株式会社リクルートは2021年10月5日、2021年度の上半期における「中途採用動向調査」の結果を発表した。調査期間は2021年7月26日~8月6日で、同社が提供する転職支援サービス『リクルートエージェント』を利用する企業1万3,041社から回答を得た。これにより、上半期の中途採用充足率や、下半期に向けた中途採用計画などが明らかとなった。
2021年度上半期は、7割の企業が「採用未充足」と回答。オンライン面接の実施状況にも差が

7割の企業で中途採用が「未充足」であることが判明

2021年度上半期を過ぎたいま、中途採用の動向はどのようになっているのだろうか。

はじめに、「上半期の中途採用充足状況」を調査した。上半期における「中途採用計画人数」と「中途採用実績人数(入社ベース)」から、「中途採用充足率(以下、充足率)」を算出している。

すると、「充足率が100%以上」の企業は全体の17.7%に。他方、「充足率が100%未満」の企業は70.5%となり、そのうち「充足率50%未満」の企業は46.1%、「充足率50%以上100%未満」の企業は24.4%だった。この結果から、7割の企業では、中途採用として計画していた人数に満たない採用状況であることが判明した。
21年度上半期中途採用充足状況
また、「充足率」の結果を業界別に見ると、「採用充足企業(100%以上)」の割合が高い業界のトップは「化学業界」の24%だった。以下、「消費財業界・総合商社」が22.9%、「金融業界」が22.4%などと続いた。対して割合が低かったのは、「インターネット業界」(10.4%)、「IT通信業界」(13.1%)、「コンサルティング業界」(15.5%)などだった。
中途採用充足状況(業界別)

約8割が下半期の中途採用計画を「4人以下」に設定

続いて、2021年度下半期(2021年10月~2022年3月)の「中途採用計画」について、採用予定者の最少人数を「計画数値」とみなして集計を行った。すると、全体では下半期の中途採用計画を「4人以下」としている企業が、79.9%と約8割に。「4人以下」の割合を業界別に見ると、「インターネット業界」が54.8%、「IT通信業界」が67.7%と、他業界より低い結果になった。デジタル化への対応などが社会全体で求められることから、特にデジタル化の需要が高いこれらの業界では、中途採用計画人数が多くなっていると考えられる。
2021年度下半期中途採用計画

6割以上の企業がオンライン面接を活用。インターネット業界ではオンラインのみで完結か

次に、「オンライン面接(WEBまたは電話を利用した面接)の活用状況」について調べた。すると、全体の63.6%の企業が「オンライン面接を活用している」と回答。このうち、「全てオンライン面接で実施している」企業は11.6%だった。新型コロナウイルスの感染拡大にともない、中途採用においても、多くの企業がオンライン面接の導入や活用を進めていることがうかがえる。
オンライン面接の活用状況
さらに、業界別に「オンライン面接の活用状況」を見ると、「インターネット業界」では、「全てオンライン面接」の割合が38.6%と、他の業界に比べて高くなった。他方、「対面のみ」の割合が高かったのは、「建設・不動産業界」の42.9%や、「公共インフラ・官公庁」の35.6%だった。インターネット業界などで顕著にオンライン面接の活用が進む中、業界による差が見られる結果となった。

オンライン面接を活用する理由としては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から「社会状況的に対面は適切でないため」といった回答の他、「日程・場所等、社内調整が柔軟になるため」、「対面で会えない候補者とも面接ができるため」などがあがった。オンラインのメリットを、面接に活かしている様子がうかがえる。
オンライン面接の活用状況(業界別)
調査の結果から、7割の企業で中途採用状況が「未充足」であることが判明し、動向が芳しいとは言えないようだ。昨今のデジタル化の需要から、特にインターネット・IT業界では、計画通りに採用を実施できていないことがわかる。また、コロナ禍の影響もあり、オンライン面接の活用が浸透していきていることもうかがえる。難しい状況の中で人材を確保するためには、オンライン面接をはじめとした、柔軟な採用方法を検討していくことが必要ではないだろうか。

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