原体験があるから頑張れる

イノベーターには、強烈な原体験と高いアイデンティティが必要です。エアバッグは緊急時に火薬が爆発し、一瞬にして風船を膨らませます。ホンダが作りました。「自動車に火薬を積むなんて非常識だ」という声もあり、全ての自動車メーカーが開発を止めました。そのような中、なぜホンダの開発者は頑張れたのか。彼は「新入社員のとき、憧れの本田宗一郎さんから直々に『安全が大事だ』と言われたからだ」と答えています。それが彼の原体験になっているのです。
ユーノスロードスターは、走りを重視したマツダらしい車です。でも、開発当時は批判されました。アメリカには小型のスポーツカーという市場がない、もっと排気量を大きくせよ等々の声が聞こえました。マーケットリサーチに従うと、確かにそうなのです。しかし、開発者は自分の絶対価値に忠実に頑張った。彼は以前、客から叱られた経験がありました。「トヨタや日産と同じ車を作っているんだったら、マツダなんていらないんだよ」と。後日、ユーノスロードスターの開発者に抜擢されたとき、この原体験を大切に「人馬一体」というコンセプトを編み出します。顧客から浴びせられた痛烈な一言が、彼の原体験だったのです。

高いアイデンティティがあるからブレない

変わらない組織を変える!次世代リーダー育成の新セオリー
イノベーターは自分をイノベーターだと思っており、周りからもそう見られています。高杉晋作は吉田松陰に「お前は革命家だ」と言われたから、革命家というアイデンティティを形作りました。坂本竜馬は、咸臨丸でアメリカ渡航経験のある勝海舟から「日本を変える男だ」と言われ、自分のアイデンティティを育みました。
イノベーターは、自らのアイデンティティを「イノベーターだ」と規定しています。価値観は挑戦、創造、ユニーク。ビジョンを描き、行動し、情熱的です。一方、一般的なサラリーマンはどうか。アイデンティティは「会社の歯車」です。価値観は協調、安定にあり、言われたことはソツなくこなすが、決断力は弱い。行動は前例踏襲で、愚痴を言いあう仲間同士でつるんでいる。そんな状態で、どこからイノベーションが出てくるのでしょうか。

ミッション、制約の中から独創的なアイデアが出る

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