株式会社フリーウェイジャパンは2022年12月19日、「防衛増税に関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年12月13日~15日で、中小企業および零細企業の従業員412名、代表取締役500名、個人事業主422名から回答を得た。調査から、防衛増税に対する企業側の意識や、予定する対策内容などが明らかとなった。
6割が「防衛増税」に反対と回答。増税の経緯や用途が不明確といった意見も
自民・公明両党が「2023年度与党税制改正大綱」に「防衛費増額に向けた増税方針」を盛り込み、防衛増税が大きな話題となったが、企業側の受け止め方はどうなのだろうか。フリーウェイジャパンはまず、「防衛増税に対する意見」を尋ねた。すると、「反対する」との回答が全体の61.4%を占める結果となった。他方で、「賛成する」は18.9%、「どちらでもない」は15.4%、「わからない」は4.3%となった。反対派の意見では、「防衛費増額には賛成だが、増税で賄うのは反対」や「増税の経緯や用途が不明確」、「景気に悪影響を及ぼす」といった声があがったという。
対して、賛成派からは「周辺国の脅威が高まっている」や「現状の防衛力が不足していると感じる」、「米国依存からの脱却のため」などといった声が寄せられたという。
4割以上が防衛増税は「ビジネスにマイナス影響がある」と回答
次に同社は、「防衛増税によって、自社のビジネスにどのような影響があるか」と尋ねた。すると、「マイナス影響がある」との回答が44.5%となった。対して、「プラスの影響がある」との回答はわずか2.1%にとどまった。その他は、「どちらでもない」が33.4%、「わからない」が19.9%という結果だった。「納税負担の増大」や「個人向けビジネス収益へのマイナス影響」を懸念する声が多数に
続いて同社は、防衛増税がビジネスに「マイナス影響がある」と回答した人に、「どのようなマイナス影響があるか」を尋ねた。すると、「納税負担の増大」が82.2%で最多だった。以下、「個人消費者向けビジネスの収益減少」が52.2%、「中小企業向けビジネスの収益減少」が35%、「大企業向けビジネスの収益減少」が17.5%と続いた。マイナス影響を懸念する企業の2割以上で対策を「実施」もしくは「実施予定」
さらに同社は、「マイナス影響がある」とした回答者に「マイナス影響への対策は実施したか」を尋ねた。すると、「実施した」が2.2%、「実施する予定」が22.1%で、実施の方針を示す企業の合計は24.3%となった。他方で、「実施しない」は28.8%、「わからない」は47%だった。マイナス影響に対する対策内容は「設備投資額の減少」が最多に
最後に、マイナス影響に対する対策を「実施した」または「実施予定」と回答した人に「対策の内容」を同社が尋ねると、「設備投資額の減少」が47.2%で最も多かった。以下、「賃上げの取りやめ」が38.2%、「設備投資の取りやめ」が37.5%、「賃上げの昇給額の減少」が34%と続いた。
政府が発表した防衛増税に対し、6割の中小・零細企業が「反対」していることがわかった。周辺国の脅威の高まりなどから賛成する意見もあるが、増税の経緯の不明確さや景気への悪影響から反対する意見のほうが多いようだ。防衛増税による経営へのマイナス影響に対する具体的な施策を講じ始めている企業もあることから、引き続き政府や他社の動向に注視していきたい。