企業が必要とするプロフェッショナルだけを必要な時に必要な期間だけ提供する「プロパートナーズ」というサービスが、企業の人材活用、働き方を大きく変えようとしている。
企業が必要とするプロフェッショナルだけを必要な時に必要な期間だけ提供する「プロパートナーズ」というサービスが、企業の人材活用、働き方を大きく変えようとしている。
急成長中の人材サービス企業B社が、弱点だった経理・財務領域の強化に成功し、経営力の向上を実現し、業績を順調に伸ばしている。それを可能にしたのは、「プロパートナーズ」という仕組みを活用して「社外CFO 」を獲得し、週2回の出社で、経営管理のプロとしての意見具申や経理・財務部門のマネジメント、担当者の育成・指導に当たってもらうようにしたことだという。はたして「社外CFO」はどのように経営のサポート・強化を実現したのだろうか。
急成長中の人材サービス企業B社が、弱点だった経理・財務領域の強化に成功し、経営力の向上を実現し、業績を順調に伸ばしている。それを可能にしたのは、「プロパートナーズ」という仕組みを活用して「社外CFO 」を獲得し、週2回の出社で、経営管理のプロとしての意見具申や経理・財務部門のマネジメント、担当者の育成・指導に当たってもらうようにしたことだという。はたして「社外CFO」はどのように経営のサポート・強化を実現したのだろうか。
取材対象者:
プロパートナーズ導入企業 B社 代表取締役 水嶋繁俊さん(仮名)
プロパートナー B社 社外CFO 戸塚毅さん (仮名)
取材協力:
エッセンス株式会社(http://www.essence.ne.jp/)
取材:
経営プロ編集部
プロパートナーズ導入企業 B社 代表取締役 水嶋繁俊さん(仮名)
プロパートナー B社 社外CFO 戸塚毅さん (仮名)
取材協力:
エッセンス株式会社(http://www.essence.ne.jp/)
取材:
経営プロ編集部
Part1 プロパートナーズ導入先B社代表取締役・水嶋繁俊氏に聞く、プロバートナーの「社外CFO」を選択した理由と導入の実際、そして成果。
信頼できる経理・財務のブレーンが欲しかった
――まず「社外CFO」として戸塚さんを迎えた経緯をうかがいたいのですが。水嶋 エッセンス社から紹介を受け、昨年3月から社外CFOというかたちで入ってもらいました。今は週2回半日ずつ出社してもらい、経理・財務を見てもらっています。
――それまで経理・財務はどのように管理されていたのでしょうか?
水嶋 当社は設立から10年に満たない会社で、CFOというものがそもそも存在していませんでした。社長である私が税理士事務所に助けてもらいながら経理・財務を見ていたんです。しかし、会社が数十人規模に成長して、キャッシュフローのボリュームも大きくなり、経理・財務管理も複雑化してきましたから、そろそろ限界に来ていました。私は営業で会社を引っ張るのは得意ですが、経理・財務のプロではありませんから、キャッシュフローの見方や銀行との借り入れ交渉など、お金に関することでは「うまくできていないのではないか?」 「もっといいやり方があるのではないか?」など、常に不安を感じてきたのです。税理士は結果に対するアドバイスはしてくれても、お金の動きが生まれるときに、先手を打って「こうすべきだ」という提案をしてくれるわけではありません。
――コンサルタントの力を借りたことはありましたか?
水嶋 あります。しかし、コンサルタントは相談には乗ってくれますが、提案を実行し、結果を出すところまでカバーしてくれません。私が必要としていたのは、非常勤でいいから会社の一員として責任をもって経理・財務の仕組みを作り、結果を出してくれるプロフェッショナルだったんです。
常勤役員にはない社外CFOのメリット
――常勤の経理部長・執行役員を採用しようとは思わなかったのですか?水嶋 数十人規模の会社にとって、いきなりそういう人材を迎え入れるのはなかなかハードルが高いんです。数百人規模なら専任の経理・財務担当役員が必要でしょうが、私どものような小さな会社にはそこまで必要ありませんし、給与面のコストから考えても荷が重すぎます。
――そこでプロパートナーの社外CFOという選択肢が出てきたわけですね?
