経済産業省は2023年4月21日、特許庁が知財経営の実践に向けた課題などを取りまとめ、「知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック」として発行したことを発表した。本ガイドブックでは、知財経営に悩む企業向けに、知財経営の課題解決方法のポイントや、自社における課題確認のためのチェックリストなどが掲載されているとのことだ。同省は知財経営の推進に向け、企業に本ガイドブックの活用を呼びかけている。
経産省・特許庁が「知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック」を公開。知財を活用した経営実践を後押し

知財経営を実践する企業の事例や、自社の課題を把握できるチェックリストが掲載

経済産業省によると、知的財産を活用した企業経営(知財経営)を実践している企業では、知財部門が企業の経営戦略や事業戦略に積極的に関わっているケースが多いという。一方で、知財経営の実践が思うように進んでいない企業では、経営層・知財部門が、ともに知財部門の役割について「既存事業等を守るための管理部門」として限定的に捉えており、相互のコミュニケーションもその範囲内に留まっている傾向があるとのことだ。

知財経営に関する取り組みを進めるには、知財部門の役割に対する意識を変えることがまず必要だと言える。同省はこれに関し、知財部門が経営や事業に関する情報を分析し経営層へ提案すること、経営層と知財部門とが経営や事業に「知財」で貢献するための議論を重ねることが重要だとしている。

こうした背景を踏まえ今回、知財経営を実践し企業価値向上を実現していくため必要な事項をガイドブックとして特許庁が取りまとめ、発行した。主な掲載内容は下記の通り。

【「知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック」の主な掲載内容】
●巻頭にガイドブックの内容を整理したエグゼクティブサマリー

●知財経営を実践する企業4社の知財担当役員からヒアリングを基にした、知財部門の役割、経営層と知財部門との情報共有の仕方

●6社分の仮想事例による、知財経営の実践に悩む企業での意識変革および経営層・知財部門のコミュニケーションの強化プロセス

●知財経営実践に向け、自社の課題を把握できるチェックリスト


なお2023年6月以降、本ガイドブックは全国47都道府県に設置している「知財総合支援窓口」のほか、各経済産業局などの「知的財産室」において、冊子版を無料配布するとのことだ。同省は、知財経営の実践に向け、企業に本ガイドブックの積極活用を呼びかけている。

企業の持続的発展や競争力向上に向けては、他社との差別化の源泉となる「人材」、「技術」、「ブランド」などの「知的財産」を活用した経営が重視されている。しかし中には、知財に関する知識や情報の不足などで、思うように取り組めていない企業もあるだろう。今後、知財経営を強化していきたい企業は、本ガイドブックを活用してみてはいかただろうか。

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