経済産業省では、2022年9月の「価格交渉促進月間」において、昨今上昇傾向にある各コストが適切に価格転嫁できるよう、発注側・受注側企業へ価格交渉の促進を呼びかけている。これにより、中小企業における賃上げの実現を目指し、下請中小企業が付加価値を確保できるよう適切な価格転嫁を強化したい考えだ。
経産省、9月の「価格交渉促進月間」へ向けて適切な価格転嫁を呼びかけ。企業にフォローアップ調査や指導を実施予定

受注側中小企業へのフォローアップ調査などを実施し、改善サイクルの強化へ

昨今、原材料価格やエネルギー価格、労務費等が大きく上昇していることから、下請中小企業の負担が増している。コスト上昇による負担をサプライチェーン全体で適切に分担するためにも、価格転嫁の実現は喫緊の課題となっている。

政府では、価格交渉が頻繁に行われる“9月”と“3月”を、「価格交渉促進月間」と定め、発注側・受注側企業の価格交渉、ひいては価格転嫁を促進している。2022年9月においても例年通り実施予定で、昨今のコスト増加分を、下請中小企業が適切に取引先に価格転嫁できるよう、価格交渉を促進していくという。経産省が「価格交渉促進月間」において取り組む具体的な内容は、以下の通り。

【発注側企業への価格交渉および価格転嫁への積極的な対応要請】
経済産業大臣名で、2022年7月に改正した下請中小企業振興法の「振興基準」に則り、受注側の中小企業との価格交渉や、価格転嫁に積極的に対応するよう要請する。

【フォローアップ調査(受注側中小企業への状況調査)の実施】
同年9月中旬以降、受注側企業に対し、発注側企業との価格交渉の状況について、以下のフォローアップ調査を実施する。

●アンケート調査
受注側中小企業である約15万社に対してアンケートを配布し、発注側企業ごとに価格協議や価格転嫁についての具体的な状況を把握

●下請Gメンによる重点的なヒアリング
受注側中小企業2,000社程度へヒアリングし、交渉・転嫁状況の実態を聴取

【フォローアップ調査結果の公表や指導・助言の実施】
上記のフォローアップ調査結果に基づき、以下6つを実施する。

1.価格協議や価格転嫁について、良好な事例と問題のある事例の公表

2.業種ごとにアンケートの回答を数値化し、公表

3.受注側中小企業からの評価において、価格転嫁や価格協議の実施状況が良好でない発注側企業の経営者に対し、事業所管省庁より、「下請中小企業振興法」に基づく指導・助言による注意喚起等の実施

4.「下請代金法」や「独占禁止法」の違反が疑われる事案については、公正取引委員会と中小企業庁が連携して対処


経産省では、価格交渉促進月間の実施と改善のサイクル強化に向けて、同期間に実施する取り組みの内容を、業界団体を通じて期間開始前に発注側企業へ幅広く周知していくという。
価格交渉促進月間の実施と改善のサイクル強化
なお、同省では下請中小企業を対象として、価格交渉や下請代金法に関するセミナーを同期間に合わせて開催予定だ。セミナー等の日程は、「適正取引支援サイト」にて随時公開予定だという。

「価格交渉促進月間」では、適切な価格交渉や価格転嫁が行われているかについて、受注側企業へのフォローアップ調査や発注側企業への助言・指導がなされる予定だ。コスト管理について課題を抱えている企業では、政府の実施する調査内容の結果やセミナーなどを活用し、改善に努めていきたい。

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