株式会社Jストリームは2021年5月20日、新型コロナウイルス感染症拡大以降の法人営業に関する調査結果を発表した。全国の法人営業に関する職務に就く2,038名より回答を得た。これにより、コロナ禍以前/以降に起きた法人営業環境の変化や、実施した取り組みが明らかとなった。
受注数は半数弱が減少傾向に
新型コロナウイルス感染症拡大により、法人向け営業はどのような変化があったのだろうか。はじめに、「受注数の増減」を尋ねると、「増加した」が3.4%、「やや増加した」が11.3%となり、増加した企業は合わせて14.7%だった。一方で、「減少した」が14.9%、「やや減少した」が30.7%となり、合計45.6%と半数近くが新型コロナの影響により受注数が減少したと回答した。また、「どちらでもない」は39.8%と、4割程度の企業で変化はなかったことが明らかとなった。
既存顧客との商談機会はどうだったのか?
次に、「既存顧客との商談機会の増減」を尋ねた。すると、「増加した」が3.5%、「やや増加した」が6.1%と、合計9.6%が増加したと回答した。一方、「減少した」が28.3%、「やや減少した」が37.7%で合計66%となり、商談機会が減少した企業は6割を超えた。
新規顧客との商談機会も減少傾向に
さらに、「新規顧客との商談機会の増減」を尋ねると、「増加した」が3.1%、「やや増加した」が9.9%と、合計13%が増加していると回答した。一方で、「減少した」は21.1%、「やや減少した」は33.6%で、合計54.7%に。既存顧客の傾向と同様に、新規顧客との商談機会も大きく減少していることが明らかとなった。
受注数減の企業では、これまでの取り組みに依存か
続いて、「企業のコロナ禍での取り組み」を尋ねた。その結果、“受注数が増えている企業”のトップ3は、「Webサイト制作や改善」が41.1%、「SNSの活用」が38.8%、「オフィス訪問」が38.5%となった。また、その他の回答も多岐に渡っている。一方“受注数が減少している企業”のトップ3は、「オフィス訪問」が47.4%、「Webサイト制作や改善」が42.1%、「テレホン・アポイントメント」が32.8%となった。これらの企業は、コロナ禍以前からの手法に依存していることがうかがえ、その割合はいずれも“受注数が増加している企業”より高い傾向にあることがうかがえる。
受注数増の企業は、コロナ禍を経てデジタル化に焦点を移す
最後に、「今後の取り組み」を尋ねた。すると、受注数が増えている企業は、「オンライン展示会」が19.7%、「インターネット広告」が15.4%、「動画の活用」と「Webサイト制作や改善」が同数で15.1%と続いた。受注数が減少している企業は、「ハイブリッド展示会(オンラインとリアル展示会の融合)」が23%、「オンライン展示会」が21.3%、「SNSの活用」が15.3%という結果だった。受注数が増加した企業では、コロナ禍での経験から、よりデジタルに視点を向けた対応に移行していることがうかがえる。
コロナ禍以前の法人営業は、実際に顔を合わせることが最大の武器だったといえるだろう。しかし今後は、ITを最大限活用したオンライン商談など「非対面での営業手法」を模索し、実践と改善を繰り返しながらノウハウを蓄積していくことが重要となりそうだ。