株式会社SUSQUE
チーフデータサイエンティスト
岡村 慶尚氏
福島大学研究職、株式会社ブレインパッド、株式会社コロプラ入社経て、株式会社SUSQUE設立 代表取締役就任。データサイエンティストとして、世界最大級外食チェーン・世界最大級ネット系企業、流通、保険、ゲーム分析、位置情報分析など多種多様なビックデータを用いたデータ分析業務および分析コンサルティングに従事。
うつ病などの精神疾患が増えている昨今、その発症を防ぐことは企業にとっても大きな課題です。そうした中、株式会社SUSQUEが運営する、クラウド型人事・労務分析ツール「サブロク」が注目されています。従業員の望ましくない休職や退職を防ぐため、ビッグデータをもとに、退職者やうつ病発症者の傾向など、人事・労務におけるさまざまな課題を分析。最適なソリューションを提供し、企業の健康経営を実現させるサービスです。そこで今回、同社代表取締役の岡村慶尚氏をお招きして、「サブロク」のコンセプトや特徴についてお話を伺いました。 インタビュアは、人事分野のビッグデータ分析を研究する慶應義塾大学大学院特任教授・岩本隆氏に務めていただきました。
岡村さんとは私が会長を務めるHRテクノロジーコンソーシアムで知り合いましたが、本日は改めて御社の設立経緯や提供する人事・労務分析ツール、サブロクの特徴・コンセプトなどをお伺いしたいと思います。そもそもSUSQUEという社名の由来は何なのでしょうか?
岡村 ペリー提督が搭乗していた黒船=サスケハナ号です。データ分析の分野において、黒船が来航した時のようなインパクトを与えようという思いを込めました。
つまりデータ分析業界から黒船でやってきたということですね。
岡村 そうですね。人事業界に夜明けをもたらしたかったので(笑)
大学時代からずっと情報科学をやってこられたのですか?
岡村 大学では経済学を学びました。実は若い頃はずっと株式投資の世界にいました。大学卒業後、金融の仕事に携わり、 そこで株価予測モデルを利用した自動取引ロボットも作りました。母校・福島大学の研究職に就き、さらにデータ分析会社やゲームアプリ会社を経て、SUSQUEを起業しました。
天才肌の岡村さんが、なぜ人事の領域に目をつけたのか。その背景が気になります。
岡村 前職のゲームアプリ会社でユーザーの離脱傾向分析をしていたところ、結構高い精度でユーザーがゲームを辞める確率を予測できていました。その手法を使って、従業員の退職確率に応用できるのではないか、と考えたのが起業のきっかけです。
それならば自分で独立して作ってみようということですね。
岡村 はい。これは日本を変えられると確信しました。我々は企業風土や従業員の行動、属性情報を定量化し、これまで人の目では気づけなかった分析結果をご提供します。例えば採用の場面では、応募者がその会社に合っているか、直属の上司やチームのメンバーとの相性はどうか…などが事前にわかるので、ミスマッチが起こりにくくなります。高い給料に釣られて入社したら、やりたくない仕事を与えられて、上司とも相性が悪く、年収は高いけれど評価は低く、結局辞めざるを得ない。そういう不幸な例をなくしたいんです。みんながハッピーになれる——そんな循環が生まれれば、日本全体が良くなると思います。
それを実現させるのがサブロクということですね。サブロクという名称から、36協定、つまり勤怠管理・労働時間管理というイメージがありますが、そもそも「サブロク」というサービスが目指すもの、目的とは何なのでしょうか?
岡村目的は望ましくない退職を防ぎ、ガバナンスを強化することです。そのために勤怠情報や、評価・給与・インセンティブ・性格診断テストなどの大量データを利用して、人事や労務に関わる多様な課題を分析していきます。
その中でも代表的なものが、退職者とうつ病発症者の分析ですね。
岡村はい。退職確率とうつ確率は、勤怠情報、性格診断テストから得られる本人のパーソナリティ、上司・同僚のパーソナリティ等の情報を利用することで、平均80〜90%台の予測精度で算出が可能です。さらにそれぞれの傾向分析もしていきます。
90%台とはすごいですね。パラメータを加えることで予測精度は更に上がったりしますか?
岡村ストックオプションの有無、家族構成、転職回数などを加えることで精度はさらに上がります。
退職やうつ以外には、どのようなことが分析できるのでしょうか?
岡村例えば、数千ものパラメータを使って「優秀な人モデル」を作り、それを活用することで、昇進する優秀な人材の発見に繋げていきます。それからリソース配分の最適化も可能です。例えば10人のチームがあるとして、一人抜けたときに代わりに誰を立てるか、能力や性格などから最適な人材をプライオリティをつけて算出しています。その他にも、新卒・中途応募者選抜、給与が高すぎる低すぎるなど不当な評価の発見に繋がる人材評価・給与チェックへの応用、昇進・降格・退職・懲戒処分・問題行動のエレメント分析、人材の問題行動発生率の予測とその傾向、年収最適化、上司・部下・チームの相性分析などが挙げられます。
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福島大学研究職、株式会社ブレインパッド、株式会社コロプラ入社経て、株式会社SUSQUE設立 代表取締役就任。データサイエンティストとして、世界最大級外食チェーン・世界最大級ネット系企業、流通、保険、ゲーム分析、位置情報分析など多種多様なビックデータを用いたデータ分析業務および分析コンサルティングに従事。
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学部材料学科Ph.D.。 日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータ(DI)を経て、2012年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)特任教授。