最近、いたるところで「働き方改革」という言葉を耳にすることが多くなった。政府は一億総活躍社会の実現に向け、本気で労働環境の改善に取り組んでいて、我々の生活にも浸透してきているということである。また一方、「助成金」とは、国や自治体など公的機関が政策を推進するために、その内容に沿った活動をする企業や団体の活動を支援する目的で提供する、返済する必要のない資金のことである。「政策の内容に沿った活動を支援」するのが目的なので、この「働き方改革」と「助成金」は密接な関係にあることは容易に分かる。そこで今回は働き方改革の取組で受給できるオススメの助成金の中から職場意識改善助成金を紹介していく。

職場意識改善助成金は、計5つのコースがあり、自社に合ったコースが選べるが、今回はオススメとして今年から新設された「勤務間インターバル導入コース」と締切間近の「職場環境改善コース」を紹介する。
働き方改革でもらえるオススメの助成金 (1)職場意識改善助成金

働き方改革で注目を浴びた新たな制度「勤務間インターバル導入コース」

「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息期間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものであり、健康の確保や過重労働の防止にも資するものである。厚生労働省が3月に決定した「働き方改革実行計画」の長時間労働の是正対策として、クローズアップされた制度でもある。
具体的には、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入することを目標として、対象となる取組の中から1つ以上を実施することが必要で、その成果により助成金の支給がある。
対象取組は主に就業規則等の作成・周知、研修、コンサルティング、ツール(ソフトウェア・ハードウェア)の導入に分けられる。研修やコンサルティングによる意識改革も有効だが、実際に勤務間インターバル制度を進めていくには労務管理用ソフトウェアの導入をオススメする。因みにクラウド型勤怠管理システムのサービス利用料も助成金の支給対象となるので導入を以前から考えていた企業は、この機会をぜひ活用してみてはいかがだろうか。
助成額は取組の実施に要した経費の合計金額のうち4分の3(上限あり)が支給される。上限額は勤務間インターバルの導入種別(新規導入と適用範囲の拡大・時間延長)と休息時間数によって異なる。
申請の受付は早まる可能性はあるが平成29年12月15日(金)まで。今年新設ということで5つのうち一番注目のコースであるので早めの導入をオススメする。

まだ間に合う!?働き方改革への大本命「職場環境改善コース」

「職場環境改善コース」はいわば職場意識改善助成金の代表的なコースであり、今まさに、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進を行い、就労環境の改善をしようとしている企業にオススメのコースである。
雇用する労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数が13日以下であって月間平均所定外労働時間数が10時間以上であり、労働時間等の設定の改善に積極的に取り組む意欲がある中小企業が対象である。
具体的には、a.年間の平均有休取得日数を4日以上増加、b.1か月あたりの平均残業時間数を5時間以上削減することを目標に設定し、a.bともに達成の場合は、取組の実施に要した経費の合計金額のうち4分の3(上限あり)が支給される。
対象取組は勤務間インターバル導入コースとほぼ同じだが、労働能率の増進に資する設備・機器等(小売業のPOS装置、自動車修理業の油圧式リフト、運送業の自動洗車機など)(注;成果目標をいずれも達成した場合のみ)の導入も支給対象となる。
各従業員に成果目標が課されることになるため、他のコースに比べてハードルは少し上がるが、a.bともに未達成でも2分の1(上限あり)の助成金が支給される。
申請の受付は平成29年10月16日(月)まで。

なお全てのコース共通で、事業実施承認を受けたうえで、事業実施承認の日から平成30年2月15日までの定められた期間に取組を実施し、2月末までに支給申請をすることが必要である。

「働き方改革」を推進しようとする政府の考えに賛同する企業は多い中、実際何から取り組んで良いか悩んでいる企業が多いのも事実である。政府の方針に合わせて作られた助成金を使ってそれぞれの企業が自社なりの働き方改革を進めていくことが求められているのなら、まずはこのような助成金を使わない手はないと思う。

この記事から、働き方改革への推進の第一歩を踏み出す企業が少しでも増えていけば、日本の未来も少しずつではあるが、政府の望む一億総活躍社会への実現へと近づいていけるのではないかと期待したい。

次回は、「職場意識改善助成金」以外の働き方改革でもらえるオススメの助成金をいくつか紹介したいと思う。


熊谷経営労務パートナーズ
代表 熊谷 篤

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