〔Part2〕「プロパートナーは濃密な経験を積みながら成長していくための手段」
企業が必要とする専門性だけを必要な時期だけ提供する、「プロパートナーズ」という仕組みが、プロフェッショナルの人材活用とその働き方を大きく変えようとしている。
急成長中のIT企業A社が、営業部門の仕組み作り・マネジメント・人材育成に取り組み、短期間で成果を出している。その秘密は「プロパートナーズ」という仕組みを活用し、IT営業のプロフェッショナルに週1日から2日程度、「社外営業部長」として入ってもらったことだという。はたしてそれはどのように成果を上げたのか。そもそも「社外営業部長」とは何だろうか? そんな疑問と興味を抱きながら、実態を取材すべくA社を訪問した。
急成長中のIT企業A社が、営業部門の仕組み作り・マネジメント・人材育成に取り組み、短期間で成果を出している。その秘密は「プロパートナーズ」という仕組みを活用し、IT営業のプロフェッショナルに週1日から2日程度、「社外営業部長」として入ってもらったことだという。はたしてそれはどのように成果を上げたのか。そもそも「社外営業部長」とは何だろうか? そんな疑問と興味を抱きながら、実態を取材すべくA社を訪問した。
取材対象者:
プロパートナーズ導入企業 IT企業A社 代表取締役 米沢泰盛さん(仮名)
プロパートナー IT企業A社 社外営業部長 鳥越雅彦さん(仮名)
取材協力:
エッセンス株式会社(http://www.essence.ne.jp/)
取材:
経営プロ編集部
プロパートナーズ導入企業 IT企業A社 代表取締役 米沢泰盛さん(仮名)
プロパートナー IT企業A社 社外営業部長 鳥越雅彦さん(仮名)
取材協力:
エッセンス株式会社(http://www.essence.ne.jp/)
取材:
経営プロ編集部
Part2 プロパートナーは濃密な経験を積みながら成長していくための手段
プロパートナー/A社・社外営業部長・鳥越雅彦さんに聞く、キャリア設計と仕事の実際
企業内でのキャリアアップから、経験の幅を広げ深める成長へ
――まずこれまでのキャリアについて大まかに教えていただけますか?鳥越 IT系のベンチャー企業に就職して営業を担当していました。会社が急成長していくにつれて営業部門もどんどん大きくなり、営業部長として試行錯誤しながら人材育成や業務の仕組みづくりを行いました。海外拠点の立ち上げなどにも携わり、言葉や文化の違う人たちに教える難しさも経験しました。
――プロパートナーという道を選んだのはなぜですか?
鳥越 ひとつの会社でキャリアアップしていくことに疑問を感じるようになったからです。部長から本部長、取締役と、組織の中でステップアップしていくことで責任の範囲が広がり、レベルが上がることにやりがいを見いだす人もいるかもしれません。しかし、私は営業のプロとして経験スキルを活かしながら違った環境を経験し、もっと成長したいという気持が強くなっていったんです。
――転職という選択肢は考えましたか?
鳥越 最初は転職しかないのかなと思っていました。そんなときエッセンスのプロパートナーズという新しいスキルの活かし方があることを知ったわけです。転職では、またひとつの企業でキャリアアップしていくという道しかないのに対して、プロパートナーは複数の企業で働きながら、視野や経験の幅を広げ、スキルを深め、高めていける。これは魅力的だと思いました。
本質をしっかり話し合い、ミッションとスケジュールを明確化
――米沢社長に会って、A社でやってみよう、あるいはやれそうだと思ったのはなぜですか?鳥越 エッセンスが私のキャリアや経験スキルとA社のニーズを把握した上で会いますから、まず基本的なマッチングは問題ありませんでした。大切なのはA社が私にどんなアウトプットを求めているかです。その背景としての会社のビジョンや、私に求める役割なども重要です。しっかり話し合い、そうした本質的な部分がお互い合致したので、やってみようということになりました。
――米沢社長は、いつまでにどんなミッションをクリアするといったスケジュールまで最初にしっかり立てたとおっしゃっていましたが、これはどのように決めたのでしょうか?
鳥越 まずおおまかなミッションとスケジュールを話し合いで決め、次に私の方からそれをより精緻なものにするため、こういうことを確認したいというリストを作って出しました。たとえばこれまでの営業戦略やA社が考える経営課題や事業課題といったことですが、さらに社員のスキルやマインドを見るために営業に同行したいといった要望も出して、かなえてもらいました。こうしたプロセスを経て、経営と具体的なミッションとスケジュールを明確にしたわけです。
いかに期待値を超えるかにこだわった
――米沢社長によると、わずか半年でかなりの成果をあげているとのことですが、成功のポイントはどこにあったと思いますか?鳥越「いかに期待値を超えるか」ということにはこだわりましたね。決めたことをスケジュール通りにやるのではなく、前倒しで成果をあげていき、プロとして経営陣に認めてもらう。結果を出すことで現場にも信頼してもらうことができ、より組織にしっかり入り込み、さらに良い結果を出していくことができるわけです。
――最初は週1日、現在は1日半の出社ということですが、社員とのコミュニケーションや信頼関係の構築に問題はなかったのでしょうか?
鳥越 前職で膨大な数の社員を育ててきましたし、遠隔マネジメントの経験もありますから、指導や育成の仕組みづくり、業務のマネジメントは一番自信があるところなんです。A社の営業メンバーは現在4名ですから、週1日でも濃密な指導が可能ですし、彼らも私の知見を貪欲に吸収しようとしてくれているので、コミュニケーションの質や信頼関係は良好です。
「多足のわらじ」をはくノウハウを確立
――A社以外に今何社手がけていらっしゃるのでしょうか?鳥越 4社です。
――同時並行で手がけて混乱はしないのですか?
鳥越 会社によって求めるものや取り組み方が異なるので、最初は頭が混乱することもあって、正直苦労しましたね。しかし、会社は違っても営業に関する事業課題に共通点は多いので、各社の差分を整理していく習慣を身につけて、うまくコントロールできるようになりましたね。営業の仕組みづくりや人材育成といった基本領域があって、そこに各社にマッチした改善を進めていく。その辺のマネジメントスキルも前職で鍛えられましたから、形態は変わっても対応は可能です。
未来の選択肢が広がるプロパートナーという働き方
――プロパートナーという働き方を経験してみて、メリットはありましたか?鳥越 最初に思い描いたことはほぼ間違っていなかったですね。ひとつの会社の限られた領域だけ見ているよりはるかに幅広く多様な経験ができますから、プロとして前職ではできなかった成長を、ものすごい速度と密度で経験していると感じます。
――これからどのようなキャリアを進んでいこうと考えていますか?
鳥越 プロパートナーという働き方の最大のメリットは、ただ成長できるだけでなく未来の選択肢が広がることだと思います。このままプロとして複数の企業と関わりながらやっていくこともできますし、ある時点でひとつの会社に入ることもできる。たとえば、自分の成長段階とその会社のニーズが合致して、外から関わるより中に入った方がお互いにいい結果が出せるなら入ればいいわけです。さらにその先、また外に出た方が成長できるならプロパートナーになればいい。人と会社の関係を就職・転職で固定するのではなく、人生の中で必要に応じて関わり方を変えていける循環型のキャリアというものがあっていいと思うんです。プロパートナーズには、そうした新しい働き方の文化を創り出していく大きな可能性を秘めていると思います。