大学のレベルや履修科目によってはオファーに偏りが出る可能性も
ただし、このサービスには次のような懸念材料もある。まず、データベースでは学生の通う大学名まで検索できるとのことだが、大学名までわかるとなると、国公立大学や私立の上位校など偏差値の高い大学の学生にオファーが集中するかもしれない。逆に言えば、あまり名前が知られていない大学の学生には、オファーがあまり来ない可能性もある。
以前に比べると学歴偏重社会の風潮はなくなりつつあるものの、企業の採用担当者や上層部クラスには、学歴重視の考え方がまだまだ根強く残っているからだ。現に、特定の大学の学生を特別に扱う「ターゲット採用」を行っている企業は、中堅企業では51%、大企業では56%と過半数にのぼっており、これらの規模の企業では採用対象の学生をある程度絞っている傾向が見られると言える。
また、宗教色の強い大学では、特定の宗教にちなんだ履修科目が開講されていることも多いことから、企業による特定の思想・信条・宗教を持つ学生の排除につながらないか、といった点も懸念される。
採用後に関しては、労働基準法の規定により、特定の思想・信条・宗教を持つ者を差別することは禁じられているが、採用前の段階ではそういった応募者を採用対象からはずすことは禁止されていない。しかし、業務遂行能力とは関係のないことで応募者をふるいにかけることは民法上では違法にあたる可能性もあり、思想・信条・宗教を理由に特定の応募者を採用対象からはずすことによってトラブルになるリスクがあることを、企業側も知っておいたほうが良いかもしれない。
こういった懸念材料はあるものの、「学び」と「働く」を結び付けるこのサービスは、企業・学生双方にとってメリットが多く、非常に魅力的なものだ。
優秀な人材の確保が多くの企業にとって課題であるからこそ、従来の採用手法や学生の評価基準を見直す、良い機会ではないだろうか。
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