企業が必要とするプロフェッショナルだけを必要な期間だけ提供する、「プロパートナーズ」というサービスが、企業の人材活用、プロ人材の働き方を大きく変えようとしている。
企業が必要とするプロフェッショナルだけを必要な期間だけ提供する、「プロパートナーズ」というサービスが、企業の人材活用、プロ人材の働き方を大きく変えようとしている。
多角的事業で急成長しているサービス企業C社が、一度失敗した顧客管理システムの構築に成功。生産効率を向上させ、情報システム部門の育成も実現した。それを可能にしたのはプロの「社外システム参謀」を活用したことだという。はたして「社外システム参謀」とはどのようなプロフェッショナルなのか? どのようにシステム構築と情報システム部門の育成を達成したのだろうか?
多角的事業で急成長しているサービス企業C社が、一度失敗した顧客管理システムの構築に成功。生産効率を向上させ、情報システム部門の育成も実現した。それを可能にしたのはプロの「社外システム参謀」を活用したことだという。はたして「社外システム参謀」とはどのようなプロフェッショナルなのか? どのようにシステム構築と情報システム部門の育成を達成したのだろうか?
取材対象者:
プロパートナーズ導入企業 C社 代表取締役 宝田光男さん(仮名)
プロパートナー C社 社外システム参謀 三島信彦さん(仮名)
取材協力:
エッセンス株式会社(http://www.essence.ne.jp/)
取材:
経営プロ編集部
プロパートナーズ導入企業 C社 代表取締役 宝田光男さん(仮名)
プロパートナー C社 社外システム参謀 三島信彦さん(仮名)
取材協力:
エッセンス株式会社(http://www.essence.ne.jp/)
取材:
経営プロ編集部
Part2 色々な強みを必要に応じて活かせるプロパートナーという働き方
プロパートナー/C社「社外システム参謀」三島信彦さんに聞く、プロパートナーという働き方を選んだ理由、仕事の実際、これからの展望。
ITの経験スキルを活かして働きながら、新しいビジネスにも挑戦
――まずこれまでのキャリアについて大まかに教えていただけますか?三島 外資系のシステムベンダー数社で、SE、プロジェクトマネジャー、コンサルタント、プロダクト担当営業責任者などの経験を積みました。現在はIT業界の仲間と新しい会社を立ち上げ、全く別ジャンルのビジネスにも挑戦しています。
――プロパートナーという働き方を選んだのはなぜですか?
三島 新しいビジネスを軌道に乗せるにはかなり時間がかかるので、並行して収益を得る手段が必要だからです。プロパートナーなら、新しいビジネスと並行して週に何日間かをIT関連の仕事にあてて、収入を得ることができます。仲間達ともそれぞれ色々なかたちでITの仕事を継続しています。
――今は何社でブロートナーとしての仕事をしていらっしゃるのでしょうか?
三島 2社です。C社ともう1社。今はそれぞれ週1日ずつです。C社の場合は最初システム開発プロジェクト、次に情報システム部門の育成など、これまでの3年間で仕事の内容が変化していますが、もう1社は人材育成が主な仕事です。
大切なのはしっかり話し合い、信頼関係を築くこと
――C社と最初に接したときの印象はどうでしたか?三島 とてもよかったです。一般的に急成長した新興企業はシステム、業務プロセス整備が遅れているだけでなく、システムに対するオーナーシップという姿勢が欠けていて、「お金さえ出せば、システムベンダーがすべてやってくれる」と思い込んでいることが多いんですが、C社はそうではなかった。それまでの失敗から学び、自分たちが主体となって、よりよいシステムを創っていこうという姿勢がありました。そういう姿勢を見ると、こちらもいいシステムを創るためにがんばろうという気持ちになります。
――最初にそういうことを話し合ったのでしょうか?
三島 話しましたね。これまでどういういきさつがあり、何に困っているか、どういうシステムを作りたいかなどを、顧客管理担当役員としっかり話し合いました。当時C社には情報システム部門がなく、この役員が顧客管理システムプロジェクトの責任者を務めていました。システムの知識はありませんでしたが、顧客管理システムの重要性に対する意識、よいシステムを創ろうという意欲には並々ならぬものがありました。そこで彼と信頼関係を築けたことが、プロジェクトを成功させるための重要なポイントだったと思います。
C社の中に入ってプロジェクトを支援
――プロジェクトにはどのような関わり方をされたのでしょうか?三島 最初、プロジェクトが軌道に乗るまではほぼ毎日通って、プロジェクトチームと話し合いました。軌道に乗ってからも、週2~3日行くことが多かったし、夜遅くに連絡があって相談を受けるといったこともありましたね。C社の各事業の業務プロセスを理解するために、現場に通って話を詳しく聞くといったこともしました。
――かなりC社の中に入り込んでプロジェクトを支援された?
