アルバイト採用とドラッカー Vol.2

飲食店や小売店舗の現場では、様々な雇用形態の方たちが働いています。近年増加する、「ワークライフバランス」や「自由な働き方」といった考え方を前提として、本人が望む形での雇用形態の多様化が進んでいます。

飲食店や小売店舗の現場では、様々な雇用形態の方たちが働いています。近年増加する、「ワークライフバランス」や「自由な働き方」といった考え方を前提として、本人が望む形での雇用形態の多様化が進んでいます。

こうした社会の変化に対し、先進的な雇用環境を整える企業では、本人の希望を鑑みた上で、不利益をこうむらない範囲での雇用形態の変更や評価指標の維持を実現させています。と同時に、目標達成に向けて一人ひとりとしっかりとコミュニケーションをとり、あらゆるスタッフに学習・成長の機会を平等に提供しています。

その代表的な企業が、「時代を勝ち抜く人材採用」にて紹介をさせていただきました三起商行株式会社様です。三起商行様では、「子育てもキャリア」と称し、育児の経験をもつ主婦の力を最大限に活かす採用を展開されています。育児経験があるからこその提案力を、同社のベビー、キッズ用品の提案につなげていただくと同時に、KCA制度という確固たる資格制度を導入することで、個々人のスキルアップ支援にも取り組んでいます。

ベビー分野を取り扱う「ミキハウスファースト」では、2008年より店舗販売員として高いパフォーマンスを発揮している女性に「KCA(子育てキャリアアドバイザー)」という資格を認定する制度を導入。6年間でKCAに認定された女性は、230人に上り、2015年には46人が新たにKCAとして認定されています。(2015年6月時点)

現在、ミキハウスの従業員のうち、アルバイトやパートなどの雇用形態で働く人々が約6割。正社員が約4割という比率になっています。KCAをはじめとする、販売の現場で活躍する女性従業員の多くがアルバイトとして働かれています。
子育て経験のある女性の平均在職期間は7~8年と長く、50代、60代まで働きたいと考えている女性も沢山います。同社では、こうした子育て経験のある女性のキャリア形成を支援する仕組みを、雇用形態を問わず展開されているのです。
ドラッカー氏は、著書「ネクスト・ソサエティ」にてこのように語っています。

“人の育成こそもっとも重要な課題であることを忘れてよいはずがない。それは知識経済下において競争に勝つための必須の条件である。”
P.F.ドラッカー『ネクスト・ソサエティ』P167より。 ダイヤモンド社 上田惇生訳 

同社の人材育成への取組みの結果が、組織としての強さを生んでいることは明らかです。
更に、注目すべきは、雇用形態にとらわれず、柔軟な評価制度を設けていること。アルバイトやパートといった雇用形態と正社員との垣根が低く、望む雇用形態への移行がしやすいよう留意されています。従業員のライフスタイルに合わせて、ある程度自由に雇用形態を組み立てられるのが特徴です。

「子育てをしているからこそできる仕事がある」と発想を転換することで、女性たちが自分の能力を最大限に発揮し、活躍できる職場を作られています。