株式会社麺食は2022年12月1日、同社の働き方改革の一環として、メタバースプラットフォーム「GAIA TOWN」の活用を同年11月10日より開始したと発表した。同社は、メタバース空間を本部社員同士や店舗との打ち合わせに活用し、コミュニケーションの活性化などを図りたい考えだ。本取り組みを通じて、同社は他の産業に遅れを取る外食産業の働き方改革の手本となるように努めていくという。
「メタバース空間」で社員や店舗とのコミュニケーションを図り、離職率低下へ
国内およびアメリカでラーメン店をFC事業展開する株式会社麺食によると、外食産業では、他産業に比べて働き方改革に遅れをとっていることが懸念されているという。また、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、外食産業は営業時間短縮要請など、困難な経営を強いられてきたものの、そのサービス内容から在宅勤務の導入なども困難だったという。しかし、飲食業の営業時間短縮要請もなくなり、売上もコロナ禍前の水準に回復しつつあることから、同社はまず本部・管理部門において在宅勤務の試験導入を決めた。さらに、それを契機として、メタバース「GAIA TOWN」の活用も開始したという。「GAIA TOWN」は株式会社ガイアリンクが運営する、メタバースプラットフォーム「Virbela」の日本公式ワールドだ。本サービスは、VRゴーグルがなくてもPCから気軽にアクセスでき、アバターでの音声会話を通じてリアルなコミュニケーションが可能になるという。同社は「GAIA TOWN」を使用し、オンラインで、本部社員同士や本部・店舗間での打ち合せなどを実施している。このことで、移動時間の有効活用や交通費の削減が図れるほか、孤独感を抱えやすい店舗社員との交流、シフトを抜けにくいスタッフとの交流が可能となり、離職率の低下による人件費削減に効果が期待できるとしている。
また、「GAIA TOWN」のメタバース空間では、会議室の内装やスクリーンをカスタマイズできるため、開発中のラーメンを映し出したり、同社独自の「絵の社訓」を映し出したりと、さまざまな情報を共有できるメリットもあるという。同社は、今後リアルで開催していたファンイベントや、海外店舗との会議にもメタバースの活用を拡大していく方針だ。
さらに同社は、最先端ITツールを活用することで、推進が難航している外食産業の「働き方改革」において手本となるような取り組みを行い、人手不足やコミュニケーション不足の解消に役立つ実例を増やしたいとしている。
外食産業は、店舗経営が主体であり、在宅勤務の導入など働き方改革の推進が困難な面があるだろう。そうした課題がある中、本取り組みは、最先端技術を活用した働き方改革に挑戦する先進事例となりそうだ。今後の取り組みにも注目していきたい。