スモールビジネスとは？注目される理由や成功のポイント、具体例を紹介

更新日：2024.7.30

読了まで約 8 分

少人数・小資金で始める小さな事業「スモールビジネス」が注目を集めています。需要のある市場で小規模から取り組むことで、起業のハードルが下がるとともに、ビジネスが失敗するリスクを最小限に抑えることができます。

この記事では、スモールビジネスが注目される理由や成功のポイント、小規模から始められる仕事の具体例をご紹介します。

スモールビジネスとは

スモールビジネスとは、初期投資や人件費を抑えた小規模なビジネスモデルのことです。小規模な事業をおこなう法人のほか、個人で事業を営む個人事業主やフリーランスも該当します。

スモールビジネスは従業員5人以下、初期投資や人件費を抑えて始める事業であり、起業のリスクを最低限に抑えることができます。小規模で地域に密着したビジネスは、地元経済の起爆剤として期待されており、自治体による支援の動きも広がっています。

スモールビジネスとスタートアップの違い

スモールビジネスは需要のある市場で安定した収益を獲得し、ゆるやかな成長を目指すビジネスです。顧客のニーズをすでに把握している市場で、時間の経過とともに着実に成果を出していきます。一方、スタートアップは革新技術や新市場を開拓し、急速な成長を目指すビジネスです。創業当初は利益を出せずに赤字になることもありますが、成功すれば短期間で大きなリターンを生み出すことができます。

関連記事：スタートアップの資金調達方法とは？注意点や調達事例を解説

スモールビジネスが注目されている理由

スモールビジネスが注目される理由として以下の点が挙げられます。

起業のハードルが低下

初期費用やランニングコストが少ないスモールビジネスは、失敗のリスクを抑えるとともに失敗から立ち直りやすいメリットがあります。デジタル技術が進化し、決済や宣伝を簡単に低コストでおこなえるようになったことも、起業のハードルを下げているといえます。

消費者の価値観が多様化

近年は消費者の価値観が多様化し、大量生産・大量消費よりも社会や環境への影響や、自分にとって価値があるもの・経験を求める傾向があります。また、コロナ禍の影響で地域経済に貢献しようとする動きが強くなり、地元製品やサービスを扱う小規模事業が支持されやすくなったことも、スモールビジネスの追い風となっています。

地域社会の課題解決に期待

地元資源を活用したビジネスは、人口減少や高齢化といった地域課題の解決につながることが期待でき、実際にスモールビジネスで移住者を増やした事例も生まれています。自治体としても、専門知識が学べるセミナーの開催や商品開発・設備導入に係る補助金の支給など、全国でスモールビジネスを支援する動きが広がっています。

スモールビジネスのメリット

スモールビジネスには以下のようなメリットがあります。

少ない資金で起業できる

スモールビジネスのメリットとして、初期費用やランニングコストを抑え、少ない資金で起業できることが挙げられます。小規模事業が必ずしも成功するとは限りませんが、大規模な設備や店舗を持たずに運営できる分、仮に失敗したとしても大きな損失が生じることはないでしょう。

自分の強みや好きを仕事にできる

自分の強みや個性、得意分野を活かし、小規模ならではのきめ細やかなサービスを提供することで、競合相手との差別化を図ることができます。また、自分が好きなことや興味のあることを仕事にできるため、やりがいを感じながら事業に打ち込めることもスモールビジネスのメリットです。

自由な働き方ができる

スモールビジネスなら、いつどこで働くか、どのようなペースで仕事を展開していくか、ある程度自分の裁量で決められます。特にパソコンを使った仕事は働く時間や場所に縛られず、自由度の高い働き方ができるため、本業のある人が副業としてサイドビジネスを始めることも可能です。

スモールビジネスのデメリット

さまざまなメリットがある一方で、スモールビジネスには以下のようなデメリットが起こり得ることも理解しておく必要があります。

収入が不安定

スモールビジネスは収入の変動が起こりやすく、会社員のような安定した収入が得られない可能性があります。得意分野だからこそ仕事に対するこだわりが強く、一つの仕事に時間をかけすぎてしまい、結果的に生産性が落ちてしまうことも少なくありません。起業初期は副業としてスタートし、採算が取れるまでは本業と両立するのがおすすめです。

社会的信用が低い

スモールビジネスは大きな設備や店舗を持たずに小規模で始められる分、ある程度の規模の企業と比較すると、社会的信用が得られにくいといえます。事業を続けるうえで資金調達が必要になっても、金融機関からの融資金額が低かったり、取引そのものを断られたりすることがあります。

事業拡大が難しい

急成長を目指すスタートアップとは異なり、スモールビジネスはある程度の時間をかけてゆるやかに成長していくビジネスです。大きなリターンを得るには事業を広げていく必要がありますが、スモールビジネスは資金やリソースの制約を伴うため、事業拡大が難しいケースも多いでしょう。仮に事業を広げる場合には人材を雇用し、社員が同程度の業務品質を担保できる体制が必要となります。

