株式会社リコーは2022年10月19日、同社がビジョンとして掲げる「“はたらく”に歓びを」の実現に向け、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下、慶應SDM)との共同研究を開始したと発表した。同社は本取り組みを通じ、慶應SDMが保有する学術的知見と同社の有する知見を組み合わせ、「はたらく歓び」を捉える指標や、組織アジリティを評価する指標の開発および、実践的方法論の体系化を進めていきたいとしている。
リコー、「新たな働き方」実現に向け慶應大と共同研究を開始。「働きがい」や「働く歓び」を体系化し組織運営への反映を目指す

「はたらく歓び」実現を目指し、慶應SDMの学術的知見を用いて研究を実施

リコーは、創業100年を迎える2036年に向け「“はたらく”に歓びを」というビジョンを掲げている。また同社は、「業務効率化」や「生産性向上」だけでなく、「従業員それぞれが創造力を発揮し、充足感や達成感、自己実現を実感するため新たな働き方を示すこと」を使命だと捉えているという。そこで今回、同社はこのビジョンや使命の実現に向けた取り組みの一つとして、“心理的安全性の構築”や“組織学習”に関する学術的知見をもつ慶應SDMとの共同研究実施を決めた。

リコーは、「『はたらく歓び』は、社員にとって創造的に仕事ができる環境を組織が支援し、経営戦略として柔軟なマネジメントを行うことで実現が可能である」との仮説を立てている。同社および慶應SDMはこの仮説に基づいて、「はたらく歓び」が発揮された状態を探索するための実証的研究に加え、「はたらく歓び」を実践する手法として「デザイン思考」と「アジャイル」をより効果的・効率的に運用するための方法論開発を実施するという。

なお、リコーは本共同研究に先立ち、2022年9月に不確実性の高い課題に対処できる組織力強化を目的に、デザイン思考とアジャイル浸透を推進する「リコーを芯からアジャイルにするタスクフォース」を創設。本タスクフォースが今回の研究の主体となるという。

共同研究の概要は下記の通り。

【共同研究の概要】
●研究期間
2022年10月1日~2023年3月31日(6ヵ月間)

●研究内容
「はたらく歓び」を捉える指標や、組織のアジリティ(組織へのアジャイルの浸透の度合い)を評価する指標の開発および実践的方法労の体系化等を構想

●今後の展望
開発した指標や体系化した方法論をリコー社内の組織運営へ取り入れる。また、リコーグループ社員向けの研修コンテンツなどに実装し、社員の自律的な学びを促進し「はたらく歓び」の実現を目指す。


多くの企業で人材不足が課題となる中、厚生労働省は「『働きやすい職場」、『働き甲斐のある職場』作りが雇用創出を促し、人材不足解消に向けた課題解決策の一つになる」としている。しかし、「働きがい」や「働く歓び」は、個人の実感によるもので、明確な基準により可視化することが困難な側面もあるだろう。本研究を通じてその指標が明らかになれば、人事施策検討の際などに役に立つものとなりそうだ。今後も、本研究に注目していきたい。

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