人事だけでなく組織開発の視点から見る

ビジネスを支援し、組織を変える人事(人材マネジメント)のありかたについて
4つ目は、組織改革です。人の開発は大事ですが、組織を開発することも考えておくべきでしょう。人の能力を課発、開花させるのと同様に、組織としての能力を開発するのが組織開発です。では、組織能力とは何か。人が育つ職場、現場かどうか、組織文化や企業理念がちゃんと共有されているか、コミュニケーションが取れているかといったことです。欧米企業では、組織開発をする専門の部署があるのが一般的です。これは役員が直接見る組織で、いわゆる人事はこの下に置かれるといった構造になっています。
日本企業には、この組織開発の部署がなく、人事が兼務することが多いようです。もっとも幾つかの日本企業では、現場がしっかりしており、自ら組織開発をしてきました。「カイゼン」に代表されるように、トヨタは現場の組織開発をしてきたから強い企業になれたのです。現場の自主性も大切ですが、今後は人事としても組織開発の考え方を取り入れていくことが重要になるでしょう。

中間層が朝起きて「会社に行きたい」と思える管理を

5つ目は、先ほども述べましたが、普通の人がモチベーションを持てるようにすることです。企業の成長が止まり、昇進の希望が少なくなると、中間層、普通の人はモチベーションを持ちづらくなります。しかし、彼ら・彼女らが仕事にポジティブな思いをもって仕事をするように仕向けるかが大切になります。真ん中の層の人材は、「社長になりたい」「偉くなりたい」という夢がなくても、安心や安定、公平感、人として扱われるといったことを求めているのかもしれません。いかに中間層が朝起きて「会社に行きたい」と思えるか、仕事を面白いと感じ、いかにワークライフバランスを楽しめるか。彼らが、中流の普通の人らしく生きていくためにも、人事は働きかけをするべきでしょう。トップ層へのケアも重要ですが、真ん中の層に頑張ってもらうという観点も、これからの企業の競争力になるでしょう。

コストセンターたる人事はデリバラブル志向で

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