インターネットを検索していたら、面白そうなCNNの記事を偶然に見つけた。表題は“Why more Americans don’t travel abroad”。「なぜ、多くのアメリカ人は海外旅行をしないのか?」。
記事によると、アメリカ人は自国に多様な環境を持つことから、それで満足するそうだ(US Travel Association副会長の発言)。データとしては古いが、2009年のアメリカ人の海外旅行者は6,150万人で、そのうち50%は近隣のメキシコとカナダへの旅行で済ませているらしい。
記事によると、アメリカ人は自国に多様な環境を持つことから、それで満足するそうだ(US Travel Association副会長の発言)。データとしては古いが、2009年のアメリカ人の海外旅行者は6,150万人で、そのうち50%は近隣のメキシコとカナダへの旅行で済ませているらしい。
アメリカ人が海外旅行をしない理由
さらに、アメリカ人のパスポート保有率は30%。2007年まではメキシコとカナダへの渡航にパスポートは不要だったそうで、それ以降、若者中心にパスポート取得者が増加したにもかかわらずだ。そうであれば、2007年以前の保有率は10%台?カナダ人が60%、イギリス人が75%の保有率であるのと比較したら雲泥の差だ。意外とアメリカ人はドメスティックな国民性なのかもしれない。そういえば、アメリカ人は外国語をほとんど話さない(知らない?)と言うし、野球好きにはおなじみの「ワールド・シリーズ」という名称も考えてみれば奇妙だ。本来であれば、この「ワールド・シリーズ」は全米一決定戦だから、「USシリーズ」と言ってもよさそうなものである。しかし、「ワールド・シリーズ」と銘打つ。もしかして、アメリカ人の「ワールド」は全米50州のこと?
確かに、アメリカの正式名称は「United State of America」。州が国家で、その集合体たる全米50州は「ワールド」?の感覚なのかもしれない。
話を戻せば、先ほどの記事にはアメリカ人があまり海外旅行をしようとしない要因が4つほどにまとめてあった。
①Cultural and geographical diversity
(自国の文化的・地理的多様性)
②Skepticism and ignorance
(外国に対する猜疑心と無知)
③Work Culture
(働く文化風土)
④Cost and logistics
(費用と移動時間)
仕事柄、興味をそそったのは③の「Work Culture」。例えば、ニュージーランドやイギリスのように人生の重要な時期に1年間の休暇をとったら、アメリカでは昇進できない。だから、アメリカでは大学卒業後は直ちに就職するのが普通であり、履歴書に空白があったりすれば、社員としての資質に疑問符がつけられてしまうそうだ。
さらに、ヨーロッパでは6週間から8週間のヴァケーションをとるのに対して、アメリカ人は平均16.6日の有給休暇をもっているにもかかわらず、36%の人は完全消化する計画は立てないとのこと。
このアメリカ人の労働観には驚いた。予断を持ちすぎていたのかもしれないが、アメリカ人は「休暇<お金」が好みのようだ。
USAとJAPAN
事のついでに、日本人のパスポート保有率を調べてみた。平成24年12月末時点の保有率は23.98%で、案の定アメリカを下回っていた。ベスト3は以下のとおり。
①東京都 37.14%
②神奈川県 32.90%
③千葉県 28.76%
予想どおり、首都圏の都県が並んだ。グローバルビジネスの拠点であるのと富裕層の多さが要因なのだろう。
一方で、ワースト3は次のとおり。
①青森県 8.86%
②岩手県 10.03%
③秋田県 10.27%
こちらも、予想どおりといえば予想どおり。10位までには、東北、九州、四国、山陰地方の過疎県が並んでいる。
わが長崎県も13.83%のパスポート保有率でワースト10位に甘んじている。従前から国際文化・観光交流を標榜している割には低すぎる。長崎県に限らず、時に政治・行政は無意識に勘違いすることがある。海外からの誘客に力点を置き過ぎるため、本質が霞んでしまい、真の国際交流が遠のいてしまうのだ。発想を転換し、国民に内外の温度差を体感させる施策を地道に展開していくことも必要な時代だろう。
こうして見てくれば、USAもJAPANもドメスティックさでは似た者同士のようである。
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