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新規事業の立ち上げを成功に導く9ステップとは?戦略やポイントを解説

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市場環境が著しく変化する現代、自社が成長し続けるための戦略として新規事業の立ち上げを検討している企業は少なくありません。他社との競争が激化するなかで、自社の新規事業を成功させるためには、どのようなステップで進めていけばよいのでしょうか。

この記事では、新規事業立ち上げの戦略やポイントとともに、成功に導くまでの流れを9つのステップでわかりやすく解説します。

目次

新規事業の重要性

持続的な企業成長を目指すうえで必要となるのが新規事業の立ち上げです。

新規事業の重要性として以下の2点が挙げられます。

企業競争力の向上

現代は市場環境の変化が激しく、同じ事業で成長を続けることが困難な時代となっています。他社との競争に打ち勝ち企業が生き残るためには、企業競争力の維持・向上が欠かせません。新規事業の立ち上げによる新しい市場の開拓や技術の導入は、他社との差別化となり、企業競争力が強化されます。新たな市場や顧客層へアプローチすることで、新たな収益源を確保でき、企業の持続的な成長へとつながっていきます。

人材育成

新規事業の立ち上げは優秀な人材を育てる機会にもなります。新規事業に携わることで、社員は異なる部門や専門分野の人々と協力しながら、さまざまな経験・スキルを積むことができます。具体的には、経営者視点のマネジメントやリーダーシップの育成、社内外の関係者と円滑に業務を進めるためのコミュニケーションスキルの向上が期待できるでしょう。

新規事業を成功に導く9ステップ

新規事業を成功に導くまでの流れを9つのステップで解説します。

ステップ① 経営理念・ビジョンの確認

まずは自社の経営理念やビジョンを確認し、新規事業の目的が企業の長期的な目標や価値観と一致しているかを確かめます。経営理念やビジョンは企業活動の軸となるもので、新規事業のアイデアを考えるときの判断基準にもなるでしょう。チーム内であらためて共有することで、個々のモチベーションアップにつなげられます。

ステップ② プロジェクトメンバーのアサイン

事業の目的に合致した経験やスキルを持つ人材を選定し、リーダーを中心にプロジェクトチームを編成します。新規事業の立ち上げに際しては、すでに社内に存在するノウハウが役に立たないこともあるため、自ら考え行動できるような主体性のある人材が望ましいでしょう。

ステップ③ 顧客ニーズの調査

ターゲットとなる顧客を明確にし、彼らのニーズを徹底的に分析していきます。アンケートやヒアリングを通じてデータを集め、顧客が感じている課題を明らかにし、彼らが求めているニーズやウォンツを探ります。データ分析においては、数値で表せる定量的なデータを参考に、客観的な視点から検討することが大切です。

ステップ④ マーケティングリサーチ

市場調査を通じてターゲット市場を分析し、その市場の特性や成長性、障害となり得るリスクなどを把握します。あわせて競合他社の分析もおこない、事業の特徴や規模、市場での優位性・劣位性などを明確にし、他社と差別化できるポイントを見つけます。

ステップ⑤ ビジネスプランの策定

具体的なビジネスプランを作成し、事業の実行計画を立てます。新規事業の目標となるKGI(重要目標達成指標)、KGIを達成するための中間目標であるKPI(重要業績評価指標)を定量・定性面で明確にし、目標達成に向けた戦略や資金調達の方法、収益モデル、スケジュールなどを具体的に検討していきます。

ステップ⑥ 事業立ち上げの環境構築

新規事業の立ち上げには、経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報が欠かせません。自社に足りない部分は外部の支援を活用し、適切に整えていく必要があります。あわせて、法規制や契約面での準備もおこない、新規事業をスムーズに発足させるための環境を整備します。

ステップ⑦ 製品・サービスの開発

製品やサービスの開発を進める際には、市場調査や顧客インタビューなどを基に、テストマーケティングを実施します。市場に投入する前にプロトタイプ(試作モデル)を作成し、テストを重ねていきます。事前にフィードバックを得ることで、サービスイン後の販売予測や生産計画が立てやすくなり、リスクを最小限に抑えることができます。

ステップ⑧ サービスイン

テストマーケティングによる検証を終えたら、製品やサービスを市場に投入していきます。顧客層へのアプローチとして、マーケティング活動や営業活動を展開し、市場における自社製品・サービスの認知度を高めることが重要です。

ステップ⑨ 評価・改善

事業の進捗や達成度を評価し、必要に応じて改善をおこないます。市場投入後も常にPDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)を回し、製品や商品をブラッシュアップさせ、新規事業の成長につなげましょう。

新規事業を立ち上げる4つの戦略

新規事業立ち上げ時の戦略として以下の4つが挙げられます。

新規市場開拓戦略

既存の市場とは異なる新たな市場をターゲットにする戦略です。未進出の市場へ参入する際は、市場の特性や顧客ニーズの把握とともに、販路拡大の手段や効果的なプロモーション方法についても検討する必要があります。既存の製品やサービスであっても、異なる顧客層へアプローチできれば、新たな収益源の確保につながります。

