世界(海外)のEdTech市場規模とは?日本との違いについても解説
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、EdTech(エドテック)関連サービスへの需要が拡大しています。
テクノロジーを使って教育現場に革新的な変化をもたらすEdTech業界への注目度はますます高まり、さまざまな企業がEdTechサービスに力を入れています。
この記事では、EdTechの具体的なサービス内容とともに、世界(海外)のEdTech市場規模や日本市場との違いについて解説します。
EdTechとは何か?
DXの推進や新型コロナウイルス感染症の拡大により、新たなデジタル技術を使ったこれまでにないサービスが続々と生み出されています。
革新的なビジネスとして期待されている「EdTech」とは、教育分野(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせてイノベーション(変革)を起こすこと、またそのビジネスの総称をいいます。EdTechはこれからの時代に欠かせない、最新技術を活用した新しい教育方法です。
EdTechが注目される背景には、教育における地域・経済格差の解消や指導者の働き方改革、教育現場における双方向コミュニケーションの促進やグローバル人材の育成などが存在します。
学校教育だけでなく、企業が社員教育の研修プログラムとしてEdTechを取り入れるケースも多く、企業からの注目度も高まっています。
関連記事:EdTech(エドテック)の市場規模とは?拡大が進む背景と導入する際のポイント
経済産業省や文部科学省がEdTech活用を推奨
EdTechの代表的なサービスは、コロナ禍でさらに需要が高まった双方向の「オンライン学習」です。
場所を問わずどこにいてもインターネット上で授業や研修が受けられること、これまでにないデジタル教材で学習履歴を確認したり、思考のパターンや課題を把握したりできることが特徴です。
EdTechサービスの導入は国からの支援も手厚く、経済産業省では学校などの教育機関にEdTechを活用したデジタル教材・サービスを導入する事業者に対し、導入に必要な経費を補助する制度を設けています。
また、文部科学省ではシステム導入を「すぐにでも着手すべき課題」として位置付け、すべての学校で新たな時代に対応するためのEdTech活用を推奨しています。
まさに今、政府が教育産業のイノベーションを後押しし、未来を見据えた先端的な学びを促進している状況といえるでしょう。
関連記事:企業内教育はEdTechでどう変わる?人事が求めるIoT・AIの活用法
世界(海外)のEdTech市場規模
日本ではまだ劇的な成長を遂げたEdTech企業は存在していませんが、世界(海外)のEdTech市場規模は拡大路線にあります。
世界にはすでに多くのEdTech系ユニコーン企業が登場し、シェアを取るか取られるか、他社との競争が激化しています。
アメリカ、中国、インドなどを中心とした世界のEdTech市場規模は2018年が17兆円、2025年には38兆円を超えると予測されています。
特に中国のEdTechは急成長を遂げ、2019年には世界に9社あるEdTech系ユニコーン企業のうち5社が中国企業となり、さらに2020年はEdTech系ユニコーン企業トップ20のうち9社を中国企業が占めました。
中国では人口の多さや教育への投資意欲からユーザー規模が拡大し続けており、EdTech市場規模は日本の約30倍ともいわれています。
また、インドでは近年、国内で教育全体の変革やアップデートをおこない、さまざまな児童・生徒に学びの機会を確保しました。
国内にインターネットやスマートフォンが普及し、さらに政府が「教育の質」向上を後押ししたことで爆発的にEdTechへのニーズが高まり、インドでは今後EdTech産業が急速に拡大していくとみられています。
参考:
JETRO|EdTech市場
Frontier Eyes Online|巨大なパイの奪い合い~中国のEdTechの現状と技術
関連記事:EdTech(エドテック)企業7選!企業内教育にも導入できるサービスを紹介
日本のEdTech市場規模~世界(海外)との違い~
野村総合研究所の『ITナビゲーター2022年版』によると、日本国内における2022年のEdTech市場規模予測は2,941億円です。
2023年には3,000億円に達する見込みですが、教育産業全体の市場規模(約2.5兆円)からみると決して大きくはありません。
世界と比べても、日本のEdTechの普及スピードには課題があると考えられます。
日本ではEdTechの必要性についてまだまだ理解が深まっておらず、教育現場において十分な体制が整っているとはいえません。
日本のEdTech市場規模を拡大するには、実現したいEdTech内容に対応した教育現場のICT環境整備や効果検証の加速化が必要となるでしょう。
また、自治体によってEdTechの普及や取り組み自体に差があることも解決すべき課題といえます。
日本におけるEdTech市場規模の拡大は「教育産業から常に需要があり、十分な収益を上げられるサービスが生み出せるか」「海外も視野に入れたサービスを展開できるか」という視点が鍵を握るといえるでしょう。
関連記事:EdTechのサービスをカオスマップからカテゴリーごとに解説
関連記事:地方自治体のe-ラーニングはどこまで進んでいるのか?
まとめ
EdTechとは、テクノロジーを教育現場に取り入れて変革を起こすサービスの総称です。
世界(海外)のEdTech市場規模は拡大路線にあり、特に中国・インドの市場規模・ユーザー規模は今後も間断なく拡大するとみられます。
日本市場においては、教育産業からの需要が常に大きく、安定的な収益を見込めるEdTechサービスをいかにして構築し、広く普及させていくかが課題といえます。
また、日本のEdTech企業は少子化で人口が減少する日本市場だけでなく、世界市場にも目を向けた施策が必要となるでしょう。
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