グローバルコミュニケーションにおいて英語力は単なるツールに過ぎません。外国人に自分の想いを伝えるためには、自信を持って話すこと、そして「あなたと一緒に話したい」という一生懸命な姿勢を見せることが、何よりも大切なのです。そこで最終回となる今回は、実践を通じて自信を身につけながら、コミュニケーション力を向上させるプログラム『英語deリーダーシップ®』と、企業の理念を外国人従業員により正確に、より効果的に伝えるためのプログラム『英語de理念®』についてご紹介させていただきます。
理念浸透とコミュニケーション力の向上が鍵
日本企業がグローバル展開するために、欠かせないものとは一体何でしょうか。第一に必要なのは、本社がきちんとビジネスの機能を先導し、統一された組織の理念や考え方を創出すること。そしてそれをグローバルに浸透させることです。我が社のDNAとは何か、アイデンティティとは何か、将来のビジョンは何か――グローバル企業を目指すならば、こうした企業理念を全社的に共有し、思いを一つに統一させる必要があります。また理念の浸透には、会社へのロイヤルティーを高める効果もあるのです。たとえ日本から離れていても、「会社はあなたを仲間として認めている」「大事に思っている」というメッセージとなり、組織としてより一体感が強まるでしょう。さらに、日本のすべての従業員は、業務に求められる専門知識だけでなく、目的意識や自信、コミュニケーションスキルも身につけなければなりません。例えばマインドセットを変えて自信を持つことで、大勢の人の前でも英語で堂々とプレゼンテーションができるようになります。また、英語力に頼るだけでなく、高いコミュニケーションスキルも身につけることで、よりグローバルな舞台で貢献できる人材になれるはずです。
『英語deリーダーシップ®』でコミュニケーション力をアップ
弊社が提供する『英語deリーダーシップ®』は、英語をツールにコミュニケーション力の向上を目指し、大勢の人たちの前でも自信を持って英語でプレゼンテーションができる精神力を身につけていきます。本コースは、基礎英語力アップを目指した「理論」先行型ではありません。「実践」を通し、グローバル舞台で通じる英語を使い、何よりもコミュニケーション力を重視したグローバルリーダーシップ向上のためのプログラムです。【プログラム内容】
①「Receiving/受け取る」
他者の意見やアイディアなどをアクティブに見聞きする訓練をする。
②「Conveying/伝える」
他者へ情報、意見、指示等の効果的な提供方法を“LOGICAL・CONFIDENCE・PROFESSIONAL”な観点で学ぶ。
③「Exchanging/話し合う」
意見交換の方法や、意見の相違がある場合にはどう伝えるか、もしそういった場合でもどうしたら良い関係が構築できるかなどをロールプレイで実践的に学ぶ。
『英語deリーダーシップ®』導入事例
では、実際に研修を行った外資系建設機器メーカーの事例をご紹介しましょう。同社では中堅管理職候補7名が研修に参加しました。彼らの大半は英語を日常業務の中で使っていましたが、月に1度の海外拠点との定例ビデオ会議などでは、発言も少なくなりがちで、意見も事前に用意した原稿を読むことがしばしばだったそうです。また、数カ月に一度は海外で地域責任者が集まる会議が開催され、日本側代表としてプレゼンテーションを行うこともあります。そのためプレゼンテ―ション力や会議での発言力を向上させて、グローバル環境でリーダーシップを発揮できる人材の育成が急務となっていました。研修実施後、参加者の方々からは「従来のプレゼンテーション方法で外国人にも十分に伝わると思っていたが、やはり話術がないと説得力に欠け、出席者が飽きて集中力がなくなってしまうと改めて感じた」、「表や図よりコミュニケーション力の強化が重要であると再確認した」、「グローバルリーダーシップを発揮するには英語力だけでなく、グローバルマインドを育むことがとても大切であると気がついた」といった感想が寄せられています。
グローバル時代の企業理念浸透プログラム
『英語de理念®』は、外国人従業員に企業理念を正しく伝えるためのプログラムです。「我が社の企業理念は日本的なため、外国人には理解できないだろう」といった声がよく聞かれますが、企業理念が外国人に理解されないと感じる一因は、内容そのものよりも、伝え方に問題がある場合が多く見受けられます。単に英語に翻訳し、右から左へと伝えるだけでは、企業理念の中にある「企業の思い」をひとり一人にしっかり根づかせることは難しいでしょう。正確な翻訳は当然のこと、外国人従業員の注意を惹きつけるような方法で伝えることが大切です。弊社プログラムでは、コミュニケーション戦略を考え、独自のプログラムを構築し、グローバル規模での「企業理念浸透の成功」を目指します。『英語de理念®』導入事例
出光興産株式会社では、創業者・出光佐三氏が掲げた五つの主義方針「人間尊重」「大家族主義」「独立自治」「黄金の奴隷たるなかれ」「生産者より消費者へ」を海外の従業員に伝えたいとの依頼を受け、2013年から6カ所の海外拠点でプログラムを展開。研修の企画から実施、トレイン・ザ・トレーナー、さらにはeラーニングなども現在進めています。株式会社日立製作所では、『英語de日立グループ・アイデンティティ』という研修を実施しました。これは『英語de理念®』のコンセプトを同社向けにカスタマイズしたプログラムで、日本人社員を対象としていました。日本語と英語の資料を持ち、まずは日本語で理念を理解・確認して、次に英語で理念について語ることができるように練習。外国人に理念を正しく伝える技術を身につけました。
大手メーカの企業では、以前は企業理念が書かれた「○○ウェイ」の英語版を海外の拠点に配布するだけでしたが、それだけではうまく浸透しないということで、私自身がマスタートレーナーとなり、アメリカの幹部向けに1・5日間の理念浸透プログラムを実施。さらにシンガポールでもプログラムのデザインから実施、研修の内製化まで、トータルで企業理念浸透をサポートしました。
近頃の日本人は、少子高齢化や国内市場の縮小など、暗い見通しが多いせいか、自信を失いかけているようにも見えます。しかし外国人の私の目には、社会のインフラや日本人ならではの考え方・やり方など、優れた点、誇るべき点が、まだまだたくさん映ります。そうした日本の良いところを海外の人たちに伝えること、そして架け橋になることが、私の使命です。企業にとって、私はあくまでも外部の人間ですが、人事の仕事を進める中で、「これはブライアンに相談したい」、「チームの一員として意見が聞きたい」と思っていただければ、それ以上のやりがいはありません。私のセールスポイントでもある、海外拠点から見た人事と、本部人事から見た海外拠点という両方の視点を活かし、少しでも皆様のお役に立てればと考えておりますので、ぜひお気軽に声をかけてください。
※本コラム中の取引先社名は、特別許可の上、記載させていただきました。
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