【RPA導入事例】人事部門で自動化できる業務とは?メリットも紹介
減少する労働力の確保や業務の効率化に欠かせない人事部門の自動化。主に事務作業の分野で自動化ツール「RPA(Robotic Process Automation)」を導入する企業は増えてきたものの、具体的にどのような業務に活用すべきかを課題にしている人事担当者も多いようです。
この記事では、人事部門で自動化できる業務の内容やそのメリットとともに、人事業務におけるRPAの導入事例をご紹介します。
RPA導入であらゆる業務を自動化
近年、少子高齢化による労働人口の減少で、企業の人手不足問題が一段と顕在化しています。いかに少ない人的資源で組織を動かし、生産性を高めて利益をもたらしていくかが企業の大きな課題となっている今、業務の効率化を実現させる自動化ツール「RPA」の導入はもはや欠かせない施策となっています。
RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略語で、ロボットによる業務の自動化を意味する言葉です。従来、人が手作業でおこなってきた定型業務などの単純作業、ルーティンワークをロボットが代行することで、業務の自動化・効率化が実現します。働き方改革の推進により業務効率化が急務となっている現代において、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現し企業の競争力を高めつつ、業務過多になりがちな人事部門の負担も軽減できるシステムです。
用語解説「RPA」❘ 組織・人材開発のHRインスティテュート
株式会社MM総研が公表した『RPA国内利用動向調査 2021』によると、RPAの導入率は年々増加傾向にあります。2022年度における導入率は年商50億円以上の企業で50%、年商50億円未満の企業で28%と予測されています。
▶︎RPA導入率の推移
出典:株式会社MM総研『RPA国内利用動向調査 2021』
同調査によると、RPAを導入している企業の8割が利用拡大の意向を持っており、開発・運用ルールの作成や社員の教育などをおこなう「RPA推進部門」を設置している企業は46%に達しています。働き方改革やDX推進が加速する中で、今後もRPAの導入・利用拡大は続いていくと見込まれます。
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RPAを人事部門に導入するメリット
RPAを人事部門に導入し業務を自動化するメリットには、主に以下の4つが挙げられます。
●業務効率化
採用や総務、労務管理など、これまで人の手でおこなってきた人事業務を自動化することで、人事担当者の負担を軽減できます。また、RPAで定型業務の効率化を図れば、自社に必要な人事戦略の分析・立案といった、高度な判断を必要とするコア業務に多くの時間をかけられるようになることもポイントです。
●経費の削減
これまで長時間かかっていた人事関連の業務を自動化することで、その業務の人件費を削減できます。システムによる代行となるため、担当者の急な欠勤・退職で業務が滞ってしまうことはなく、新たな人材を雇って教育する必要もありません。RPAの導入・運用にも費用はかかるものの、定型業務を自動化できれば付加価値をうむコア業務に貴重な人的資源をあてられるようになり、組織全体の生産性向上や業績アップにつながります。
●人的ミスの削減
RPAが得意とするのは、決められたルールに従ってデータを処理する単純な定型作業です。RPAで業務を自動化すれば、24時間365日、常に正確な業務処理がおこなえるため、疲れや不注意による人的ミスを削減できます。これまで以上に業務のスピードアップが図れるようになることで、生産性や業務品質の向上にも期待が持てるでしょう。
●働き方改革とDX推進
RPAの導入は、働き方改革の推進にも大きく寄与する取り組みです。RPAによる業務の自動化・効率化で長時間労働が是正されると、これまで以上に社員が有給休暇を取得しやすくなり、プライベートの時間が充実します。社員が働きやすい環境を整えることで離職率が低下し、多くの企業が課題としている人材不足も解消できるでしょう。
また、DX推進という面でもRPAの活用が注目されています。DXを実現するためには内部エコシステムの変革が欠かせず、これに貢献するのがロボットによる代行で業務を自動化させるRPAなどの新たな技術です。RPAは企業がDXを進める上でも必要不可欠なツールであり、経済産業省が警告する「2025年の崖」(※1)の問題からも、今後さらに利用が拡大していくでしょう。
(※1)DXが推進されなければ2025年以降最大12兆円もの経済損失が発生するおそれがあるという警告。経済産業省の「DXレポート」に明記されている。
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RPAで自動化できる人事業務とは?
