コラム・対談・講演録
国がモラルハラスメント?(後編)
特別読み切り
次に採りあげたいのは、日本銀行の金融政策である。現下の日銀の政策目標は物価を2%上昇させることによるデフレからの脱却にある。そのために、これまで異次元の金融緩和といわれる量的緩和を実施してきた。つまり、市場からとてつもない量の国債を買い上げ、その代金を金融機関が持つ日銀当座預金口座に積み上げたり、そのベースマネーの一部にマイナス金利を導入して、マネーが市中に流れるよう誘導したりしてきた。結果は、見るも無残な状況だ。いっこうに物価は上昇の気配を見せず、デフレが深化しつつあるかのようだ。これらの金融政策で仮に物価が2%上昇しなければ辞任すると言い切った現副総裁の岩田規久男氏は恥ずかしげもなく居座り続けている。この方、前日銀総裁の白川方明氏を徹底的に批判していたが、現在の心境は如何ばかりなのだろうか。