成功の秘訣は運用面。「丁寧な運用こそ人事担当者の腕の見せどころ」
グランプリ2社は成功の秘訣について、「全ての施策をコンスタントに実行すること。当たり前のことを当たり前に継続すること」(大庭氏)、「決め手はないのでいろいろと手を打っている」(小林氏)と述べ、地道な取り組みが実を結んだと振り返った。取り組みの継続は時間の経過とともに飽きや形骸化の恐れがあるが、その対策について白河氏は、トップが「なぜこれをやるか」を発信し続けることと、制度を丁寧に運用することが大切だと解説。特に後者については、法定と同程度の制度しか備えていない企業でも人事からの丁寧な声かけにより高い男性育休取得率を誇る会社もあると例示し、「丁寧な運用こそ人事担当者の腕の見せ所」とした。
また、両者は男性社員の意識改革の重要性も強調。大庭氏は40~50代管理職の「無意識のバイアス」への対策を紹介。この世代は本人に自覚がなくとも男女役割分業意識が根深い傾向があるため、無意識のバイアスに気づかせる研修を取り入れているという。一方小林氏も、育休を取得した男性従業員に人事から感謝を伝え、「育休取得は家庭でも職場でも喜ばれる」という利益実感に結びつけたことを紹介した。
今回のアワード受賞企業・個人からは、イクメン推進と働き方改革が人材獲得や業績アップなどの成果につながっている事例が数多く紹介された。ダイバーシティを実現し、性別・年代・勤務形態を問わず様々な人材が活きる企業ではイノベーションが生まれる可能性も高まる。イクメン推進が経営課題として重要性を増していることは明白で、追随する企業にとってはアワード受賞企業・個人が有益なロールモデルとなるだろう。