新製品・サービス開発戦略

既存の市場に新しい製品やサービスを投入する戦略です。顧客ニーズを徹底的に調査し、顧客の購買意欲を刺激する新製品・サービスを開発します。市場投入後も、新しい技術の導入や生産プロセスの見直しなど、製品・サービスを安定供給するための施策が欠かせません。イノベーションを通じて市場シェアの拡大を図り、自社の競争力を高めることで、競合他社の顧客を取り込むねらいもあります。

多角化戦略

異なる分野に進出することでリスクを分散する戦略です。既存の事業・市場は維持しながら、新規事業の展開や新たな市場への参入をおこないます。既存事業と関連性のある分野とは限らず、まったく関連性のない分野に進出することもあります。複数の事業ポートフォリオを持ち、安定した収益を目指すための戦略ともいえます。

事業転換戦略

既存事業を見直し、新しい方向性にシフトする戦略です。市場環境の変化や他社との競争激化などを理由に事業転換を決めるケースが多く、既存事業を縮小しながら新規事業に注力していきます。経営環境や顧客ニーズの変化に柔軟に対応することで、自社事業を継続的に成長させることができます。

新規事業を成功に導く6つのポイント

新規事業の成功に向けて重視すべきポイントを以下にまとめました。

リソースの把握と調達方法の検討

新規事業の立ち上げに際しては各工程で必要なリソースを確認する必要があります。自社で保有しているリソースと不足しているリソースを明確にし、足りないリソースがあれば外部からの調達方法を検討します。専門知識や技術のある人材が不足している場合には、自社で育成するだけでなく、外部の専門家に依頼する選択肢もあります。

行政や他業種・他企業との連携

行政機関や他の企業から協力を得るなど、外部とのコラボレーションを通じて事業の強化を図ることも重要です。積極的に外部と連携していくことで、業界の動向や地域のニーズを把握できたり、自社にはない知見や技術を導入できたりと、事業価値を高めるためのヒントを得ることができるでしょう。

最新情報や未来情報の収集

最新の市場情報や技術動向を常にチェックし、将来のトレンドを予測して事業に反映させることも重要です。自社での情報収集や未来予測が難しい場合には、外部の専門家やコンサルタントに依頼する方法もあります。

補助金や助成金の活用

新規事業を立ち上げる際、国や自治体などから補助金・助成金を活用できる可能性があります。それぞれの支給条件を確認し、条件を満たすものがあれば積極的に活用することをおすすめします。公的機関が公表している補助金・助成金に関する情報をチェックし、事業資金を効率的に確保する方法を探りましょう。

事業撤退ラインの設定

入念な準備をしていても、新規事業がすべて成功するとは限りません。新規事業の立ち上げ時には、売上目標や利益目標、投資額などに一定の基準を設け、その基準に満たない場合、もしくは超えた場合には撤退することを決めておきましょう。あらかじめ撤退ラインを設定することで、事業の継続・撤退の判断に迷いがなくなり、損失を最小限に抑えることができます。

自社の強みを活用

自社にしかない技術やノウハウなど、競合他社と比べて優れている点は他社との差別化になります。顧客へのアンケートやヒアリングによって、自社製品・サービスが選ばれている理由を探ることでも、自社ならではの強みを把握することができます。強みを活かした事業展開により、競争優位性を築くことが重要です。

まとめ

新規事業の立ち上げは、変化する市場環境のなかで自社の優位性を高めるための有効な手段となります。社内にノウハウがなく、自社のリソースだけで新規事業を計画・実行するのが難しい場合は、外部の専門的なプログラムを活用することをおすすめします。

HRインスティテュートが提供する「新規事業開発ワークアウト」は、新規事業のコンセプト立案から現実の事業化までを支援するワークアウト・プログラムです。受講者自身が手と頭を使ってアウトプットを創出し、現役コンサルタントが客観的な視点からフィードバックをおこないます。新規事業をリードする次世代リーダーの育成に関心のある企業様は、以下のリンク先より本プログラムの詳細をご確認ください。

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監修者
狩野 尚史
株式会社HRインスティテュート/取締役 プリンシパルコンサルタント 東京工業大学大学院 社会理工学研究科 社会工学専攻 博士課程単位取得退学、金沢工業大学大学院 工学研究科 知的創造システム専攻 修士課程修了、工学修士号。英国留学後、大手建材メーカーにて、商品研究&開発部門、BtoBセールス部門、販売チャネルのIT化推進リーダーを務める。 HRインスティテュートに参画後は、新規ビジネスプランニング支援、ビジネスモデル構築、戦略構築を中心にコンサルティングに従事。
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