2019年卒の求人倍率は、300人未満の中小企業では9.91倍と過去最高となりました。(リクルートワークス研究所調べ)これは1人の学生に対し、約10社がオファーをかける状況です。このような中、面接に来てくれた学生をより確実に内定につなげるためには、いかに自社に対して好感をもってもらうかが重要です。
筆者はこれまで約5,000人の学生と接してきましたが、最終的に学生がその会社に決めた理由として一番多く挙げるのは、「人事の人を見て決めた」という回答です。そこで今回は、〔不快感をもたれる面接官の5つの態度〕そして〔面接官が評価時に陥りやすい5つの失敗〕についてお伝えすることで、ぜひ皆さんに、学生に好感をもたれる面接官になっていただきたいと思います。
筆者はこれまで約5,000人の学生と接してきましたが、最終的に学生がその会社に決めた理由として一番多く挙げるのは、「人事の人を見て決めた」という回答です。そこで今回は、〔不快感をもたれる面接官の5つの態度〕そして〔面接官が評価時に陥りやすい5つの失敗〕についてお伝えすることで、ぜひ皆さんに、学生に好感をもたれる面接官になっていただきたいと思います。
不快感をもたれる面接官の5つの態度
下記に示した5つの態度は、面接官としてだけでなく、上司として部下に接するときも同様です。これらをもとに日常の行動を見直すことで、より良い人間関係の構築に役立つでしょう。(1)腕組みや椅子にふんぞり返っている
学生は緊張し不安な面持ちで面接に臨んでいます。そこで偉そうな態度の面接官を見たらどう思うでしょうか?腕組みという行為は、心理学的には、相手に対する拒絶を意味します。自分自身も学生から「見られている」という意識が大切です。
(2)目を合わせない、相槌や頷きがない
目を合わせてくれない、相槌や頷きをしてくれない人とは、非常に話しにくいもの。たとえ、相手の話を興味深く思っていたとしても、その心の中は相手に見えません。「聴いている」ことを態度で示すことが重要です。
(3)学生の話を最後まで聴かない
相手の話にまとまりがなかったり、自分の考え方と異なる場合、ついつい途中で口を挟みたくなるもの。しかし途中で話を遮ると、相手は「聴いてもらえなかった」と不満足な感情を抱くことになります。面接官は相手の話を敬意をもって聴く傾聴力と忍耐力が必要です。
(4)説教をする
まだ未熟な学生を目の前にすると、良かれと思ってアドバイスをしたくなるもの。しかし、それをすることのメリットは何でしょうか?「応募者の今後のために」といえば聞こえはいいですが、そこに自己顕示欲は見え隠れしていませんか?
(5)面接官同士でコソコソ話をする
たとえ面接でなくても、目の前で自分に聞こえないようにコソコソ話をされると嫌な気分がするもの。お互い初対面の面接の場であれば、なおさらです。学生に不信感を抱かれるようなことはあってはいけません。
時に笑いがあり、話に共感を示す態度があり(目を見る、相槌、頷き等)、最後まで一生懸命、自分の話を聴く姿勢を見せてくれる面接官に対し、不快感をもつ学生はいません。
面接官が評価時に陥りやすい5つの失敗
面接では、人が人を評価します。そのため当然、面接官にも訓練が必要です。あらかじめ面接官がどのような失敗をしやすいか知っておくことで、面接の精度は大きく変わります。面接官は、以下に示す5つの点において注意を払うべきでしょう。(1)先入観
例えば、野球部の主将だから精神的に強いなどと、エントリーシートを読んだ段階で強い思い込みを抱いてしまうことがあります。一度思い込むと、その理由を探しながら面接に臨んでしまうため、客観的な評価ができなくなることがあります。
(2)自己類似
人は常に自分と同じ意見の人を探しています。そのため、自分とよく似たタイプの人を見つけると、実際よりも高く評価しがちです。相手の実力を冷静に見抜く必要があります。
(3)ハロー効果
ハロー効果とは、一つの目立つ特徴が、他の要素に対しても影響を与えてしまうことを言います。これには例えば、有名大学を卒業しているからビジネスパーソンとしても優秀だろうと、実際に確認をせず当人を評価してしまうことなどが挙げられます。
(4)中央化傾向
中央化傾向とは、面接官が評価を真ん中につけることを言います。経験の浅い面接官であるほど、両極端の評価を避け、評価結果が中央に集まる傾向があります。普通評価では評価したことにならないと、あらかじめ面接官の教育をすることが必要です。
(5)面接慣れした応募者
短時間で相手を見抜くのは非常に困難なことです。例えば、第一印象が良く、人あたりがいいと、それだけで、接客ができると評価してしまうこともあります。自分をよく見せる方法を知っているだけなのか、そうでないのか、客観的な視点で冷静に判断する力が必要です。
仕事のできる人が良い面接官というわけではありません。面接を行う者には面接官としてのきちんとした訓練が必要です。また、面接官には会社自体を売り込む営業マンとしての役割もあると考えるとよいでしょう。ぜひ学生に好感をもたれる面接で、優秀な若い人材を採用して社内に新たな風を吹き込み、自社の永続的な発展へつなげていただきたいものです。