経済産業省は2022年8月24日、9月の「価格交渉促進月間」において、発注側企業と受注側企業の価格交渉や価格転嫁の促進を図ることを宣言した。原材料価格やエネルギー価格等のコストが上昇する中、増加する負担をサプライチェーン全体で適切に分担できるよう、同省は発注側・受注側企業双方に対し、対応要請やフォローアップ調査、助言等を行っていくとしている。
受注側中小企業へのフォローアップ調査の結果を活用し、指導・助言などを実施
政府は、毎年9月および3月を「価格交渉促進月間」と定めており、発注側企業と受注側企業の価格交渉および価格転嫁を促進している。2022年9月も「価格交渉促進月間」であり、経済産業省は同期間において、2022年7月に改正した下請中小企業振興法の「振興基準」に則り、発注側企業に対し、受注側中小企業との間での価格交渉や価格転嫁を積極的に行うように要請するという。また、9月中旬以降は受注側中小企業に対し、発注側企業との価格交渉状況について、下記の通りフォローアップ調査を実施し、調査結果を活用していく構えだ。【フォローアップ調査の実施内容】
1.受注側中小企業15万社程度を対象に、アンケートを配布し調査を実施。発注側企業ごとに価格協議および価格転嫁の具体的な状況を把握する。
2.下請けGメンによる、受注側中小企業2千社程度への重点的なヒアリング、交渉・転嫁状況の実態を聴取する。
【フォローアップ調査の活用】
1.良い事例・問題のある事例を公表
2.業種ごとにアンケートを実施。回答を数値化し公表
3.受注側中小企業からの評価で、価格転嫁・価格協議等の実施状況が良好でない発注側企業の経営者に、事業所管省庁から下請中小企業振興法に基づき「指導・助言」等の注意喚起を実施
4.独占禁止法や下請代金法の違反が疑われる事案は、公正取引委員会と中小企業庁が連携し対処
1.受注側中小企業15万社程度を対象に、アンケートを配布し調査を実施。発注側企業ごとに価格協議および価格転嫁の具体的な状況を把握する。
2.下請けGメンによる、受注側中小企業2千社程度への重点的なヒアリング、交渉・転嫁状況の実態を聴取する。
【フォローアップ調査の活用】
1.良い事例・問題のある事例を公表
2.業種ごとにアンケートを実施。回答を数値化し公表
3.受注側中小企業からの評価で、価格転嫁・価格協議等の実施状況が良好でない発注側企業の経営者に、事業所管省庁から下請中小企業振興法に基づき「指導・助言」等の注意喚起を実施
4.独占禁止法や下請代金法の違反が疑われる事案は、公正取引委員会と中小企業庁が連携し対処
また同省は、下図に示す通り「価格交渉促進月間の実施と改善のサイクル強化」を図っていくという。このサイクル実現に向けて経産省は、同月間内での取り組みについて、業界団体を通じて発注側企業へ幅広く周知していく構えだ。
下請中小企業には「価格交渉」や「下請代金法」に関する講習会やセミナーを実施
さらに同省は、価格交渉促進月間において、下請中小企業を対象に価格交渉および下請代金法に関する講習会、セミナー等を実施するという。実施日程等は「適正取引支援サイト」内で随時公開予定としている。同省が公表している2022年3月の「価格交渉促進月間」におけるフォローアップ調査結果では、多くの中小企業においてコストが上昇する中、依然、価格転嫁が厳しい状況が続いていることが明らかになっている。中小企業が円滑に経営を維持していくためには、コスト削減など自社での努力に加えて、このような政府の取り組みによる効果も期待したい。