スモールビジネス成功のためのポイント

起業のハードルが低いとはいえ、スモールビジネスで成功するためには事前準備が欠かせません。ここではスモールビジネスを成功に導く5つのポイントをご紹介します。

自分の強み・好きな分野などを選ぶ

スモールビジネスでは、自分の知識や経験を活かせる分野や、興味・関心の高い分野を選ぶのが望ましいでしょう。事業を軌道に乗せるまでは苦労することもありますが、自分の強みを発揮できる分野、自分の「好き」が詰まった分野や、社会課題を個人としても感じている分野であれば、多少のトラブルに動じることなく仕事に対する情熱を持ち続けることができます。

市場のニーズや競合他社を調べる

スモールビジネスで成功するためには、自分の強みや好きな分野がはまるニッチな市場を見つけることが重要です。その市場における顧客のニーズを理解するとともに、競合他社の強みと弱みを分析し、自社が優位性を確保するための差別化戦略を取り入れます。顧客にとって価値があり、他社が簡単に模倣できない優位性を作り出すことがポイントです。

必要な資金を手元に用意する

小規模ではあるものの、スモールビジネスを始める際には資金を用意しておく必要があります。初期費用や運転資金、生活費など、起業にあたって必要となる資金をしっかりと計算し、余裕を持って準備しましょう。自己資金のみでまかなえない場合には資金調達を検討することになるため、金融機関からの融資や自治体の助成金・補助金など、開業前から情報を集めておくことをおすすめします。

持続的な収益が得られる仕組みをつくる

スモールビジネスを始めるうえでは、定期的な収入が見込めるビジネスモデルを構築することが重要です。既存のビジネスに付加事業を加えて複数の収入源をつくるなど、持続的な収益を得られる仕組みを検討しましょう。副業として取り組む場合は、手離れのよいビジネスモデルを選ぶことで本業と両立しやすくなります。

高い利益率の仕事を考える

利益率の高い商品やサービスを提供し、収益を最大化していくことがスモールビジネスの成功に直結します。受注できる仕事量が限られる分、高い利益を得られるビジネスを選ぶことで、事業の継続性を担保できるようになります。規模の小さいスモールビジネスにおいては、薄利多売よりも厚利少売のビジネスモデルを目指すとよいでしょう。

スモールビジネスの例

どのような仕事がスモールビジネスに向いているのか、小規模から始められる仕事の具体例を以下にまとめました。

コンサルタント

専門知識を提供し、他社の問題解決をサポートする仕事です。コンサルタントとして活躍するには高いスキルが求められますが、初期投資が少なく、一人で起業する場合には人件費もかからないため、スモールビジネスに向いている仕事といえます。

関連記事：コンサルタントとは？業界特性や仕事内容をわかりやすく解説

ECサイト（ネットショップ）

インターネットを通じて商品を販売する仕事です。実店舗運営と比べ、初期費用やランニングコストが少なく、商圏を全国（全世界）に広げることができます。その分競合も多くなるため、集客やブランディングに注力し、競合との差別化を図る必要があります。

アフィリエイト

他社の商品を紹介し、成果報酬を得るビジネスです。自分のブログやホームページに広告を掲載し、そこにアクセスしたユーザーが広告を経由して商品を購入することで、売上の一部がアフィリエイターに還元されます。仕入れが発生せず、時間や場所に縛られずに作業できるため、副業としても始めやすい仕事です。

Web制作・デザイン

企業や組織、個人に向けて、ホームページやグラフィックデザインを手掛ける仕事です。制作だけでなく、サイト公開後の保守・運用まで担うことで、継続的な収入が見込めます。プログラミングスキルやデザインスキル、Webマーケティングの知識などを要し、スキル次第で高い収入が期待できるビジネスです。

ライティング

ブログ記事や広告文などの執筆をおこなう仕事です。働く時間や場所、作業量を調整しやすく、本業と両立しながら働くことができます。特別なスキルは必要ありませんが、自分の知識や経験を活かせる専門分野があると、それに特化した仕事を受注しやすくなります。

まとめ

スモールビジネスとは、初期投資や人件費を抑えた小規模なビジネスモデルのことです。起業のハードルが低く、地域活性化にも貢献する取り組みとして注目を集めています。スモールビジネスで成功するためには、自分の趣味や強みなどを活かしつつ、継続的な収益が得られる仕組みをつくることが大切です。

HRインスティテュートが提供する「新規事業開発ワークアウト」では、新規事業創出のすべてのフェーズでコンサルタントが伴走し、現実的かつ実効性の高いビジネスの創出を支援しています。新規事業を生み出すノウハウを習得したい、新規事業開発をリードできる人材を育成したい企業様は、以下のリンク先より本プログラムの詳細をご確認ください。