他流試合とは?ビジネス上の意味や目的、研修選びのポイントを解説

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外部人材との議論・交流の場である「他流試合」。分野の異なる多様な人々との協働は、自社にはない視点や発想を得る貴重な機会となり、個々の成長やイノベーションの創出につながることが期待されます。

この記事では「他流試合」を取り上げ、ビジネス上の意味や目的、研修選びのポイント、参加者へのフォローについてわかりやすく解説します。

目次

他流試合とは

他流試合とは、異なる分野や業界の人々が議論や交流をおこなう能力開発の場のことです。本来は「異なる流派との試合」を指す言葉ですが、ビジネスにおいては「他分野のビジネスパーソンとの交流や協働、切磋琢磨する場」という意味合いで用いられています。業種や業界、会社の垣根を超えて議論を交わす学びの機会であり「他流試合型研修」「他流試合型ワークショップ」などの名称で開催されています。

他流試合への参加は異なる視点を得られ、新たな発想を生み出すきっかけとなります。また、外部人材との交流を通じて他社とのネットワークを構築し、将来的な協業の可能性を探る機会となることも期待されます。

関連プログラム:他流試合ワークアウト(越境学習プログラム)|組織・人材開発のHRインスティテュート

他流試合の目的と効果

他流試合の目的と、研修を通じて得られる効果として以下の点が挙げられます。

新たな視点の獲得

他流試合は異業種のビジネスパーソンと議論する学びの場であり、自社の価値観や固定観念を打破して新たな視点を得ることができます。日常業務において他分野の人々と接する機会が少ない場合、自身に染みついた思考がアップデートされず、斬新な発想やアイデアが生まれにくくなります。この点、他流試合を通じて異なる価値観や多様性に触れることで、自分の意見を振り返ったり批判的に捉えたりする習慣が身につき、思考の幅が広がる効果が期待できます。

人的ネットワークの構築

他流試合では外部人材との交流を通じて、業種・業界を超えた人的ネットワークを築くことができます。人脈が広がると自分一人では得られない情報が集まり、多様な意見やアドバイスをもらえるようになります。会社の枠を超えた仲間を増やし、研修後も継続的な交流が可能なコミュニティを形成することで、各業界の最新情報の共有や将来的な協業の可能性など、長期的な学びと支援を得られるでしょう。

自己成長の促進

他流試合は自分自身と向き合い、その思考や固定観念、価値観を振り返る場となります。他流試合を通じて多様な人々と議論を交わすことで、自分の意見やスキルを他者と比較しながら内省し、自発的に成長しようとする意欲が生まれます。さらに、異なる視点や多様な価値観に触れることで、自社で得られた既存の成功体験にとらわれず、新たな課題に挑戦するモチベーションが高まる効果も期待できます。

他流試合と社内研修の違い

他流試合と社内研修の違いを項目ごとに下表にまとめました。

項目他流試合社内研修
特徴他社の人材と学ぶ研修 外部のプロが企画・運営自社の人材と学ぶ研修 社内で企画・運営
目的視野の拡大やネットワーク構築社員の能力向上や企業文化の浸透
講師外部の専門家管理職や人事担当者など
場所外部の会場・オンライン社内の会議室・研修室
コスト高い(リソースは少ない)低い(リソースは多い)

他流試合と社内研修を組み合わせることで社内外の知見が融合し、より実践的な学習効果を得ることができます。たとえば「他流試合→社内研修」の順番で取り入れる場合、他流試合を通じて新たな視点や気づきを得ることでその後の社内研修における議論が活発化し、質の高い研修になることが期待できます。

他流試合と社内研修のメリット

他流試合のメリットは、異業種の人材との議論や交流を通じて自分自身の視野を広げられることです。多様なビジネスパーソンと協働するなかで異なる思考や価値観に触れ、新たな発想やイノベーションのヒントを得ることができます。

一方、社内研修は自社課題に特化した内容で、組織内の共通言語や価値観の醸成につなげることができます。他流試合と比べると社内のリソースを要しますが、自社の課題や目的に沿った研修プログラムを設計できるメリットもあります。

他流試合と社内研修のデメリット

他流試合は外部のセミナーやプログラムに参加するため、研修のテーマやスケジュール、参加者の属性などを自社でコントロールできない点が課題となります。社内研修と比べると高いコストがかかる分、他流試合に参加する場合の費用対効果についても十分に検討する必要があるでしょう。

