SNSをはじめ、なんらかの形で人はつながっていたい。
「つながりたい」は、生きる力である。今回は、「つなぐ」ことの重要性について考えてみた。
つなぐ力

「つながり」がくれる勇気

最近91歳で逝った母は、最後まで携帯電話を手元に置きたがった。孤独を感じがちな病院で娘達へ直接つながる安心の糸だ。「つながりたい」の想いは、年齢不問である。

母は、5年前からショートステイに通うようになり、8日間の入院生活で最期を迎えた。
その間お世話になった方々がいかに多かったか。改めて感謝申し上げねばならない。それもそのお仕事の専門家達多数、である。病院においても、また多くの方々にお世話になった。いろいろな職務の方々が、その役割を誠実に果たしてくださった。

当初、私達は在宅での看取りを希望していた。なぜなら、誰にも遠慮がいらない、自分だけの生活空間、家の空気を感じることこそ重要だと考えていたからだ。

だが、一人でいたい、一人にならざるを得ない状況でも、支援は必要になる。

病院では、ソーシャルワーカーの方が中心となり、ケアマネージャー、看護師、通所介護施設の施設長、ヘルパー、家族等関係者を一同に集めたカンファレンスを開いている。患者と家族の希望を、どうやったら叶えることができるのか話し合い、チームを組んで支え合う機能があった。残念ながらこれらは計画のみに終わってしまったが、たいへん心強く感じた。相談できる、一人ではできないことも、関係者の方々とつながり、専門家の方々の力を頂くことで、「大丈夫できる」と、一歩踏み出す勇気が湧いた。

支援の力をつなぐ

私の母の介護の例も含め、昨今、就職でつまずく若者、働く中で心身に障害を抱える人、育児・介護を抱える人・・・と、一人では抱えきれないものをたくさん背負いながら働いている方は確実に増えている。

そんな現代社会において、今後企業で強く求められることは、方向性を定め、組織を横断的に「つなぐ力」であろう。
たとえば、介護問題、メンタルヘルスの問題についても、本当に支援を必要としている人たちへ支援や精度が行き届いていないのではないだろうか。それぞれの知識や技術を活かすにはひとりでは限りがある。だからこそ、そういった状況に介入し、専門的な知識や経験をもつところへとつなげることが、重要になってくる。

いざ支援する側に立つ時、その人の生活や人生に深く関わっていることを考慮し、配慮をしなければ、物事は上手くは運ぶまい。支援の根幹は一人一人の尊厳を守ることにある。その人が今まで歩んできた道、生活する姿、地域や職場での働きなど、広い視点で受け止めることが必要とされる。

私自身も、メンタルヘルス法務主任者の講座、事例検討の機会を通して素晴らしい専門家の先生方から多くを学び、今後も学び続ける必要性に加え、多面的なつながりを持つ重要性を深く感じている。専門家であるだけでなく、きめ細かく、しなやかで強い、「支援」というネットワークを、つなぐ人でありたい、と想いを強くした。
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