スタートアップの事業計画作成をサポートする株式会社プロフィナンスは2021年2月17日、「事業計画書作成時において悩むポイント」に関する調査結果を発表した。調査時期は2020年7月で、事業計画作成クラウドサービス「ProfinanSS(プロフィナンス)」のユーザー77名から回答を得た。これにより、事業計画作成時の「人件費・組織づくり」に関する意識や課題等が明らかとなった。なお、回答者の属性はスタートアップ企業(40.3%)と上場企業の新規事業関係者(22.1%)が6割を占めている。スタートアップ企業の内訳は、シードステージが54.8%、アーリーステージが29%、レイターステージが16.1%だ。また、本文中の数値は、各調査結果の小数点2位以下を四捨五入したものとなる。
人員計画作成時の悩みは企業タイプにより差も
事業計画作成時、企業は人員計画や人件費に関して、どのような悩みがあるのだろうか。はじめに、「人員計画作成時の悩み」を尋ねると、最も多かったのは「成長に合わせた最適な人員構成の設計」で、全体の64.9%という結果に。以下、「必要な役割・ポジションの割り出し」(39%)、「採用の不確実性を加味した増員の仕方」(27.3%)と続いた。
前設問の回答上位2位について、企業タイプ別に内訳を出した。まずは第1位の「最適人員構成に関する悩み」では、最も回答割合が多かったのは「創業前」で100%、次いで「スタートアップ・レイター期」で80%、「スタートアップ・シード期」70.6%などとなった。しかし、どの企業タイプも5割以上が最適人員構成に対して課題を持っており、フェーズが変化しても新たな課題に突き当たることが伺える。
続いて、第2位の「必要な役割・ポジションの割り出し」は、「中小企業」が53.9%、「創業前」が50%、「スタートアップ・シード期」が47.1%の順で多い結果に。一方「スタートアップ・レイター期」では0%となり、企業タイプによる差が大きい結果となった。スタートアップの場合、レイター期までには必要な役割・ポジションについて一通りの検討を終えているようだ。
給与以外の「人件費」、法定福利以外では「採用費」の割合が高い
続いて、人件費について、給与以外のコストをどの程度考慮したかを尋ねた。すると社会保険等給与に対して発生する「法定福利費」が58.4%、以下「採用費」が49.4%、「福利厚生費」が48.1%などとなった。スタートアップのフェーズが進むにつれ「採用費」が重要に
前設問の回答について、スタートアップのステージ別に内訳を出した。その中で「採用費」に着目すると、シード期には35%だったのが、アーリー期で55.5%、レイター期では80%と、ステージの進行につれて事業計画に加味する割合が高まることが判明した。これは、「創業期やシード期ではリファラル採用をメインとしていたのが、企業規模拡大にともない、採用媒体や人材紹介サービスを利用するようになり、採用費用の計上が必要になること」、「創業期では採用費というコストを認識していない、もしくは採用費を無視するという傾向にあること」、「企業ステージの進行とともに、事業計画における採用の重要度が増すこと」という3つの側面が影響していると考えられる。
人件費を設定する際の悩みは「各費用の目安」が最多に
最後に「人件費を設定する上で苦労した点」を尋ねた。すると、全体的に「各費用の目安」について悩んでいることが見て取れる。事業計画で費用を考えるときは、「費用項目の洗い出し」と「費用の目安」が課題となるが、その中でも人員については「何を考慮する必要があるか」がある程度見えやすいことから、「費用項目」よりも「費用感」が課題となっていることが伺える。
企業の成長段階により、組織づくりに伴う人件費の課題は変遷していくことが明らかとなった。成長のステージごとに適切な人員配置を行うため、必要な費用を適宜検討することが重要となりそうだ。