株式会社リクルートは2023年11月29日、「転職者分析」(2013年度~2022年度)の結果を発表した。調査期間は2023年8月~10月で、同社が運営する転職支援サービスを利用して転職した人(有効回答数は非公開)から回答を得ている。本調査から、全体・年齢・職種別の転職時の業種・職種異同パターンが明らかとなった。
「異業種×異職種」転職が約4割、過去10年で最多に。職種を越えた“異業種転職”の流れが加速か

【全体傾向】2022年度は「異業種×異職種」が過去最高値の約4割。前年に比べて増加

企業は「異業種・異職種」の人材を積極的に中途採用しており、個人のキャリア観としても、経験にとらわれず自ら希望する働き方に合わせて業種や職種を選ぶ傾向が強くなっている。転職市場の主流が「越境転職」となる中、転職市場はどのような動向となっているのだろうか。

はじめにリクルートは、「転職決定者の業種・職種異同のパターン」について、2013年~2022年度の推移を分析した。すると、2022年度は「異業種×異職種」が39.3%で最も多かった。2021年度の37.1%より2.2ポイント増加し、過去10年間で最も高い割合を占めた。
転職決定者の業種・職種異同のパターン別割合の推移

【年齢傾向】年齢が上がるにつれ、職種は変えず異業種にチャレンジする人が増加

続いて同社は、年齢別に「転職決定者の業種・職種異同のパターン」を比較した。すると、「20~24歳」において「異業種×異職種」が最も多かった。

他方で、年齢が上がるにつれて同職種への転職割合が高くなり、25歳以上のどの年代も「異業種×同職種」が3割を超えていることがわかった。年齢が上がるとともに、職種は変えず、培った経験やスキルを活かして新たな業種へチャレンジする転職者が増えるようだ。
年齢別の転職決定者の業種・職種異同のパターン

【職種傾向】企画系で「異業種×異職種」の転職の高さが顕著に

最後に同社が、転職先の職種別に「2022年度の転職決定者の業種・職種異同のパターン」を調べたところ、「異業種×異職種」では「経営企画・事業企画・業務企画」が60.5%と特に高い割合となった。続いて、「オフィスワーク事務職」(52.6%)、「マーケティング」(49.4%)、「インターネット専門職(Webエンジニア含む)」(44.4%)となり、それぞれ半数程度が「異業種×異職種」の転職であることがわかった。

一方、「建設エンジニア」、「SE」、「機械エンジニア」、「電気エンジニア」といった技術系職種は、他の職種と比べて「同業種×同職種」の割合が高く、それぞれ3割前後を占めていた。
転職先の職種別の転職決定者の業種・職種異同のパターン(2022年度)
本調査結果から、2022年度は「異業種×異職種」への転職(越境転職)が過去最高値となり、職種別では特に企画系で、その割合が高いことがわかった。また、年齢が上がるにつれ、職種は変えずに異業種にチャレンジする人が増加する傾向にあることも判明した。新たな採用戦略が求められる時代において、企業には、即戦力人材の定義の見直しや、経験の有無を問わない適応スキル・汎用スキルの評価など、より粒度の細かい採用基準の設定が求められそうだ。

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