三島 主体はあくまでC社で、顧客管理担当役員と、経験者採用で獲得したシステムベンダー出身の社員が責任をもってプロジェクトを推進していくんですが、それでも何をやらなければならないか、なぜそれが必要かなど、基本的なプロジェクトの進め方からアドバイスしていく必要がありました。しかも、単なるシステムのプロとしてシステム開発について教えるだけでなく、C社側の人間として業態・業務をしっかり理解した上で、アドバイスしていかなければならない。必要ならシステムベンダーとの交渉などにも参加する。システム参謀として、そうしたことは手間を惜しまずやりました。そこがコンサルタントとの違いですね。
――具体的にプロジェクトはどのように進めたのでしょうか?
三島 まず、システムベンダーを選定するために、RFI(情報提供依頼書:システム開発を発注するために必要な、そのベンダーに関する情報の提供を依頼する書類)、RFP(提案依頼書:システムベンダーに要件を提示し、システム実現の提案を依頼する書類)を約10社に出しました。そこから二段階でベンダーを選定していきましたが、選定のポイントとしては、価格だけでなく、提案で「できること/できないこと」が明確になっているか、C社のビジネス、業態をどれだけ理解しているかを重視するように指導しました。
C社とシステムベンダーの調整に苦労
――その結果、かなりよいシステムができあがったと社長からうかがいましたが、成功のポイントは手間を惜しまなかったことでしょうか?三島 実際にはテストの段階まで、かなりトラブルが発生しました。パッケージソフトでなく、一からC社の業務に合わせてシステムを創ろうという意気込みが強すぎて、システムベンダーが作りづらい部分もありましたし、システムとして必ずしも合理的でない部分も多々出てきたからです。私としては基本的にC社側のシステム参謀としてベンダーに接していましたが、C社が譲歩すべきところは公平な視点から指摘した部分もあります。特にコスト面では、闇雲にすべてを絞るとベンダーもやる気をなくしてしまいますから、根拠があるコストは認めるべきだとC社に言いました。また、開発を担当しているエンジニアとユーザーとの接点を多く設ける事で、ベンダーとの一体感、目的意識の共有にも気を配りました。
――C社のニーズもわかるし、システムベンダーの苦労もわかるだけに、難しい立場だったわけですね。
三島 目的はあくまでC社の業務効率向上ですから、彼らのやりやすいようにしてあげたいわけですが、そのためにシステムとしての整合性がとりづらくなり、トラブルが出やすくなる。両者の主張の狭間で調整に苦労しました。それでもなんとか乗り切ることができたのは、やはりC社にもシステムベンダーにも私にも、いいシステムを創りたいという想いがあり、その想いを共有しているという、基本的な信頼関係があったからです。
ニーズに合わせて自分の強みを提供していく
――顧客管理システムは約1年半で完成し、その後は情報システム部門の育成に当たっているとうかがいましたが?三島 情報システム部門がないところからプロジェクトをスタートさせ、彼らを育てながらシステムを完成させたわけです。その次は情報システム部門と人材をどう育てていくかというのが、必然的に課題として浮かび上がってくる。そこで引き続き、その育成を引き受けることになりました。
――システムベンダー時代、人材・組織の育成も経験されていたわけですか?
三島 システムのプロフェッショナルには、ゼネラリストとスペシャリストがあって、私の場合は前者です。システム開発や経営に近い立場でのコンサルティング、ビジネスを売る営業など、色々な経験をしているところが強みになっています。プロジェクトマネジャーやプロダクト担当の営業責任者など、チームや組織を率いて仕事をした経験もかなりあるので、人材や組織の育成ができる。それでシステム開発プロジェクト終了後も、引き続き情報システム部門の育成を担当することになったわけです。自分の色々な経験スキルの中から企業のニーズに合わせて価値を提供していけるのも、プロパートナーのいいところだと思います。
若いITプロフェッショナルを育成していきたい
――今後はどのようなキャリアを重ねていこうとお考えですか?三島 色々な会社でシステム参謀として経営に寄り添って最適なITを考えていく、さらに会社の色々な部門の人たちの相談に乗り、課題を解決していくといったことを続けていきたいですね。こういうスタンスが一番ゼネラリストとしての強みを活かせるし、やっていて面白い。コンサルタントなどに外注するよりハイレベルの価値が提供できますから、やりがいもあります。私の手に負えないようなこと、たとえば特殊な技術分野のスペシャリストでなければ解決できないことがあれば、エッセンスさんのようなエージェントに人材を探してもらい、プロパートナーとして入ってもらい、適材適所で課題を解決していけばいい。そういう自在さ、柔軟さもプロパートナーのいいところだと思います。
――そういう自由な働き方というのは、従来、有名コンサルタントでなければできないというイメージがありましたが、プロパートナーなら多くの人がそうした働き方ができるわけですね。
三島 IT業界では若手エンジニアが減ってきていますし、経験豊かな40~50代でも、会社を辞めて別の仕事に就いている人が増えています。若手に教えるベテランがいなくなり、教わりたい若手も減ってきて、このままではIT業界の未来が危うい。その点、プロパートナーはITのプロフェッショナルの活躍の場を広げるだけでなく、人材を育成する機会も創り出すことができる。これからのITプロフェッショナルを育て、お客様、自分達の成功を共に描いていく。有効な活躍の場を作り出す意味でも、プロパートナーは非常に有効な仕組みだと思います。