上司としてすべきこと、してはいけないこと
もちろん、尊重されているという気持ちも大切ですが、それはどうすれば生まれるのでしょうか。それを明らかにするために当社では、創業以来20年の歳月をかけて人間関係の研究に集中しました。その結果、エンゲージメントを引き出す30原則をまとめました。社員が、自分が尊重されていると感じられるための原則をいくつかご紹介しましょう。1、上司として、批判も非難もしない。不平も言わない。
ボスが部下に批判ばかり言う、非難ばかり言う、グチばかり言っていれば、部下は自信がなくなり、熱意も失われ、良い結果は出てきません。これはしないでください。
2、誠実な感謝、賞賛を与える。これは、ごますり、つまりフェイクではなくて、誠実なものでなければなりません。あなたが仕事の部下を持つ立場にいるのなら、上司としての今の自分が、1日のうちに何分ぐらい部下に誠実な感謝、賞賛を与えているかを考えてください。部下のやる気を引き出すには、これがとても大切です。
でも問題は、私たちはものすごく仕事で忙しく、上司はとくに忙しくて自分だけで 手いっぱいの状態です。だから、部下のいい面を見てあげる余裕がない。そうすると、この当たり前のことを忘れてしまいます。
ここであらためて、エンゲージメントを高めるためには感謝する、誠実な感謝をすることが大事だということを心にとどめてください。
もうひとつのポイントは、これはすごく簡単なことです。当社がまとめた30原則のなかでは5番目にあげているものです。それは笑顔で接すること。
外国人の目から見ると、日本人はまじめな顔とアングリー、つまり怒った顔が一緒です。まじめな顔とアンハッピーな顔も一緒です。だから笑顔が大切です。相手と話す前に笑顔を出す準備をして話すようにすると、そうでない場合と比べて影響力が違ってきます。当たり前のことですが、忙しいとこれも忘れてしまいます。
もうひとつ、誠意をこめて接すること。社員の気持ちの中には、自分の仕事はこの会社と関係ないという気持ちがあります。でも、上司が部下に誠意をもって接して、あなたの仕事は大事です、あなたの努力を認めていますよ、ということを忘れずに伝えるようにしましょう。
とくに若い人に新しいアイデアを出してほしい場合は、出てきたアイデアを否定することはやってはいけないことです。上司に頭ごなしに否定されたら、若い社員は委縮してアイデアが出せなくなります。ところが、上司はこれを忘れてしまうんです。そんなときこそ、部下の話をしっかりと聞いて、ほめることを忘れてはいけません。
もうひとつ大切なことは、命令をしないで、意見を認めること。上司との関係が一番大切ですから、この原則を使って人間関係がうまくなると、エンゲージメントが高まっていきます。
皆さんも考えてください。エンゲージメントを高めるには、上司と部下のどういう関係が必要か、どういう会話が必要か、どういう経営のやり方が必要か。
当社の研修では、どの分野の研修でも、このエンゲージメントを高めるための人間関係の作り方からスタートします。皆さんも、ぜひ、エンゲージメントを高めることに取り組んでください。これはコスト0円でできるものです。