(3)アナリティクス(データ分析)の進化
データ分析はどこまで高度に進化しているのでしょうか。データ分析の進化のステップと最新テクノロジーをご紹介します。段階1:記述的分析(Descriptive Analytics)
この段階では、過去のデータの集計であり、過去の事象をグラフや数値で確認できます。高度に標準化されたもので、多くの人々にレポートとして提供されることを前提としています。
段階2:予測的分析(Predictive Analytics)
予測的分析とは、将来起こり得ることを過去の事象データから導き出す高度な分析です。
たとえばIBM Kenexa Watson Talent Insightsは、分析結果から得られた知見により将来を予測するための分析ツールであり、予測的分析を実現する製品と言えます。
段階3:規範的分析(Prescriptive Analytics)
将来予測の結果が望ましいものでなかった場合、望ましい状況にするための最適なアクションをも提案できるほどの先進的な分析を規範的分析といいます。
たとえばIBM Kenexa Employee Voiceは単なるパルス・サーベイを実施するためのツールではなく、サーベイ結果に基づくアクションプランの生成まで行うのが特徴で、規範的分析を実現するツールです。
単なる過去のデータの集計ではなく、そこから将来を予測し、望ましい結果に向けて取るべきアクションまでを提案するデータ分析を考えていくことが重要です。また、それは高度にカスタマイズできる柔軟性を備え、特定の人をターゲットにしたものであるという点も特徴です。
北米地域では、人事機能のうちの86%が単なるレポーティングにとどまり、14%の領域でのみ高度な分析を行っているといわれています(デロイト調べ)。
日本の人事業務においても、人事担当者や管理職の直感や経験ではなく、客観的なデータに基づいてさまざまな判断を行い、各従業員に対して適切なアドバイスを行う「オーダーメイド人事」への取り組みが始まっています。一方、「日本の人事部人事白書2016(*)」によると、「採用」と「労務・給与・人件費」以外の領域(育成・キャリア支援、モチベーションやエンゲージメント向上のための人事戦略立案、等)では、データによる分析を「実行していない」と回答した人事担当者が40~50%台と、まだデータが十分に活用されているとは言えない状況になっています。
(*) 2016年6月、株式会社アイ・キュー発行。のべ4036社、4130人を対象とした調査レポート
なお IBMの調査では、人事において「分析」が活用される局面のトップ10は下図のとおりです。