採用活動の後倒しは多くの問題をはらむ

リクルートワークス研究で、従業員1000人未満(中小)と1000人以上(大手)に企業群を分けて調べた調査があります。現状、内定出しの時期は、大手は4月にピークがあり、5月も多く、この2カ月に集中しています。中小は4月ごろからなだらかな丘状で年内まで続きます。あまりに早くに内定を出すと、ひっくり返されるからです。この大手の内定出しのピークが4月から8月にずれると、中小の採用期間はいまの半分、実質10~12月となるでしょう。企業数は1000人未満の中小のほうが多く、新卒採用数全体の4分の3もあるのです。何らかのひずみが出てくると予想されます。
また、学生にとって就活はビッグイベントです。海外の学生と比較調査をしました。海外の場合、高校時代から大学早期に「進路」を決め、大学後期に「就職先」を決めます。ところが日本は大学後期に「進路」も「就職先」も決める慌ただしさ。進路決定に大きな影響を与えるものも海外が「親」であるのに対し、日本は「就職活動」です。
日本の学生は、大学後期という限られた期間に、忙しく、試行錯誤しながら社会と向き合って成長していくようです。ところが後倒しになったら、ただでさえ短い成長の期間がさらに短くなります。このように、いろいろな問題をはらんでいるのです。

インターンシップを採用活動の一環に

新卒採用の大変革期を迎えて
採用活動が後倒しになったら、人材争奪競争は激しくなり、内定辞退も増え、人を採れる企業と採れない企業の採用格差が生まれそうです。そうしたサバイバルな状態へ対応する動きは、すでに2015年卒から始まっています。具体的な兆候は4つあります。
1つ目は、インターシップの増加です。新規の実施、実施回数の増加、受け入れ人数の拡大、実施期間の延長、内容の充実などを図る企業が増えているのです。もともとインターンシップは、海外では採用活動の一環であり、キャリア教育への貢献というのは副次的な意味合いです。しかし日本は、キャリア教育への貢献が主で、採用活動の一環としてのインターンシップは否定されています。そろそろルールをグローバルスタンダードに合わせるべきでないでしょうか。
インターンシップが「キャリア教育への貢献」である場合、実施期間は短いものでした。しかし、採用に直結させようとすると、当人をじっくり評価するためにも長くなります。弊社の調査で、2015年卒の学生のインターンシップを「2週間~1カ月未満」「1カ月以上」と答えた企業は2割近くあり、これらの企業は直結させていないにしても、「採用を意識してインターンシップをしている」といえそうです。

「厳選採用」はできなくなる

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