上司との面談・1on1で「本音で話せている」人は55.6%、上司の認識より少なく…本音で話せる関係が“チームへの満足度”に影響か

株式会社スコラ・コンサルトは2024年11月18日、「組織に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査期間は2024年10月18日~22日で、全国の社員100名以上の企業の一般職・管理職・役員5,161人から回答を得ている。調査結果から、「上司に本音で話せている」と感じる人の割合や、上司の認識とのギャップなどが明らかになった。

上司との面談で「本音で話せている」とする人は55.6%。上司の認識と乖離も

企業における「心理的安全性」との概念は、近年かなり浸透してきている。組織・チームで仕事をするにあたり、心理的な不安のない状態は非常に有意義であり、生産性向上の面でもメリットは大きいだろう。心理的安全性を保つうえで、仕事上の目上の人に対して本音で話せるかどうかはとても重要な要素だが、実際に現代の企業の現場ではどれだけの人が上司に対して本音で話せているのだろうか。

はじめにスコラ・コンサルトは、仕事上の各場面において「本音で話せているか」について、調査対象のうち一般社員に対しては“自分自身”、管理職には“一般社員”の状況をそれぞれ尋ねた。その結果、「上司との面談」の場面では【一般社員:55.6%、管理職:70%】となり、その差は14.4ポイントとなった。そのほか、「チームの会議・ミーティング」では【一般社員:48.3%、管理職:67.7%】で、差は19.4ポイント。「職場で上司に対して」は【一般職:53.2%、管理職62.6%】で、差は9.4ポイント。「職場で同僚に対して」は【一般職:60%、管理職:70.1%】で、差は10.1ポイント。「職場の打ち上げ・飲み会・食事会などの場」では【一般職:48.7%、管理職:68.4%】で、差は19.7ポイントとなっている。

これらの結果から、「チームの会議・ミーティング」や「職場の打ち上げ・飲み会・食事会などの場」などの多数の人がいる場よりも、「上司との面談」や「職場で上司に対して」といった場面の方が、“本音で話せている”と感じている割合が多く、管理職/一般社員間の認識ギャップも小さいことがわかった。
本音で話せているか

上司に対する“期待”と“満足度”、最もギャップがあるのは「適切な人事評価」

次に同社は全員に対し、「上司に期待する要素」および「上司について満足している要素」について複数の項目からの選択形式でそれぞれ尋ね、比較している。その結果、「上司に期待する要素」から「上司について満足している要素」を引いた差が最も大きかったのは、「部下の適切な人事評価」で、【期待:43.6%、満足:13.9%、差:29.7ポイント】だった。以下も差が大きかった順に見ると、「意思決定が速く、決めたことに責任を持つ」が【期待:40.5%、満足:17.4%、差:23.1ポイント】、「部下への適切な業務分担・進捗や負荷の管理」が【期待:33.7%、満足:11.8%、差:21.9ポイント】、「チーム内の良好な雰囲気づくり」が【期待:45.7%、満足:25.1%、差:20.6ポイント】、「組織を前進させるリーダーシップ」が【期待:33.1%、満足:14.5%、差:18.6ポイント】となっている。特に「適切な評価」に関しては期待と満足度のギャップが比較的大きく、一方で「雰囲気づくり」や「リーダーシップ」に関してはギャップが比較的小さい傾向が見てとれる結果となった。
「上司に期待する要素」および「上司について満足している要素」

「チームのメンバーでいることに満足」との回答は半数以下に

続いて、「今のチームのメンバーでいることに満足しているか」を尋ねた結果、「満足している」が11.9%、「どちらかと言えば満足している」が33.5%だった。合計すると、「満足している」とした割合は計45.4%となり、半数以下にとどまっている。
今のチームのメンバーでいることに満足しているか

同僚・上司と“本音で話せる関係”はチームへの満足度に影響

次に、前問で調べた「チームの満足度」に影響を与える要素を分析すべく、チームに「満足している」層、「満足していない」層に分けて、はじめの質問での一般職における「本音で話せている割合」を比較した。すると、仕事上のいずれの場面においても、「本音で話せている」と思う割合は、チームに「満足している」層の方が、「満足していない」層よりも高い結果となった。中でも、「満足している」層と「満足していない」層の差が大きくなったのは「チームの会議・ミーティング」の場面で、その差は54.3ポイントまで広がっている。これらの結果から、チームの同僚や上司と本音で話せる関係があることが、チームの満足度に影響することがうかがえた。
チームに「満足している」層、「満足していない」層それぞれの「本音で話せている割合」