャリア・ドック制度である。
 企業がコンサルティングの機会と費用を提供するが、コンサル結果は本人だけが所持する。企業が職業生活の節目と設定した時期に、自分を見つめ直し、自身のキャリアマネジメントを手助けする。また、教育訓練・職業能力評価の制度導入には、職業能力体系を作る必要があるのだが、この制度を導入することで、これまで社員の仕事を体系的に考えたことがなかった、きちんと把握していなかったところを、組織や仕事の見直しができるようになったという声もある。是非そういった面からも活用してほしい。

 働き方を見直す上で、もう一つやるべき事は業務フローの見直しである。
 仕事も人の体も、入り口と出口、どこかに異常があれば流れが滞る。それをほったらかすと、病気になる。

 もっとよい方法はないか、社員で集まり、溢れているであろう“変じゃない?”を、まずは気軽にワイワイと出し合ってみてはどうか。評価基準の見える化、教育、そして業務フローの見直し。生活を豊かにしようとする思いやりを心に秘めて、文化やルールをかえていく、労使の知恵の絞りどころである。
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