水嶋 最初は「経理・財務顧問」というキーワードでネット検索してみたんですが、常勤の役員かそうでなければコンサルタントといった選択肢しか出てきませんでした。そうこうするうちエッセンス社を知り、プロパートナーという新しいかたちが生まれつつあることがわかってきた。常勤で入ってもらうには大物過ぎるプロフェッショナルに、パートナーというかたちで週何回か入ってもらうことで、ハイレベルな知見を必要な分だけ活用できるというスキームは、まさしく我が社が求めていたものだと思いました。そこで色々相談するうちに、戸塚さんを紹介されたわけです。
しっかり意見交換したことで生まれた信頼と確信
――紹介されてから社外CFO導入を決め、戸塚さんを迎え入れるまでに、迷いはありませんでしたか?水嶋 まず驚いたのは、戸塚さんが一部上場企業のCFOだったことです。こちらとしては申し分のない実績・スキルの持ち主でしたが、大企業1社のCFOだけではなく、プロパートナーとして複数の会社を手がけていきたいということだったので、来てもらうことに迷いはなかったですね。最初にざっくばらんに我が社の現状を話して、経理・財務をどうしていったらいいのかについて意見をもらいました。たとえば専任の経理事務担当社員を入れるべきだとか、経理実務の仕組みをどうしていくかなど、これまで困っていた色々な課題について「こうすれば解決できる」といったことを、プロらしくその場で明快にアドバイスしてくれたので、この人なら任せられると思いました。
――戸塚さんに社外CFOとしてどんなかたちで仕事をしてもらうかといったことについてはどのように決めたのですか?
水嶋 まず、週2回の半日勤務が可能ということだったので、この範囲で経理・財務に関する経営課題の相談やサポート、経理業務の仕組み作りなどをしてもらうことにしました。経理実務の担当についてはちょうど去年の4月から採用することにしていたので、彼女の指導・育成も行いながら、チームとして経理・財務業務をやってもらうことになりました。
――うまくいくという確信はありましたか?
出社したときの仕事は会議への参加がメインです。火曜の午後に幹部会議があり、重要課題の議論や意志決定を行うので、ここでCFOとして参加してもらいます。そして、木曜の午前中に経理情報の共有を行い、プロフェッショナルとしてのアドバイスをもらいます。銀行との交渉など別に時間をとってもらうこともあります。
経理・財務の不安が解消し、経営にも大きなプラスが
――社外CFOの効果はどのようなものでしたか?水嶋 資金調達の戦略立案から外注業者の選択など、あらゆる重要な場面で経理・財務のプロの意見、客観的で信頼できるアドバイスを聞くことができたことは非常に大きかったですね。外部のコンサルティングに相談しても、そこにはソリューションサービスの売り込みという側面が出てきますから、いまひとつ信頼・納得できないことが多いんですが、内部にブレーンがいてくれると、最適の選択・決断することができます。私だけでなく、社内全体に彼の参加によって安心と自信が生まれてきました。
また、最初にお話ししたように私は営業畑の人間ですから、経理・財務にはどうしても苦手意識があり、この部分で自分の判断が正しいという確信を持つことができなかったんですが、今は経理・財務を安心して任せ、私は自信を持って経営としての攻めの部分に集中して取り組むことができます。おかげで業績は順調に伸びていますし、これからも会社が成長を続けていけると確信しています。
――経理の事務や管理体制は確立されましたか?
水嶋 昨年4月から入った経理事務担当を適切に指導してくれているので、会社としての経理事務体制が確立されました。また担当スタッフもやりがいを持って学んでいるので、経理のプロとして成長していくことができます。私が経理・財務をこなしている状態だったら、こうした指導・育成はできなかったでしょう。
プロパートナーならではの将来性にも期待
――戸塚さんが他社の現役CFOでもあることをどう思いますか?水嶋 我が社のCFOであるだけでなく、上場企業のCFOでもあるということで、銀行側の信頼も厚く、それまでとは違う対応をしてくれるようになりました。税理士・会計事務所も、戸塚さんのように高度なスキルを持ったCFOが我が社をよい方向へ導いてくれることをとても喜んでいます。
また、我が社は上場をめざしていますから、今後さらに成長を続け、ステージが上がっていくにつれて、経理・財務にはますます高度な判断が必要になってくるでしょう。つまり私には判断できないことがどんどん増えてくるわけです。特に上場にあたっての証券会社の選定や交渉などは、上場企業のCFOである戸塚さんに活躍してもらわなければならないと思っています。
――戸塚さんの社外CFOとしての役割が変わっていくこともありえますか?
水嶋 戸塚さんの役割は今後さらに大きくなっていくと考えています。ただし、今の経理担当スタッフがもっと成長して、大きな役割を担うようになり、戸塚さんとのコンビネーションが変化していくということもありえる。いずれにしても我が社のニーズと当人の考え方や仕事状況に応じて活躍のかたちを変えていけるのも、プロパートナーのいいところだと思います。
――他の会社にもプロパートナーを勧めますか?
水嶋 ベンチャー企業はかつての当社のように経営者が経理・財務など専門外の管理部門も兼務しているところが多いと思います。しかし会社が成長するにつれて次第に管理の仕事が膨れあがり、一番大切な営業に当てる時間が十分確保できないといった状況が生まれてくる。それが会社のブレークスルーの障害になっているケースもあります。我が社がまさにそうでした。適切なコストでこうした壁を乗り越える大きな戦力を獲得できるプロパートナーは、成長中のベンチャーにとって極めて有効な人材獲得・活用法だと思います。