エヌエヌ生命保険株式会社は2021年2月25日、緊急事態宣言による中小企業経営への影響について調査結果を発表した。調査期間は2021年2月5日~8日、日本全国の従業員300名以下の「会社経営者(社長、会長、取締役)」または「従業員のいる自営業者」7,232名から回答を得た。これにより、第2回目の緊急事態宣言発令下で、中小企業にどのような影響が出ているか、その実態が明らかとなった。
4割弱が新型コロナによる資金需要が発生
新型コロナウイルス感染症は、中小企業にどのような影響を与えているのだろうか。はじめに、「新型コロナの影響で、会社の急な資金需要が発生したか」を尋ねた。すると、「発生した」が36.5%という結果に。2020年11月初めに実施した前回調査と、比較するとほぼ横ばいとなった。
また、資金需要が「発生した」と答えた回答率を都道府県別に見ると、最も多かったのは「山形県」で50%を占めた。以下、「徳島県」(48.1%)、「熊本県」(47.3%)と続く。
続いて、「政府や自治体、金融機関からの支援策の対象として期待するもの」を尋ねた。その結果、「経営の資金繰り支援」が51.4%と最も多く、2位以下は「税/社会保険/公共料金に関する特例措置」が32.4%、「家賃支払いの支援や援助」が28%となった。
約半数の経営者が「製品や商品の売上・受注」が減少と回答
次に、「緊急事態宣言再発令による、各項目における経営状況の変化」を尋ねた。すると、「減った」との回答が最も多かったのは「製品や商品の売上・受注」で、50.4%という結果に。以下、「サービスの売上」が46.8%、「顧客数」が43.3%と続いた。また、「変わらない」との回答が最も多かったのは「従業員数」で、86.1%を占めた。次に、「従業員の給与」が73.8%、「従業員の勤務時間」が61.2%となる。今回の緊急事態宣言下において、商品やサービスの売上または受注は減少しているものの、従業員に対する待遇に大きな変化はないことがうかがえる。
さらに、前設問に対する各項目の回答率を都道府県別に見ると、最も高い結果となったのは、「製品や商品の売上や受注が減少」が「島根県」(59.5%)、「サービスの売上が減少」が「沖縄県」(55.7%)、「顧客数の減少」が「鹿児島県」(55.4%)となった。緊急事態宣言の対象ではない地域でも、売上や受注、顧客数が減少していることが見て取れる。
1都3県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)における緊急事態宣言の解除時期は現在のところ不透明だが、6府県(大阪、兵庫、京都、愛知県、岐阜県、福岡県)では3月1日をもって解除された。解除により、多くの企業で売上や受注が回復することを期待したい。