HR総研と「楽天みん就」(現「みん就」)では、25卒学生の「就職活動」と「就職意識」の最新動向を把握するためのアンケートを実施した。今回は「就職活動」の動向の調査結果について、フリーコメントも含めて以下に報告する。
「学部3年生6月以前」から就活開始する25卒学生が半数前後
まず、25卒学生が就職活動を始めた時期の傾向を見てみる。
文系・理系別に見ると、文系は「学部3年生6月」(※)が最多で23%、次いで「学部3年生5月以前」が22%となっており、これらを合計して「学部3年生6月以前」の割合は45%と半数近くに上っている。理系は「学部3年生5月以前」と「学部3年生6月」がともに最多で24%となっており、「学部3年生6月以前」の割合は48%で、文系と同様に半数近くに上っている(図表1-1)。これらの割合は24卒学生と同様で、かなり早い時期からの就職活動を開始する動きに変わりはない様子となっている。
(※)修士の場合は、「修士1年生」を「学部3年生」として回答。
【図表1-1】就職活動を始めた時期
このように早期から就職活動を始めている学生が多い現状において、どのような活動を行っているのかを見てみると、最も多いのは「就職ナビへの登録」で文系91%、理系86%と9割程度に上っている。次いで、文系では「応募・エントリーシートの提出」と「インターンシップへの応募・参加」がともに69%と7割、「企業の選考面接」が62%などとなっており、理系では「応募・エントリーシートの提出」が75%、「インターンシップへの応募・参加」が64%、「企業の選考面接」が58%などとなっている(図表1-2)。
文系・理系いずれの学生も、インターンシップへの参加と同程度の割合で採用選考へのエントリーを行い、さらに6割前後がすでに採用面接にまで進めている。
【図表1-2】就職活動としてすでに行ったもの
対面インターンシップへの参加「3社以上」が半数程度
ここからは、インターンシップの参加状況について見てみる。
これまでに参加した対面形式のインターンシップの社数は、文系では「0社(応募をしていない)」が最も多く21%、次いで「4~5社」が17%などとなっており、「3社以上」(「3社」~「21社以上」の合計、以下同じ)は46%と半数近くに上っている。理系では「3社」が最多で27%、次いで「0社(応募をしていない)」が17%などとなっており、「3社以上」は51%とほぼ半数に上っている。
一方、オンライン形式のインターンシップの参加社数については、文系では対面形式と同様に「0社(応募をしていない)」が最も多く21%、次いで「4~5社」と「6~10社」がともに16%などとなっており、「3社以上」が51%で対面形式とは5ポイント差でやや多くなっている。理系では、「0社(応募をしていない)」が最多で24%、次いで「6~10社」が17%、「3社以上」は41%となっており、対面形式より10ポイント低くなっている。理系学生は、気軽に自宅からでも参加できるオンライン形式のインターンシップより、対面形式のインターンシップにより多く参加していることがうかがえる(図表2-1)。
【図表2-1】参加形式別 これまでに参加したインターンシップの社数
次に、インターンシップに参加した時期を参加形式別に見てみる。
対面形式のインターンシップについては、文系では「2023年8月」と「9月」(「2023年」を省略、以下同じ)がともに55%で最多となっており、「10月」~「12月」、「(2024年)2月」は4割前後で推移している。理系では「8月」が最多で63%、これに僅差で次いで「9月」が59%となっており、文系よりやや高めの参加率となっている。ただし、「10月」から「11月」は急激に参加率が低下し、それぞれ19%、13%と2割未満にまで落ち込んでいる。その後、「12月」で再び参加率が上昇し41%となり、「2024年1月」以降は1~2割程度に落ち着く動きとなっている。対面形式では、文系より理系で時期による動きが大きく、できるだけ大学の長期休暇期間を活用して集中的に参加しようとする意向が如実となっている。
オンライン形式のインターンシップについては、文系では「8月」と「9月」の参加率が高いのは対面形式と同様で、それぞれ60%、56%と6割程度に上っている。ただし、大学の授業期間である「10月」~「12月」でも4割以上の参加率をキープしている。一方、理系では、「8月」が最多で82%と8割を超えている。次いで「9月」が54%となり、その後「10月」~「12月」では3割近くまで低下している。理系学生は、10、11月などの授業期間でのオンライン参加率は対面形式よりはやや高いものの、文系学生よりは顕著に低くなっており、参加形式に関わらず「8月」と「9月」に集中して参加したい理系学生が多いことがうかがえる(図表2-2)。
【図表2-2】参加形式別 インターンシップに参加した時期
8~9月のインターンシップ「1週間タイプ」が特に理系で人気、望ましい参加形式は?
