枝豆にビール、そうめんにミョウガでさっぱり、時折焼き肉うなぎ・・・では、今年の夏は乗り切れないかもしれぬ、と感じている。いや、これからずっと。
沖縄の食に学ぶ	ストレス軽減対策

暑さに順応するにもストレスが・・・

今年は、2週間くらい季節の進みが早い。桜が咲く頃から感じていた。梅が出回る時期になり、いよいよその感は強まった。何だか落ち着かない、の会話が多くなり、体への影響もでているようだ。私の場合も、梅雨に入ってからは十分眠っているのに、眠い。

医者は、熱調整を行う甲状腺の働きが温度変化に慣れていないだけ、という。暑さに順応しようとするストレスは大変なもので、それが眠気を誘うらしい。
これは、夏のいっときを過ごせばよい問題ではなく、生活スタイルを熱帯バージョンにする、その時対応ではなく、体を作りこんでいくような姿勢が必要なのではないか。ぼんやりとはしていられない。
私達の生活スタイル、特に食を見直さないと、メンタルにも影響を及ぼし生活の質、労働の質を著しく低下させるのではないかという危機感を覚える。

そのような中、尚弘子氏著、“暮らしの中の栄養学―沖縄型食生活と長寿”を知った。
暑い国の食としてスペインやモロッコなども興味深い。沖縄県は日本国内唯一の亜熱帯性の土地。台風などの自然災害も多く、水も潤沢ではない。厳しい条件の中で長寿日本一を達成した沖縄の食に、まず学ぼうと思う。

ストレス軽減のためには

2013年に沖縄県は長寿県一位を長野県に譲った。
一位を維持していた沖縄が転落した要因は何か。実は、琉球大学食物学研究室では、20年以上前(2008年当時で)から、「沖縄の長寿は危うし」と警告を発し、現状を予測していたのである。

尚氏は、沖縄で生まれ育ち、沖縄大空襲を経験。1952年にアメリカへ渡り栄養学を学んだ。帰国後は地域に貢献し続けている方だ。本書では、沖縄の食べ方を栄養学的、薬学的に解説してあり、沖縄の食生活の優れた点が書かれている。また、栄養学に馴染みのない方でも、沖縄への思い、研究者としての感動など十分に読み応えがある一冊となっている。

この中で述べられていた、何よりも大切なことについて引用させていただくと、
最新の国政調査結果(2008年の時点)でも、女性は辛うじて長寿県一位の座を保つことができたものの、男性は前回一位アップの二十五位にとどまりました。長寿県沖縄を取り戻すためにはやはり初心を忘れず、古き良き時代の教訓に学び「食べ物が、人をつくる」という「医食同源・薬食同源」の意識で、県民の一人一人が食に対する感謝の念を抱くことが最も大切だと思います。 とある。

一方、長野県は塩分摂取が高く脳卒中が恐れられていた。
私が子供のころの魚屋の鮮度は悪かった。理科の時間、先生が、希塩酸をつけたガラス棒を近づけるとアンモニアに反応して白い煙が出る、と比喩したのを今でも鮮明に覚えている。だからこそ、長野県は食生活改善推進を地域ぐるみで行ったのである。

沖縄で寿命を下げている直接の要因は、若い人々の高脂質・高カロリー・野菜不足等にあるようだ。若い人口が減少する中で、さらに短命。これは沖縄だけの問題ではなく、他県でも同様とあれば、国が傾く。企業も同様だ。
 
暑さへの対応というのは、何か特殊な食材をとればよいものではなく、その地域の自然に逆らわないで育った食材、方法で作ったものを、日頃から“食べこむ”こと。食べこむことができる仕組みづくりが基本だ、ということがわかる。体に障るものは取り除き、頂けるものは頂ける限りを頂きつくす。体に、手にもつ、ということだ。

目先のストレス緩和対策にとらわれるのではなく、夏の暑さ対策とともに、根本的な生活を見直してみてはいかがか。
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