コンサルティング業界とは?最新の市場動向や向いている人を解説
コンサルティングとは、第三者の立場から企業の経営課題を見極め、最善の解決策を提示する仕事です。コンサルティング業界の市場規模は拡大し続けており、今後も高い需要が見込まれています。
この記事では、コンサルティング業界の市場動向や外資系・日系の違い、向いている人の特徴について詳しく解説します。
コンサルティング業界とは
コンサルティング業界とは、外部の客観的な立場からクライアント企業の課題解決を支援する業界です。収益性の向上や人材の強化、売上・シェアの拡大など、企業はさまざまな経営課題を抱えています。これらの課題を明らかにし、解決に導くための助言や提案をおこなうことを「コンサルティング」といいます。
コンサルタントは自身が持つ専門知識やノウハウを駆使し、情報収集や分析、解決策の提案、実行支援をおこないます。課題を抱えている企業の相談役・サポート役を担い、企業の成長に貢献することがコンサルタントの役割です。
コンサルティング業界の市場動向
IT専門調査会社 IDC Japanによると、ビジネスコンサルティングを含む国内デジタルビジネスプロフェッショナルサービス市場は2023年度に1.3兆円規模に達し、前年比31%増となりました。各企業においてデジタルビジネス化に向けた取り組みが進むなか、2024年以降もAIを活用した業務支援が拡大すると見込まれ、2028年までに最大3.1兆円規模に達する可能性があると予測されています。
参考:2024年 国内デジタルビジネスプロフェッショナルサービス市場予測を発表|IDC Japan株式会社
コンサルティング業界が成長している理由
コンサルティング業界が成長を続ける背景には、ビジネス環境の複雑化やデジタル技術の発展があります。デジタル化やDX推進への取り組みが加速し、IT技術を活用した課題解決ニーズが高まっていることが、各企業におけるビジネスコンサルティング需要を押し上げているといえるでしょう。特にIT領域においては戦略策定だけでなくシステム導入・運用支援まで求められるため、提案から実行まで一貫して対応する案件が今後ますます増加すると考えられます。
コンサルティング業界の歴史
コンサルティングの始まりは19世紀後半のアメリカで、技術者のフレデリック・テイラーが発案した「科学的管理法」が基礎となっています。科学的管理法とは労働者の生産性を改善する手法であり、同氏の名前から「テイラーシステム」とも呼ばれています。
世界初のコンサルティング企業は1886年に設立された「グリフィン&リトル」です。その後「アーサー・ディ・リトル」に社名変更し、1909年には米国最大のコンサルティング産業研究所となりました。
日本では1966年にBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)東京オフィスが設立され、これを機に日本国内でもコンサルティングビジネスが広がり始めました。コンサルティング業界は外資系が多いものの、IT系やシンクタンク系、中小企業向けなど、日本発の特化型コンサルティング企業も数多く誕生しています。
コンサルティング業界の外資系・日系の違い
コンサルティング業界には「外資系」と「日系」の企業があります。具体的にどのような違いがあるのか、両者の特徴について解説します。
外資系コンサルティング企業
外資系コンサルティング企業はプロジェクト型で、”Up or Out”(昇進するか、退職するか)の文化が根付いた実力主義・成果主義の企業風土があります。多様なバックグラウンドをもつコンサルタントでチームを編成し、1つのプロジェクトに専念するのが一般的です。海外の事例やノウハウ・ネットワークを顧客に紹介・展開できるという点が強みになります。
日系コンサルティング企業
日系コンサルティング企業は顧問型が多く、長期的な関係構築を重視するスタイルです。コンサルタントが複数の企業を担当し、長期にわたって経営者に伴走しながら解決策を提示します。日系は”Up or Out”の傾向が弱く、外資系と比べ離職率が低い傾向にあります。
長くお付き合いする中で、企業背景や課題に対する解像度が高まり、経営のパートナーとしての位置づけを獲得しやすいという点が強みになります。
コンサルティング企業の種類
コンサルティング企業にはさまざまな種類があり、各企業の得意分野を中心にコンサルティング事業を展開しています。ここでは代表的な6種類をご紹介します。
戦略系コンサルティング