RPAの得意分野は、繰り返し規則通りに処理する単純作業・反復作業です。疲れによって注意力が散漫になってしまうような定型業務は、RPAで自動化していくとよいでしょう。特に膨大な事務作業が発生する人事部門とは相性がよく、人事担当者の業務負担や人的ミスを減らすためにはRPAの活用が効果的です。
RPAで自動化できる業務には以下が挙げられます。
・勤怠管理、給与計算、経費計算
・データ集計・入力・加工・保存
・採用業務
・スコアリング(人事評価)
・人事関連の申請・更新業務
・レポート作成
・メール送信
・システムの監視・メンテナンス
・BCP(事業継続計画)関連の業務
このように、RPAで自動化できる人事業務は多岐にわたります。一方で、RPAは事前に設定されたルールに則った作業しかできないため、イレギュラーな事象が発生したときに自ら対応策を考えることはできません。
RPAを取り入れる際は、どの作業を自動化すべきか、またどのくらいの効果が見込めるのかあらかじめ分析・検討しておくことがポイントです。まずは自社業務の洗い出しや整理をおこない、自動化を推進する体制をつくるとよいでしょう。RPAを単なる便利ツールとして扱うのではなく、人事部門や組織が抱える課題の解決に役立てることが大切です。
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RPAの導入事例
RPAは人事部門でどう活用され、どのような効果が得られているのでしょうか。
ここでは、人事部門にRPAを導入した事例をご紹介します。
●導入事例1/採用業務にRPAを活用
これまで人の手でおこなってきたルーティン性の高い採用活動に関する業務を自動化。
以下の業務にRPAツールを導入しました。
・企業説明会やイベントの案内を応募者へ送付
・エントリー内容の確認・選別
・書類選考の実施
・採用試験の採点作業
・採用システムで該当者を確認
・面接官とのスケジュール調整
・面接結果の通知(応募者へメールを送付)
採用業務にはさまざま作業が発生し、RPAを活用できる定型作業も多々あります。自動化できる作業はRPAに代行してもらうことで、採用担当者の工数を削減するとともに、本来注力するべき面接などの選考準備により多くのリソースをあてられるようになりました。RPAでは代行できない選考作業に時間をかけることで、自社に必要な人材を獲得できる可能性が高まり、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながるでしょう。
●導入事例2/労務管理でRPAを活用
定型の事務作業としてボリュームのある労務管理をRPAで自動化。
具体的には以下の業務にRPAツールを導入しました。
・社員の労働時間や法定休日出勤などの勤怠管理
・通勤手当や出張費の計算、チェック
・給与明細書の配布
・住所変更などの人事情報管理
・入退社手続き(各種IDや権限の付与・削除)
従来の手作業では人的ミスが発生する可能性があり、社員への負荷が大きかった業務をRPAに置き換えたことで、正確かつスピーディーな処理ができるようになりました。また、対応できる社員が限定されるような属人的な業務がなくなり、ノウハウのブラックボックス化(業務の内容やプロセスが外側からはわからない状態)が解消されたことも重要なポイントです。RPAを活用すれば、業務の属人化・ブラックボックス化を防ぎ、担当者が不在の状況でも普段と変わりなく業務を継続できます。
ボリュームの大きい労務管理を自動化することで、人事担当者は企業経営を支えるような戦略的人材マネジメントや施策づくりにこれまで以上の時間をかけられるようになります。RPAの導入は人事部門に限らず、組織全体の課題解決にもよい影響があるでしょう。
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まとめ
近年、労働力の確保や業務の効率化に欠かせなくなっている人事部門のRPA導入。RPAの導入は、業務の自動化は経費や人的ミスの削減だけではなく、働き方改革やDX推進につながるなど、企業にとっても大きなメリットがある施策です。
RPA導入時には、自社業務の洗い出しや整理をおこなった上で、何を自動化するのか、どのくらいの効果が得られるのかを分析・検討することが大切です。いかにRPAを活用し組織改革できるか、また人事が本来取り組むべき業務である経営戦略の立案・実施にシフトしていけるかが、企業発展への大きな鍵といえるでしょう。
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