エンゲージメントが低下し続ける日本社会
エンゲージメントとは何かというと、高いパフォーマンスを発揮するために、社員の感情的、知的なコミットメントを作っていくということです。自分の会社で、自分の社員が心と頭を十分に会社のために使っていると考えている人は手をあげてください。少ないですね。しかし、もっと社員のほうから力を発揮することができるはずだと思います。エンゲージメントといっても、誰もが同じような意欲を持っているわけではありません。当社では、エンゲージメントに対する反応のありようで、レベルを3段階に分けています。第一は、完全なエンゲージメント。
第二は、部分的なエンゲージメント。
第三が、ディス・エンゲージメント。
完全なエンゲージメントは、利益に貢献している、生産性にコミットするなど、オーナーのような考え方をもてる社員です。頭と心を両方使って、会社のことを考えている社員です。このような社員たちは定着率も高くなります。
部分的なエンゲージメントは、日本で重視されているものかもしれません。これは成果ではなく、タスクを重視したありようです。私はこれまで20年にわたって日本人のスタッフと仕事をしてきましたが、スタッフの仕事に対する態度として多いのが、新しい仕事をさせようとすると。「ボス、ちょっと待ってください、私の仕事はこれです、これ以外には何も頼まないでください」というものです。これが私の世界、これだけで忙しい、他のことはできない、という仕事の仕方です。それでも、自分の担当する仕事については熱意をもって取り組むことができる、部分的に会社のことを考えられるという人です。
ディス・エンゲージメントは、文句ばかりの人です。「いやあ、うちの上司はね」とか、「うちの会社はー」、というような人です。
一般的な会社では、完全なエンゲージメント、部分的なエンゲージメント、ディス・エンゲージメントがそれぞれ何パーセントぐらいいるでしょうか? アメリカと日本を比較してみましょう。
アメリカでは、エンゲージメントに取り組んでいる会社を例にとると、完全なエンゲージが30%ぐらい、部分的なエンゲージが21%ぐらい、ディス・エンゲージが30%ぐらいです。皆さんの会社と比較するといかがでしたか。
一方、日本の現状としては、2009年6月のデータでみると、完全なエンゲージメントは7%だけで、ディス・エンゲージメントが50%を占めるという結果でした。さらに13年の結果では、完全なエンゲージメントは2%に下がり、ディス・エンゲージメントが77%を占めています。