経営課題を発見し解決策を策定するコンサルティング企業です。戦略領域における課題解決を担い、M&Aやマーケティング、新規事業などのコンサルティングもおこないます。近年は戦略策定から実行支援まで一貫して担当するケースが増えています。
総合系コンサルティング
幅広い業界を対象に、業務改善からシステム導入まであらゆる支援をおこなうコンサルティング企業です。さまざまな課題に対応する必要があるため、業界や課題に特化したチームを組み、各分野のプロフェッショナルが協力してコンサルティングをおこないます。
ITコンサルティング
IT技術を活用して経営課題を解決に導くコンサルティング企業です。デジタル化やDX推進によりニーズが増えている分野で、グローバル展開している企業も多く存在します。経営課題に基づくIT戦略策定を担い、システム導入・運用支援までおこなうこともあります。
組織・人事コンサルティング
人材開発や人事制度の刷新など、組織や人事領域に対応するコンサルティング企業です。具体的には、採用戦略や人材育成計画の策定、給与制度や人事評価制度の改革などを支援し、クライアントが抱える組織・人事領域の経営課題を解決します。
財務系コンサルティング
M&A支援や企業再生など、財務関連の課題解決に特化したコンサルティング企業です。FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)とも呼ばれ、コンサルタントには専門的な財務知識が求められます。日本企業のM&A件数は増加傾向にあり、今後さらにニーズが高まる領域といえます。
シンクタンク系コンサルティング
経済調査やリサーチをおこない、幅広いサービスを提供するコンサルティング企業です。金融機関や証券会社が母体となっていることが多く、金融領域のコンサルティングに強みを持ち、グループのノウハウを活かした支援を提供しています。
コンサルティング企業の種類や特徴については以下の記事でも詳しく解説しています。本記事とあわせて参考にしてください。
関連記事:コンサルタントとは?分野別の特徴や仕事内容をわかりやすく解説
コンサルティング業界に向いている人
コンサルティング業界に向いている人の特徴として以下の点が挙げられます。
論理的思考力がある
論理的思考力(ロジカルシンキング)は、クライアントの課題を的確に解決するための必須スキルです。データ分析や仮説立てを通じて、根拠に基づいた結論を導く能力が求められます。論理的思考力の高いコンサルタントは、クライアントの考えを正しく理解するとともに、自分の意見や提案をわかりやすく伝えることができます。
コミュニケーション能力が高い
コニュニケーション能力は、クライアントとの信頼関係の構築やプロジェクトの円滑な進行に欠かせないスキルです。コンサルタントの仕事はクライアントの考えを尊重しつつ、自分の意見も明確に主張しなければなりません。相手の話を引き出す傾聴力・質問力と、相手を納得させるプレゼンテーション力のある人はコンサルティング業界に向いているでしょう。
向上心・成長意欲がある
コンサルティング業界では、常に自己研鑽し、新たな知識やスキルを習得する姿勢が欠かせません。世の中の動向やトレンドは刻々と変化しており、それに伴うクライアントのニーズも多様性を増してきています。コンサルタントとして相手の期待に応え続けるためには、高い成果を追求し続ける向上心と成長意欲が必要です。
好奇心・ポジティブ思考が強い
経営課題の解決には、常に新しい視点を持ち続ける好奇心が不可欠です。複雑な課題に対して「なぜ」「どうして」と疑問を投げかけ、その答えを追求していく姿勢が求められます。最善の答えに辿り着くまでに遠回りをしてしまうこともありますが、困難な状況でも前向きに取り組む姿勢が、成果を生み出す鍵となるはずです。
体力的・精神的にタフである
コンサルティング業界で働くには、高いプレッシャーに耐えられる体力と精神力が必要です。クライアントが抱える課題を解決に導くまで、継続的な思考と集中力を維持する基礎体力が求められます。自分で「考える力」があり、心身ともにタフな人はコンサルティング業界に向いているでしょう。
まとめ
コンサルティング業界とは、クライアントが抱える経営課題を解決に導くための支援を提供する業界です。ビジネス環境の複雑化やデジタル技術の発展がコンサルティング需要を押し上げており、今後も成長していくことが予測されています。
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