jinjer株式会社は2023年8月29日、「人事データの管理、蓄積、活用に関する実態調査結果」の結果を発表した。調査期間は2023年8月9日~11日で、従業員300名以上の企業で人事業務に携わる担当者384名より回答を得ている。本調査より、企業における人事データ活用の実態や目的、課題などが明らかとなった。
4割以上の企業が「人事データ活用」実施も、難航する“データ収集・管理”。担当者が抱える組織的課題とは?

人事戦略策定の要は「人事データの活用」か。約8割の企業で重要視

近年はDXの加速により、人事労務領域においても、データを人事戦略に活かす企業が増えつつある。一方、人事データの活用目的やその方法について、理解や改善できていない企業も見受けられるが、実際に企業ではどの程度人事データを活用できているのだろうか。

はじめにjinjerは、「人事戦略を策定する上で、人事データの活用をどの程度重要だと考えているか」を尋ねた。すると、「非常に重要である」が46.9%、「どちらかというと重要である」が32.3%で、合計79.2%と8割に迫った。
人事戦略を策定する上で、人事データの活用をどの程度重要だと考えているか

実際に人事データを「活用している」との回答は4割超。「活用予定」も2割超に

続いて同社は、「人事戦略を策定する上で、人事データの活用は重要である」とした回答者に対し、「現在、実際に人事データを活用しているか」を聞いた。その結果、「活用している」は43.2%と4割にのぼり、「活用予定」との回答も25.5%となった。

一方、「活用したいが活用の仕方がわからない」とした人が16.9%と、6社に1社はデータの活用に悩みを抱えている実態も示された。人事データを十分に活用している企業がある一方で、課題を持つ企業もあると見受けられる。
人事戦略を制定する上で実際に人事データを活用しているか

7割以上の企業が「人事データの活用が人事戦略に活かせている」と実感

続いて同社は、「人事データを活用している、または活用予定がある」とした回答者に、「人事データを人事戦略へ活かせていると思うか」を尋ねた。すると、「非常に活かせていると思う」(31.1%)と「どちらかといえば活かせていると思う」(44.7%)の合計は75.8%となった。7割以上が、「人事データを活用した人事戦略策定ができている」と感じていることがわかった。
人事データを人事戦略へ活かせていると思うか

人事データ活用の目的は「適切な人事評価制度の構築」が最多。企業によりバラツキも

続いて同社が、「実際に人事データを活用している」とした回答者に対し、「人事データを活用する目的」を複数回答で尋ねたところ、企業ごとに異なる傾向が見られた。その中で最も多かった目的は「適切な人事評価制度の構築」(39%)で、以下、「モチベーションと生産性の分析」(37.9%)、「従業員エンゲージメントの向上」(36.7%)が上位にあがった。

この結果を踏まえて同社は、「雇用の流動性が高まっている昨今において、適切な人事評価制度を構築した上で従業員のエンゲージメントの向上を試み、企業の生産性を上げていくにはどうしていくべきか、悩む人事担当者が多くいるのではないか」との見解を示している。
人事データを活用する目的

「人事データの収集過程」を課題とする企業は約7割に

続いて同社は、「人事データを集める過程で課題を感じるか」を聞いた。すると、「非常に課題を感じている」(26.9%)と「どちらかというと課題を感じている」(41.3%)の合計は68.2%と、7割に迫った。
人事データを集める過程で課題を感じるか

「組織全体のリテラシーが低い」との課題意識。“データ活用の前工程”に課題が山積か

最後に同社は、「具体的にどのようなポイントで課題を感じるか」を複数回答で尋ねた。すると、最も多かったのは「データ活用に関して組織全体のリテラシーが低い」(34.1%)だった。以下、「マスタデータのマネジメントができていない」(32.6%)、「部署やシステムごとにデータが散在し、正しく情報を収集・管理できていない」(31.1%)と続いた。

人事データを活用した人事戦略を行う企業は増えているものの、元となる人事データの収集や蓄積、管理といった前工程においては課題が多く存在することが明らかとなった。
具体的にどのようなポイントで課題を感じるか
本調査結果から、人事データを人事戦略の策定に活かせている企業は4割以上あるものの、いまだ人事担当者の約7割が課題を抱えている実態が明らかとなった。また、人事データを収集する過程で感じる課題として、「組織全体のリテラシーが低い」、「マスタデータのマネジメントができていない」といった回答も得られていた。人事戦略における人事データ活用の重要性は理解していても、実際には十分に活用できていない企業もあると考えられる。人事データの活用を考える企業では、社内のデータリテラシー教育や専門人材登用を進めるなど、人事データベースの構築を目指してみてはいかがだろうか。

この記事にリアクションをお願いします!