一方、社内研修は同質的な思考に偏りやすく、多角的な視点を得られにくいという課題があります。社員一人ひとりへの個別対応が難しく、画一的な内容になりやすい点もデメリットとなるでしょう。

他流試合を選ぶポイント

他流試合にはさまざまな形式・テーマがあるため、自社の目的や課題と合致する研修を選ぶことが大切です。具体的にどのような点を留意すればよいのか、他流試合を選ぶポイントを3つご紹介します。

実施期間・形式

他流試合の実施期間や研修形式はプログラムによって異なります。数時間のセミナーから数日のワークショップ、数か月にわたる長期プログラムまであり、自社業務との兼ね合いやスケジュール、研修で得られる効果などを考慮しながら選ぶ必要があります。研修形式も同様に、知識習得中心の講義型から実践的なワークショップ型まで幅広くあるため、自社の目的に応じて最適な形式を選ぶことが大切です。

実施テーマ・内容

他流試合を選ぶときは「自社の課題や目的に沿ったテーマかどうか」という点を重視し、問題解決やリーダーシップなど特定のテーマに基づいた内容を選ぶことが重要です。単なる知識のインプットだけでなく、多様な人々と意見を交わしながら新たな視点を得るグループディスカッションや、チームを組んで課題を分析し解決策を導き出すプロジェクト型のプログラムなど、より実践的な内容を選ぶことをおすすめします。

他流試合の相手となる参加者

他流試合の成果は参加者の属性によって大きく左右されます。参加者の業種や職種、階層、年代が多様であるほど新たな視点を得やすく、問題解決に向けた多角的なアプローチを学ぶことができます。また、参加する他流試合が良質なコミュニティかどうかも重視すべきポイントです。参加者の心理的安全性を高く保つことで質の良い議論が生まれます。提供者の取り組みや工夫、参加者の声などを参考に、積極的に議論を交わせる人々が集まっているか、研修後も交流を継続できるコミュニティかどうかを確認しましょう。

用語解説「心理的安全性」| 組織・人材開発のHRインスティテュート

他流試合に参加する社員へのフォロー

他流試合は外部で開催される研修・ワークショップですが、社内研修と同様に自社から参加する社員へのフォローが欠かせません。企業による適切なフォローは研修効果を高め、社員にとって有意義な学びの時間になります。

ここでは他流試合の「参加前」「参加中」「参加後」に求められるフォローをご紹介します。

参加前

他社や外部人材とのトラブルを未然に防ぐために、他流試合に参加する社員には機密情報の取り扱いに関するルールをあらかじめ説明しておくことが重要です。また、研修のテーマや目的、期待される成果を共有するなど、社員のモチベーションが高まるような働きかけをおこなうことで、受け身ではない積極的な学びにつなげることができます。

参加中

他流試合では社員の自主的な活動を把握しづらいため、社内で参加者と対話する機会を設けるのが望ましいでしょう。他流試合に参加している期間は定期的に面談し、参加者の進捗や負担状況の確認、フィードバックなどのサポートをおこないます。議論や交流に対して消極的な姿勢が見受けられる場合は、積極的な発言や主体的な行動を促していくことも大切です。

参加後

他流試合が終わった後は、経験者の社内コミュニティや学びの共有など、他流試合で得た知識や経験を活用する場を提供します。また、他流試合の経験者による座談会を実施し、研修参加への心理的ハードルを下げる工夫も有効です。経験者に質問したり助言を受けたりする機会があれば、次回の参加を検討している社員の不安を和らげることができます。

まとめ

ビジネスにおける他流試合とは「業界・業種の異なる多様なビジネスパーソンが議論や交流をおこなう場」を意味します。社外や他分野の人々との協働を通じて視野が拡大し、自社の業務に役立つ新たな発想や気づきを得られる効果があります。企業としても参加する社員をしっかりとフォローし、他流試合で得た学びを自社に還元してもらうことが大切です。

HRインスティテュートでは、参加者自らが主体的に動いていくワークショップ型の他流試合プログラムを提供しています。外部人材との交流を通じて自身を客観視し、リーダーとしての視野や視座、実践的なリーダーシップを身につけていただけます。

関連プログラム:他流試合ワークアウト(越境学習プログラム)|組織・人材開発のHRインスティテュート

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