参加したインターンシップの日数タイプについては、2023年8月・9月においては文系・理系ともに「1日」が最も多く、それぞれ69%、53%で、次いで「半日」がそれぞれ51%、47%と半数前後となっている。「1日」と「半日は」は「1day仕事体験」であり、厳密にはインターンシップとは異なるものとされているが、実態としてはこのような「1day仕事体験」に参加する学生が多いことが分かる。「1週間程度」は文系・理系それぞれ29%、38%となっており、理系の方が9ポイント高い割合となっている。前述のとおり、理系学生は夏期休暇期間に集中して参加する傾向が見られており、この期間だからこそ参加できる長期間タイプも人気であることがうかがえる(図表3-1)。
2023年10~12月に参加したインターンシップの日数タイプについては、文系の傾向は8月・9月と同様に「1日」が最多で66%、次いで「半日」が46%となっているが、理系においては「半日」が最多で57%、次いで「1日」が38%となっており、「1週間程度」はわずか19%にとどまっている。8月・9月の傾向と比べると顕著に短期間のインターンシップに参加する傾向が強くなっていることが分かる(図表3-2)。
【図表3-1】2023年8月・9月に参加したインターンシップの日数タイプ
【図表3-2】2023年10~12月に参加したインターンシップの日数タイプ
参加したインターンシップの状況を踏まえ、学生にとって最も望ましいインターンシップの日数タイプを参加形式別に聞いてみると、オンライン形式では「半日・1日タイプ」(1day仕事体験)がほとんどの学生の支持を得ており、82%、93%となっている。一方、対面形式では個別に見ると「半日・1日タイプ」(1day仕事体験)が最多で文系・理系それぞれ49%、47%と半数近くに上るものの、「2~3日タイプ以上」(「2~3日タイプ」~「2週間以上タイプ」の合計)として見ると、複数日タイプを支持する学生が半数以上となっている(図表3-3)。
また、望ましいインターンシップの参加形式については、文系・理系いずれも「対面形式」が70%で圧倒的な支持となっている(図表3-4)。
【図表3-3】参加形式別 最も望ましいインターンシップの日数タイプ
【図表3-4】望ましいインターンシップの参加形式
望ましいインターンシップの参加形式として「対面型」を選ぶ理由については、フリーコメントによる意見の中から、主な以下の意見を抜粋して紹介する。
【図表3-5】対面形式のインターンシップの方が望ましいと思う理由(一部抜粋)
対面形式のインターンシップの方が望ましいと思う理由 | 文理区分 | 大学区分 |
---|---|---|
コミュニケーションがとりやすいため | 文系 | 旧帝大クラス |
他の学生と距離を縮めやすいし、社員の雰囲気も分かるから | 文系 | 上位国公立大 |
対面の方が社員の方々の雰囲気がよく分かるから | 文系 | 上位私立大 |
対面でコミュニケーションを取る方が、個人的にはワークをやりやすいと感じたから。また、学生同士や社員の雰囲気、本社開催であればオフィスの雰囲気も掴めるため、入社後働くイメージを持ちやすいと思います | 文系 | 中堅私立大 |
仕事環境を深く知れる | 理系 | 旧帝大クラス |
対面でしか分からない雰囲気が多い。仕事環境や工場なども案内してくれることが多いため | 理系 | 上位国公立大 |
対面の方がその企業の雰囲気や社員の方と直接コミュニケーションを図れるので、企業理解にもつながる | 理系 | 中堅私立大 |
社員や社内の雰囲気を知ることができ、質問をしやすいから | 理系 | その他国公立大 |
この先は、会員の方だけがご覧いただけます。会員の方はログインを、会員でない方は無料会員登録をお願いします。
調査概要
アンケート名称:【HR総研×みん就】2025年卒学生の就職活動動向調査(3月)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、楽天グループ株式会社(現みん就株式会社)
調査期間:2024年3月6~21日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2025年卒業予定の「楽天みん就」(現「みん就」)会員学生
有効回答:122件
※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当調査のURL記載、またはリンク設定
3)HR総研へのご連絡
・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
・引用元名称(調査レポートURL) と引用項目(図表No)
・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp
※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。
- 1