サイボウズ株式会社(以下、サイボウズ)は2021年10月7日、2022年度より社外取締役を設置し、候補は社員による推薦で募集すると発表した。公募後に社内での検討を経て、取締役会および株主総会での決議により社外取締役を選任する。また、2022年度の社内取締役についても、本年度に続き社内公募で候補者を選出するという。これにより、同社では新たなコーポレートガバナンスの構築を目指す考えだ。
2022年度より社外取締役を設置、候補者は社員の推薦から募集
サイボウズは、同社の属するIT業界や、同社の企業理念および事業環境等に対する理解が不十分な社外取締役を選任した場合、取締役会での迅速かつ柔軟な意思決定が阻害されるといった懸念などから、社外取締役を置くことが相当でないとしてきた。しかし、2021年3月1日に施行された「改正会社法」による「社外取締役設置の義務化」に伴い、2022年度より社外取締役を設置することを決定。また、社外取締候補者を「社員の推薦」により選出する意向だ。選任スケジュールは以下の通りで、募集人員は若干名の予定だ。●2021年10月:推薦受付
●2021年11月:選考
●2021年12月:候補者へのオファー、候補者内定
●2022年3月:株主総会にて決議、選任
なお、スケジュールは状況により前後する可能性があるという。
社内取締役は本年度に続き社内公募により候補者を選出
2022年度の社内取締役については、初回実施となった2021年度に続き、社内公募により5~8人の候補者を選出し、株主総会を経て選任するという。同社では、徹底的な情報共有と対話により問題を解決していく「自律分散型組織」を目指しており、その中では「誰もが取締役の役割を担う」という基本的な考えを持っている。これらの下、「取締役は、理想の番人として選任される」という新たな形のマネジメントに挑戦しているという。そのため、社内取締役の選任基準は“ビジネスの経験”ではなく、同社の理想とする風土である「理想への共感」、「公明正大」、「多様な個性を重視」、「自立と議論」を理解し、その権限を手続き的な場面で使わない者としている。同社ではこれらの取り組みにより、従来型の縦割り構造の組織を超える、新たなコーポレートガバナンスの構築を目指したい考えだ。
現在は、「株主が取締役を選んだのち、取締役が事業の執行者を選び、執行者が従業員を雇用する」というのが企業の一般的な組織構造となっているようだ。しかし、こうした新たなマネジメントのチャレンジが、組織運営の改革につながるのかもしれない。