株式会社フリーウェイジャパンは2024年8月21日、「2024年物流問題に関するアンケート」の結果を発表した。調査期間は2024年7月26日~8月1日で、中小・零細企業の従業員、代表取締役、および個人事業主265人から回答を得ている。調査結果から、物流業界以外の中小・零細企業が“2024年問題”によって受ける影響や、実施する施策などが明らかになった。
95.9%の企業が物流・運送業からの「運賃値上げの打診」を承諾。“物流の2024問題”による企業への影響や具体的な対策は?

86%が“2024年問題”に向けた施策を「実施していない」

働き方改革関連法により、2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限された。これによって起こる諸問題を総じて“2024年問題”と呼び、特に直接の影響を受ける物流業界では、ドライバー不足などの影響も出ている。こうした影響は物流サービスを利用する他業界へも広がることが懸念されるが、物流業界以外の中小・零細企業は“2024年問題”をどのように捉えているのだろうか。

はじめにフリーウェイジャパンは、物流業界のドライバー以外、また物流業界のドライバーの管理者以外の回答者を対象に、「2024年の制度改正に伴い、行っている施策はあるか?」と尋ねた。すると、「ない」との回答が86%と大多数になった。
2024年の制度改正に伴い、行っている施策はあるか?

95.9%が物流企業からの“価格改定の打診”を「承諾した」と回答

次に同社が、同対象者に対し「取引先の物流企業から、価格改定の打診が来たか?」と尋ねると、「はい」(来た)との回答は30%と3割にとどまったという。

そこで、「来た」と答えた3割を対象に「その打診に対してどのように対処したか?」と尋ねた結果、「承諾した」が95.9%となった。取引先からの価格改定の打診を受けた企業は少数であったものの、打診を受けた企業のほとんどが価格改定を承諾したようだ。
その打診に対してどのように対処したか?

2024年問題に際し、“物流業者の手間を減らす配慮”や“買い控え”などを意識か

続いて、同じく物流業界のドライバー以外、また物流業界のドライバーの管理者以外の回答者を対象に、「2024年の制度改正を、日頃意識しているか?」と尋ねている。その結果、「はい」(意識している)との回答は35%となったとのことだ。

そこで、「意識している」とした人に「具体的に意識していること」を尋ねると、「再配達とならないように、到着時刻にオフィスにいるようにする、もしくは日付指定をする」が67.1%で最多となった。以下、「まとめ買いにより、一度に荷物を受け取るようにする」が43.5%、「購入するものの見直しを行う」が17.6%、「お店に買いに行くようにする」が14.1%と続いている。物流業者の手間を減らす配慮が上位にきているほか、“買い控え”を意識する人も一定数いるようだ。
具体的に意識していること

2024年問題による自社への影響は「配送費の値上がりによる原価の圧迫」が7割弱に

また、同回答者を対象に「2024年の制度改正によって、自社の経営・運営に影響があるか?」と尋ねたところ、「そう思う」との回答は計44.5%(そう思う:13.2%、どちらかというとそう思う:31.3%)となった。半数近くが2024年問題による自社への影響を認識していることがわかった。
2024年の制度改正によって、自社の経営・運営に影響があるか?
「そう思う」とした44.5%の人を対象に、「影響があると思う理由」を尋ねると、最多となったのは「配送費が値上がりし、原価が圧迫されているため」で、67.6%と7割に迫った。そのほか、「配送の遅延・在庫不足などが起き、顧客満足度の低下が起きているため」が32.4%、「部品などの到着が以前よりも後ろ倒しとなり、製造物の納品が遅れているため」が31.5%となり、それぞれ3割を超えている。
影響があると思う理由
さらに、影響があると思う理由に「配送費が値上がりし、原価が圧迫されているため」を挙げた人に対し、「価格転嫁はできているか?」と尋ねている。すると、「いいえ」(できていない)が72.6%と7割を超える結果となったという。

2024年問題による自社への影響を認識している人は半数弱であったものの、そのうち7割近くが配送費の値上がりによる原価の圧迫を感じており、うち7割以上が価格転嫁できていない現状がわかった。

2024年問題の“影響あり”企業は「納品タイミング・作業フロー」や「サービスの価格」を見直し

最後に同社は、2024年問題によって自社への影響があるとした人を対象に、「2024年の制度改正に伴い、行っている施策はあるか?」と尋ねた。その結果、「ある」との回答は24.1%と、4分の1に満たなかったとしている。

行なっている施策が「ある」とした人に、「具体的に行っている施策」を尋ねると、「納品タイミングの見直し」および「作業フローの見直し・改善」がそれぞれ42.3%で最多となり、次いで「サービスの値上げ」が38.5%で続いた。
具体的に行っている施策
労働時間の短縮による輸送能力の不足や、残業代の減少によるドライバー不足など、“2024年問題”によって物流業界が受ける影響は大きい。これは他業界においても他人事ではなく、配送費の値上がりなどによる影響を感じている中小・零細企業は多く、その影響への対策もまだ万全とはいえないようだ。企業として損失を広げないためにも、他社の例も参考にしながら自社が打つべき施策を検討したい。

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